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ボクの周りの女の子は何かと問題がある……  作者: はなだ とめX
第2章 彼女は物陰からひっそり彼を見る
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1 異世界転生部??

 紗枝の妊娠騒動があった日の翌日。やはり紗枝は学校へ来ていなかった。


 「おはようございます。悠斗君」


 「おはよう。何だか今日は赤いね」


 昨日まで夏の終わりとは思えない程、蒼白かった花子の顔は、なぜか真っ赤になっていた。照れてるというのではなく、日焼けしているのだ。


 「えー、えー、私にもいろいろございまして、この有り様でございますわ」


 やや恨みがましい言い方をされても、ボクには何のことか判らない。


 「そっちの方が健康的で良いと思うよ」


 「……ぁん!? そ、そうですか⁉ ところで悠斗君は、お魚はお好きでしょうか?」


 「うん。好きだよ。肉より魚派かな」


 「そうだったんですね! 私、昨日、魚釣りに参りまして、小さなアジを沢山釣ったんですの。先輩方は南蛮漬けがおススメと仰っておりましたが、悠斗君はお好きですか?」


 「ん~、ボクはアジフライの方が好きかな?」


 「畏まりました。では明日の悠斗君のお弁当を私におまかせ戴けないでしょうか?」


 「お弁当を作ってくれるの?」


 「はい、是非に」


 「そうなんだ。ありがとう。楽しみにしてるよ」


 「……ぁん!?」


 どうやら花子は釣り部に入ったらしい。余りにも意外すぎて本当は驚いていたのだけれど、笑って誤魔化し、何とか顔に出さずに済んだ。


 帰宅したら、明日はお弁当が不要なことを、姉ちゃんに確実に伝えなければならない。旅行に出掛けている母さんに代って、家事全般やたら張り切っているのだ。


 そして授業も終わり放課後になった。


 いつもならこのまま帰宅してしまうところだが、今日はボランティア部の説明会へ行かなければならない。


 聞くところによると、ボランティア部は生徒会の雑務を押し付けられるかなり面倒な部活らしいが、異世界転生部なんてモノに入るよりはマシだろう。


 「高梨殿、拙者はこれから『異世界転生部』の説明会でござるゆえに、お先に失礼するでござる」


 園田が教室を飛び出していった。何だか楽しそうで良かったと思う。廊下を見ると、夏穂が手を振っていた。ボクは夏穂のノリに付いていけないが、園田ならもしかして上手くやれるかもしれない……のかな??


 ボランティア部は、生徒会室の隣にある『生徒会準備室』が部室になっているらしく、三階にある高等部と中等部を繋ぐ渡り廊下の側とのことだった。


 廊下へ出ると、前方に夏穂と並んで歩く園田が見えた。何やら楽しそうに会話しているようだが、――女子と話すのはゲームの中だけと決め ておる故に――と言っていたアレはなんだったんだろう。


 廊下を曲がり階段を登って行くと、やはりそこには夏穂の後ろを歩く園田がいた。今度は周囲をキョロキョロ見渡し、少し警戒しているような素振りを見せていた。


 そして生徒会室を通り越え、『生徒会準備室』のプレートがある部屋のドアを開けると、最初に目が合ったのが園田だった。じわじわ目を見開いていく様は、まるで天敵に見つかったフクロウのようである。


 部室は教室の半分程のスペースだった。壁には看板などの備品が立て掛けられ、奥の棚には雑然と物が押し詰められていた。大きな黒板があることから、ここは教室だった部屋を二分割した前部分と思われる。


 「ユウトだ! 『異世界転生部』へようこそ!」


 いつもの猫耳カチューシャを頭に乗せた夏穂が白いしっぽを揺らしていた。

 

 「あっ、部屋を間違えました」


 ボクはそのまま踵を返して出て行こうとしたが、ダッシュで駆け寄って来た夏穂に捕まり、無理矢理押し戻された。

 

 「離してくれるかな? ボクはボランティア部の説明会に行かなきゃいけないんだけど……」


 「ここで、あってるよ」


 夏穂のお尻についたしっぽがクネクネ動く。コレ、どんな仕組みになってるんだろう??


 「ようこそ、北頭学院冒険者ギルドへ。俺はギルドマスターのマッケンジーだ、よろしくぅーー」


 すると奥の方で置物のように仁王立ちしていた西洋の騎士(?)っぽい格好をした大柄な男がボクに向かって、ウエルカムとでも言うように両手を広げた。鎧は鉄っぽく精巧に造られているが、たぶんプラスティックか何かだと思う。


 「やめてくれる? ユウトは『異世界転生部』に入るんだから」


 夏穂が、ボクの身体に手も足もしっぽも絡めてしがみつき、大柄な男を睨みつける。


 「ふむ、しかし彼はそれを望んでおらんようにみえるが? 細身だが、その内に秘められた引き締まった筋肉は、おそらく剣術の鍛錬を積み重ねてきたと見た! どうだ君も冒険者にならんか?」


 剣術どころか、竹刀すら持ったことないんだけど……。


 「あらあら、お二人とも。新入生が嫌がっているではありませんか。おや? あなたは……。もしやどこぞの国の王族の方でございましょうか?」


 今度は金髪というより黄色髪の巻き髪ぐるぐるの女性が、社交ダンスでもするような真っ赤なドレスを着て、まるで舞台に立つかのように扇子で顔を半分隠しながら躍り出てきた。そう、本当に躍るように出て来たのだ。

 

 「お初にお目にかかりますわ、殿下。わたくし、ベルウッド侯爵が娘、シンエ・ベルウッドにございます」


 「殿下じゃないですけど……」


 シンエ・ベルウッドと名乗る女性は、スカートの裾を軽く摘まみ上げ、片足を後ろに引いて、軽くお辞儀をした。噂にきくカーテシーだ。初めて見た。


 ボクは全てを理解してしまった。コイツら全員、紛うことなき夏穂の仲間だ。関わってはいけない人たちだ。さっさと逃げなければと、ナマケモノのようにボクに張り付いている夏穂を、何とか引き剝がそうとしていたところ――入口のドアがガラガラと音を立ててドアが開いた。


 視線を向けると、そこに立っていたのは姉ちゃんだった。


 一瞬目が合い、姉ちゃんは軽く目を見開いたが、そのままボクの横を通り過ぎ部屋の端にある教壇の上に立った。

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