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ボクの周りの女の子は何かと問題がある……  作者: はなだ とめX
第2章 彼女は物陰からひっそり彼を見る
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2 ボランティア部

 「はーい。バカども注目」

 

 「これはこれは高梨公爵令嬢 。この様なムサい場所に何用ですかな?」


 鷹揚とした態度のギルドマスター(?)が、さも招かざる客を迎えるように、姉ちゃんを笑顔のまま皮肉めいた目で睨みつけた。


 「松田、静かにしろ!」


 「ご機嫌麗しゅう。高梨公爵令嬢」


 「ノブエも黙れ!」


 「もう、シンエと呼んで下さいまし。爵位を笠に着て、少し横暴ではありませんこと?」


 ノブエさん? シンエさん? は持っていた扇子をバッシと音を立てて広げた。


 「生徒会長の高梨公美よ。新入部員の皆さん。ボランティア部へようこそ」


 「や、やはりボ、ボ、ボランティア部でご、ざ、っ、た、か?」


 隣の園田がガックリ……と肩を落とした。


 「おそらく皆さんの大半が期日までに入部届を提出さずにここへ来たと思いますが、まあ、異世界ナントカとか、冒険者とか言われて入って来た人も諦めて下さい。あなた方は来年の4月まではボランティア部で決定です」


 「異世界転生部よ!」

 「いいえ、異世界恋愛部ですわ!」

 「違う! 北頭学院冒険者ギルドだ!」


 「これから皆さんはこの様な頭のおかしいな連中と、ボランティア部の部員として活動していかなければなりません」


 姉ちゃんが並んでいる一年生に目を向けて話していると、一人の女生徒がおずおずと手を挙げた。名前までは知らないがいつも西田モモとよく一緒にいる女子だ。格好は少しギャルっぽい。


 「すいません。あたし風邪を引いていて、提出日に学校を休んでいたんです。出来れば部活を変更したいのですが……。」


 けれど姉ちゃんは彼女に向かって二コリと微笑む。


 「それは無理よ。入部届の提出期間は4月中旬~9月最初の週末までと決まっているの。 提出日はその一日だったわけではないわ。夏休み中でも受け付けていたのよ。ボランティア部を辞めたいなら来年また別の部活に入り直すことね。少なくとも来年の4月まではボランティア部で決定よ」


 女生徒はしょんぼりと下を向いた。


 ボクもこんなことなら釣部にでも入っておけば良かったと思う。ボランティア部は一向に構わないのだが、異世界ナントカも冒険者も御免だ。園田を人身御供にした罰かな……。


 「それでは、いろいろ説明していくわね……っとその前に、なんで、ここに夏穂がいるの?」


 姉ちゃんの視線は、未だボクからくっ付いて離れない夏穂へ向けられた。


 「私は異世界転生部の部長なんだから、居て当然でしょ!」


 「今日はボランティア部の説明会だから、アナタは出て行きなさい」


 「嫌よ。私はここにいるわ。だってユウトがいるもの」


 「松田、夏穂を外へ放り出して」


 「フン、人使いの荒いお嬢様だな」


 夏穂はボクにしがみ付く手を強めながら「シャー――ッ」と威嚇していたが、敢え無くギルドマスター(?)に引っぺがされ、ドアの外へポイと捨てられた。


 「横暴だ。私は権力になんか負けないんだから」


 夏穂はドアの向う側でワーワー叫んでいたが、ピシャリとドアが閉められ、ガチャリと鍵を掛けられた。


 「ごめんなさいね。説明を続けるわ。まず北頭学院うちには委員会というものがないの。校内選挙で生徒会長と副会長が選出され、生徒会が発足されるわ。その生徒会も会長と副会長以外は部員ということになるわね。そしてこの学校すべての部活動が、生徒会傘下という形で運営されているの。例えば、余所の学校で言うところの放送委員は放送部が、美化委員は家政部や園芸部が、体育祭やクラスマッチなどのイベンドでは、各運動部へそれぞれの仕事を振っているわ。また文芸部やアニメ研究会などが図書委員を担っているわね。そしてあなた方、ボランティア部だけど、生徒会直属の組織として、いろんな雑用をして貰うことになるわ。ここまで理解できたかしら?」


 「えっと、雑用とは?」


 「いろいろよ。現在、差し迫っているイベントと言えば、9月末に行われる校内選挙よ。このイベントだけはあまり多くの人を関わらせられないから、現生徒会とボランティア部だけで切り盛りしていくわ。大変とは思うけど、頑張って」


 姉ちゃんが周囲を見渡すが、誰も何も言わない。


 「それでは自己紹介をしましょうか? まず私からもう一度紹介させて貰うわ。3年8組、生徒会長の高梨公美よ。そして私の横に立っている彼女は生徒会庶務の霧島薫子さん。選挙が終わるまでのこれから一月、ボランティア部を担当して貰うことになるわ」


 「3年8組の霧島です。よろしくお願いします」


 姉ちゃんと一緒にこの部屋へ入って来た時から、ボクはずっと気になっていた。霧島薫子と紹介されたその女性は、先週、河川敷で犬と追っ掛けっこしていた人だ。――真の巨乳とは何か――をボクに教えてくれた人である。


 目を瞑るとあの時の光景が今も蘇って来る。真の巨乳は揺れるのではなく暴れるのだ。左右の胸はバラバラに、ランダムに、慣性を無視して躍動する。とてもとても良いものだ。


 「それから次はボランティア部の3年生から……」


 「では俺から自己紹介させて貰おう。北頭学院冒険者ギルド、ギルドマスターのマッケンジーだ! 気軽にギルドマスターと呼んでくれ」


 「……3年3組の松田健司《 まつだけんじ 》よ。次っ」


 「わたくし、ベルウッド侯爵家が娘、シンエ・ベルウッドでございます。新入部員の皆さん。異世界恋愛部へようこそ。わたくしのことはベルウッド侯爵令嬢と呼んで下さいまし。親交がもっと深まれば、名前呼びも許して差し上げてよ、オホホ」


 おー、本日二度目のカーテシー!


 「……3年5組、鈴木信恵 《 すずきのぶえ 》よ」


 「ちょ、ちょっと、わたくしの転生前の名をバラさないでくださいまし」


 なるほど!マツダケンジでマッケンジー。鈴木だからベルウッドで、信恵をシンエと読んだのか……。まあどうでも良いけど……。


 「以上3年生は2名だけど、今月末の校内選挙終了後に引退するから、皆さん、安心してね。次は2年生だけど、残念ながら0名よ」

 

 「な、なんだと……俺はギルドマスターを引退するのか……」


 「わたくしは、まだまだ社交界を引退する気はございませんわ!」



 「お前らは受験勉強しろ! それから新入部員の1年生だけど……。初めてだから、黒板に名前を書いて貰おうかしらね」


 「では、わたくしが書いて差し上げますわ!」


 霧島薫子先輩が教壇に上がろうとしたところで、鈴木信恵先輩が颯爽と壇上へ上がり、本日三度目のカーテシー。


 1年生が順番に名前を言っていくのを、鈴木信恵先輩が黒板に書いて行く。字に間違えがないかを確認しして、それを霧島薫子先輩がノートに書き写していた。


 そして、ボクの順番になった。


 「1年8組 高梨悠斗です。よろしくお願いします」


 すると鈴木信恵先輩が黒板に書いたのは『小鳥遊勇人』 ……誰だそれ?


 「のぶえ! ちゃんと書け!」


 「あら、違いまして? でも、こちらの方が彼にお似合いじゃございませんこと?」


 姉ちゃんがイラっとしたように黒板消しでガシガシ消して『高梨悠斗』と書き直した。


 「見てわかるように、わたしの弟よ」

 

 姉ちゃん、なぜかドヤ顔。


 「な、なに、弟だと……」

 「王族ではなく、公爵令息でいらしたのね……」


 この先輩たちには さっさと引退して欲しいものだと思う。



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