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ボクの周りの女の子は何かと問題がある……  作者: はなだ とめX
第2章 彼女は物陰からひっそり彼を見る
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9 巨乳ニット

 母さんからの連絡を受け、ボクは商店街から国道に出た。


 「商店街で待っていれば良かったんじゃない?」


 合流した母さんは不思議そうにしていたが、今日は書店側からではなく国道沿いの住宅側から来るようにと、霧島先輩の母親である由美さんから言われていたのである。


 霧島先輩の家の前に到着すると――お店とお家は別だったのね――とボクと全く同じ感想を述べていた。


 玄関先で、待ち構えていたように霧島先輩と由美さんが出迎えてくれた。お母さん同士の頭を下げ合う挨拶が一通り終わると、前回と同じくリビングへ通された。


 扉を開けた瞬間から、そこはカワイイのパラダイスだった。


 元気に駆け回る少しだけ大きくなった仔犬たちと、それを静かに見守るペアー。そして仔犬たち以上に大騒ぎするチーズ。


 仔犬たちは母さんに飛びつき、尻尾をブンブン振っていた。立ち耳のボス仔犬を除いて。そのボス仔犬は、それが当然とばかりにボクに寄って来ると、「さあ、抱け」と言わんばかりに前脚をボクの脚に乗せて立ち上がった。


 「あらあら、みんな可愛いわね~」


 母さんはソッコーでメロメロになっていた。


 「こっちの元気なワンちゃんがお父さんのチーズ。ややお疲れなのがお母さんのペアーだよ」


 母さんに親犬たちを紹介する。


 「あら、チーズなの! 実は今日お土産にお持ちしたのもチーズなんです」


 母さんがイタリアから買って来たチーズの詰め合わせを霧島先輩の母親である由美さんに渡していた。


 「で、どの仔がウチの子になるのかしら?」


 「ん~」とボクが悩んでいると、真下から強烈な視線を感じた。仔犬とは思えない程の圧があった。


 「この仔を頂いても宜しいですか?」


 そして右目の周りだけが茶色い立ち耳の仔を抱き上げると、腕の中から満足気な感情が伝わってきた。


 「あら、その仔にしたの? 大切に育ててね。で、名前はどうするのかな?」


 由美さんからの了承を得たのだけれど……、名前かぁ~


 「え~と、シロ?」


 と言った瞬間、仔犬は足を踏み外してボクの膝の上から転がり落ちた。絨毯の上で四肢をピンと伸ばし、仰向けになって倒れている。どんな仕草でも可愛い。


 「あら? 何だか嫌そうな顔をしてるわよ」


 母さんがボクの手から仔犬を奪い取った。


 「どんな名前が良い~? 悠斗のセンスはダメダメだからね~。母さんがつけてあげるわね。えっと、あなたの名前は――ゴルゴンゾーラ――で、どうかしら?」


  ゴルゴンゾーラって何だよ?


 と思ったが、仔犬は尻尾をブンブン振って喜んでいる。判ってるのかな? 判ってないよね?


 「あら~、かわいいですね! 他の子にも名前つけてくれません?」


 どうやら由美さんも――ゴルゴンゾーラ――が気に入ったようだ。


 「良いのかしら? だったら、この母犬似の仔はマスカルポーネ。顔が茶色い男の子はペコリーノね。それから顔の模様がキノコみたいな仔はリコッタで、どうでしょう?」


 「チーズの子供たちだから、4種のチーズで揃えたわけですね! さすが悠斗君のお母様ですわ」


 なるほど――ゴルゴンゾーラ――はチーズの種類だったのか……。


 もう名前、決まっちゃった。


 それからお昼を過ぎたこともあり、ゴルゴンゾーラ は一旦ペアーに返し、食事へ出掛けることにした。


 母さんの希望で、リビングで話題になった例の土間廊下を通り、店先から商店街に出た。


 「まるでワープしたみたいな気分ね」


 母さんは、はしゃいでいた。


 そして予約してあった商店街にある唯一のレストランへ入る。ここでは月に一度は家族で食事をしていた。


 「ワンちゃん、本当に頂いちゃって宜しいのですか? 父とも話していたのですが、幾らかお支払いした方が良いのではないかと……」


 今日は6人掛けのテーブルにボクと母さん、霧島母娘で向かい合って座っていた。


 「いえいえ、こちらも引き取って貰えるだけで、嬉しく思っていますので」


 そして、ボクは目のやり場に困っていた。


 「そうですか。大切に育てさせますね」


 これまで制服か、川原で会った時のラフな格好しか見たことがなかったのだけれど、今日の霧島先輩はとてもお洒落していたからである。


 「はい。宜しくお願いします。それにしてもウチで生まれた犬を悠斗君に貰ってもらえるなんて光栄です」


 ニット……。そう今日の霧島先輩は体にぴっちりフィットしたニットを着ていたのだ。


 「アハハ、何が光栄なんですか?」


 見えているわけではない。布面積的には隠れている部分の方が多いはずだが、ボディーラインから横にはみ出した圧倒的な迫力。しかも身動きするたびに、プルンプルン揺れる。


 「お母様は、薫子のこと憶えていらっしゃいませんか?」


 由美さんは一瞬真顔になって母さんに問い掛ける。それでボクも我に返る。15歳のボクに巨乳ニットは目の毒だ。


 「えっと……、確かにキリシマ書店さんで本を買うことはありますが……殆どレジはお祖母様しか……」


 何とか思考を会話の方へ持っていこうとするのが、豪華なお寿司を目の前にして、コンビニのおむすびの話を聞かされても、やはり思考はお寿司に戻る。


 「いえいえ、娘が小学生の時に誘拐されそうになって、それを悠斗くんに助けて頂いて……」


 「あー、あの時のお嬢さん! いやー、全く気が付きませんでした」


 母さんはハッとしたように霧島先輩に目を向けた。


 霧島先輩は恥ずかしそうに母さんに会釈した。


 巨乳がばるんと躍動した。えっ、ブラは? もしかしてノーブラなのか!


 「その節は本当にありがとうございました。もし悠斗くんが助けてくれなかったがら、今頃、娘はどうなっていたことかと……」


 もしかして乳首ポッチがみえるかもしれないというボクの本能と、視線を向けてはいけないというボクの理性が、心の中でせめぎ合う。

 

 「あらあら、まあまあ、お綺麗になられて。あの時は私も――よくやった――と悠斗を褒めたんですよ」


 巨乳ニット……凄まじい。


 会話の内容がまったく頭に入って来ない。

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