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いつか勇者を喚ぶその日まで  作者: ユーリ
プロローグ
4/5

オクリダスモノタチ

匂わせって楽しいですよね。

 「はぁ……。」


 我、いえ、私はあの人を私たちの世界へと送り出す大役を皆から押し付けられました。再誕は冥府神であるお前の管轄だと言われれば反論はできないので、承諾はしましたが、不満がないと言えば噓になります。

 私たちが至ることのできなかった輪廻の終点、『終末の世界(ラスト・ピリオド)』。かの世界から招いた至上の客人。私たちの管理世界を救える可能性のある、最後の一手。少々人の話を聞かない節はありましたが、最後には少し不自然なくらい聞き分けがよくなっていたのできっと大丈夫でしょう。

 なにはともあれ、あとはあの方が私たちの世界を好きになってくださることに期待するしかありません。


 「よーっす。客人は無事送り出せたみたいだな。流石は冥府神。」


 あの方がいなくなったのを察してか、鍛冶神が虚空を裂いて私の神域に来たようだ。全く、人の気も知らないであの筋肉バカ。


 「あなたは何しに来たんです?あの方の見送り、ではないですよね。わざわざあの方がいなくなったのを確認したうえで、無粋な真似をして私の庭に来たんですから」

 「そういうな冥府の。俺だって客人の相手をしたくなかったわけじゃないんだぜ?俺たちの世界の未来がかかってるんだからな。ただなんつーか、気後れしちまってよ。」

 「気持ちはわかりますがそれにしたって私だけに押し付けることもないでしょうに……。」

 「悪かったて。んじゃまぁ他のやつらも客人のことを気にしてるし、報告がてら議場に行こうぜ。」

 「なぜあなたが仕切ってって……もういないし……。」


 まぁ今のところはいいでしょう。気持ちもわかるので大目にも見ましょう。ですが私は怒っているのです。絶対に神託通話のことは教えません!これは頑張った私の特権ですからね!


 ……あなた様をだまし討ちのような形で送り出したのは申し訳ないですが、どうか私たちの世界を、「忘れがたき理想郷(メモラブル・エデン)」をお救いください。あるいは、あなた様にも救えないというのならその時は……。

Tips:『終末世界』

・輪廻転生を繰り返し、研鑽を積んだ魂がいずれ行きつく世界。この世界にて天寿を全うすると、真なる神になるための修行をする権利を得る。この修行を完遂すると創世の権利を得ることができる。創世の権利を有して神の座に至ったものを真なる神=上級神と呼ぶ。

・この世界に行き着くことができず、神の座に至ったものは創世を許されず、偽なる神=下級神と呼ばれる。下級神にとって終末世界へと至ったものは、言わば天上人であり、崇敬の対象になる。

・終末世界に至ったものの、事故等でその生涯を終えたものは、他の世界に派遣さる。そこで依頼の完遂、あるいは天寿を全うすることにより、無条件での下級神への昇格、あるいは真なる神に至る修行を行う権利を得る。依頼を断った場合、終末世界において再度、生をやり直すことになる。


つまり、前話で冥府神が説明した内容には虚偽が含まれています。でも仕方がないね。自分管理する世界の未来がかかった重要な案件だもんね。

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