表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【461さん踏破録】〜元引きこもりダンジョンオタク、入るたびに構造が変わるグンマダンジョンを攻略して最強探索者に至ってしまう〜  作者: 三丈夕六


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/49

第35話 魔法斧 エマージャクス

 光の中を歩く。視線の先に真っ黒な出口が見えた。そこへ向かって進んで行くと、周囲の光が徐々に収束していく。光が全て消えた時、俺はダンジョンの中にいた。


 いや、中、か……これ?


「おい……なんだこりゃ……」


 周囲を見渡す。そこには巨大な砦があり、目の前には巨大な門があった。後ろを振り返ってみると、どこまでも続く草原に、森……山まである。上には真っ暗な空。それは夜空のように星は無く、雲も無い。そしてもう一度目の前へ……そこにはやはり巨大な砦が聳え立っていた。


 これはなんだ? そもそも全く別の場所に来た可能性があるぞ、これ……。


『亜空間? それとも、先程の光は別の場所に繋がっていたのか?』


「転移魔法ですかね?」



 ──転移魔法ではない。



 突然、目の前に亜空間の門が開き、漆黒の空間の中から女の声が聞こえた。


『これは……?』


「管理者の声です。あの中から話しているのかも」



 ──この場所こそ時空の歪みの本体。カケラを全て集めた事により、貴様は時空の歪みの核へと侵入する事ができたのだ。



 んん? 全然意味が分からねぇ……。



『そうか……つまり、今までのグンマダンジョンは歪みの表層部分だったという訳か……ボスは番人、倒す度により歪みの深層へ近付いて……』


 リレイラさんは1人で納得している。俺は……まぁ、いいか。攻略にもし関係ありそうなら聞こう。余計な話聞いて混乱したら攻略に支障が出るしな。要はここがラストだから特別だという事で認識しよう。



 ──進むが良い、鎧の男よ。武運を祈る。



 そう言うと、亜空間の門が閉じてしまう。俺は覚悟を決めて一歩前へ出た。



 次の瞬間。



 門の前に人影が現れる。俺と同じような鎧を着た戦士が。だが、何か様子が変だ。青白く半透明の体……どう見ても物理攻撃が効きそうな相手には思えない。


『あの戦士は……冥闇騎士とも違う……思念体、なのか……?』


「幽霊みたいなもんですか?」


『分からない。私もああいった類の存在は初めてだ』


 リレイラさんも初めての相手……か。物理が効かないとなると面倒だな。俺にある物理以外の攻撃方法は……。


「……ッ!!!」


 幽霊騎士がロングソードを引き抜いて突撃して来る。ショートソードを抜き、フレクシルドを展開。ヤツは、俺めがけてロングソードを叩き付けた。どんな属性の攻撃かも分からない、まずは回避優先か。


 ヤツの攻撃をサイドステップで回避し、その胴体をショートソードで一閃する。しかし、刃がその体をすり抜けダメージが与えられない。


「やっぱ物理は効かねぇか」


『反撃が来るぞ!!』


「グオォッ!!」


 騎士の放つ斬撃をギリギリで回避し、ヤツの行動を観察する。ヤツの振り下ろし攻撃を避けると、その刃が地面にザクリと突き刺さった。


 ……俺の攻撃は当たらないが、向こうの攻撃は当たるって事か。このままじゃ攻め方が分からねぇ。まずは冥闇騎士への戦法を試すか。


 回避しながら左手に魔力を溜める。


 幽霊騎士が大きく踏み込んで来る。その瞬間を狙って左手をヤツの顔面へ翳した。


照明魔法(ルミナス)


「……グァ!?」


 眩い光が周囲を照らす。怯む幽霊騎士。その隙を狙ってショートソードを叩きつける。



 が、やはりその攻撃も体をすり抜けてしまう。



『怯ませても攻撃は効かない……か』



 どうする? 俺の持っているアイテムを思い出せ。あの中にヤツへダメージを与えられるアイテムはあるか?


 ヤツから距離をとりながら俺の持つアイテムを思い浮かべる。


・フレクシルド 1

・シャドウソード 1

・トラネアウィップ 1

・ベントナイフ 3

・クロウスラッシャー 6

・ブレイズナイフ 6

・ディガーファング 5

・アキドゥスフィア 4

・スライムキューブ2

・回復薬 3

・魔力回復薬 3



 一か八かアキドゥスフィアを試すか? いや、酸は魔法じゃない。効くとは思えない。だったらブレイズナイフの炎で攻撃するか? だが、どこへ突き刺す? ここは何も無い草原だ。アイツにナイフを刺す事はできないしな……。


「グオォッ!!!」


 幽霊騎士が再び飛び込んでくる。どうする? どうする……!?


 徐々に焦りが募る。こんなダンジョンの入り口で絶対死んでたまるか! 考えろ、俺!!


 その時、右腰の武器ホルダーにもう1つ武器があることを思い出した。管理者からの報酬で貰った斧。ここに来る前に鑑定して、名前だけは鑑定魔法で判明している武器が。



 「エマージャクス」。ヘッドが小さく持ち手が長い不合理な斧。これを試してみるか。



『1度ヤツから離れた方がいいぞ!』


「この斧だけ試して無理ならそうします!!」



 斬撃を回避しながら斧へ持ち替える。頼むぜ、効果あってくれよ……!!


「オラァ!!!」


 幽霊騎士の攻撃を回避したタイミングで斧を叩き付ける。



 が。



 斧がヤツの体をすり抜けてしまう。



「ちっ、これもダメかよ!」



 そう思った時。ある現象が起きた。


 斧のヘッドが地面へ叩き付けられ衝撃波が発生する。その衝撃波が幽霊騎士の体に触れた瞬間、幽霊騎士の体が実態化(・・・)した。



『騎士の体が!?』



 横に回転してヤツの胴体へエマージャクスを叩き付ける。ベコリとへこむ騎士の鎧。右手に確かな感触が伝わる。ダメージが入った事の証が。


「グオァ!?」


 苦しみの声を上げる幽霊騎士。一撃喰らったヤツは再び半透明の体へ戻った。


『これがあの斧の効果なのか……?』


 困惑したようなリレイラさんの声。あの衝撃波が霊体を実体化させるのか?


「うおおおお!!!」


 連続でエマージャクスを叩き付ける。幽霊騎士はその衝撃波に警戒し、攻撃する度にバックステップで距離を取る。クソ、衝撃波の範囲がもっと広かったら当たるんだけどな。


 ……。



 ん?



『長い取っ手。通常のヘッド……普通に使うなら明らかに変な形だが……もしかして』



「リレイラさんも同じ事考えてましたか!」



 エマージャクスの持ち手。そのギリギリを右手で掴む。そして、ジャンプ斬りのように幽霊騎士へと振り下ろした。



「……!?」



 地面に叩き付けられる斧。そこから、先ほどとは比べ物にならないほど広範囲の衝撃波が発生した。



「グァッ!?」



 衝撃波を浴びた幽霊騎士が再び実体化する。今度こそトドメを刺すつもりでその側頭部に斧を叩き付けた。


「オラァッ!!!」


 頭部が吹き飛んだ幽霊騎士は、レベルポイントの光を溢れさせる。それが俺のスマホへと吸収された。



 ──レベルポイントを200pt獲得しました。



「はぁ……なんとかなったぁ……」


『この為の武器だったのか……』


 斧に幽霊を実体化させる能力があるなんてな。あんなの、普通に使っていたら絶対に気付かなかったぜ。


 攻撃した瞬間発生する衝撃波……それに当たると幽霊を実体化させるってことか。



名称:エマージャクス

 分類:斧

 属性:?

 効果:ヘッドを叩き付けると衝撃波が発生。その衝撃波を浴びると幽霊が実体化する。叩き付ける威力が上がると、発生する衝撃波の範囲も広がる。使用回数?回



 長い持ち手を最大限活かして、片手で地面へ叩き付けるってのがこの武器の正式な使用法って事だな。



 実体化した幽霊騎士。その死骸からアイテムを取得してから先へ進んだ。






次回、砦を進む461さん。最終ダンジョンの攻略ルールが分かる回です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ホラーアクションゲーム『サイレ●トヒル』と『バイオハザ●ド』のせいで、斧装備の全身鎧姿に、ちょっとガクブル思い出な私……  (((>_<;;))) ヨロイさんが味方で良かった……(涙目) ゲームはど…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ