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いつか勇者を喚ぶその日まで  作者: ユーリ
プロローグ
3/5

オワリトハジマリ

本文が長くてわかりづらいと思うので、あとがきに要約したものを載せます。

読むのが億劫な方、読んでもわからなかった方はそちらを参照ください。


場合によっては書き直すのでリフレクションいただけると嬉しいです。

よろしくお願いいたします。

 「……ーい」


 クナイシニタクナイシニタクナイシニタク……あれ?

 襲い来る絶望を前に恐怖していたが、いつまで経っても痛みは襲って来ず、意識が途切れる感覚もない。そんな感覚があるのかもわからないが。


 「……ーい、おーい」


 止まりゆく視界に目一杯に映っていた車も視界から消えているということは、奇跡的に自分を逸れて飛んでいったのだろうか。いや、視界が真っ白になっているっていうことは、死んだのか?いや、死んだのなら考えることなんてできないはず……。いったい……。


 「おーい!もういいい加減返事してください!無視はよくないですよ!!」

 (!?)


 声にならない声が出る。確かに視界には何も映っていないはずなのに、頭を誰かに叩かれる感覚と、聞きなれない声が聞こえてきた。


(誰かいるんですか……?)


 そんなわけがない。一人で帰っていたし、多分周りに人もいなかった。何より姿も形も見えない。幻聴?これも走馬灯の一種なのだろうか?


 「さっきから声をかけてるのに無視しないでください!まったくもう……」


 幻聴じゃない。確かに声がする。しかしいったいどこに……?見渡す(?)限り誰かがいるようには見えない。 そもそも一面が白一色であり、今までに見たことがない異様な光景だった。


 「あぁ、そういう。ではこうすれば……。」


 そう言う声が聞こえた一瞬後、視界は激変した。それまで何もなかったはずの足元には緑豊かな草原や、雲一つない晴れ渡った空が突如として現れ、そして10mほど離れたところに妙に薄い布でできたトーガ(?)のようなものを身に着けた女性が立っていた。痴女か?


 「これで満足でしょうか?満足したなら私の話を聞いてください!」

 (ありがとうございます?)


 一応礼は言ったものの、まずこの状況はなんなんだろうか。少なくともさっきまでこんな場所にはいなかったし、そもそも昼間ですらなかった。なにより草原が見えるようなっても自分の手足が見えない。VRか?VRなのか??


 「VRじゃないですから。まずは私の話を……」


 意味が分からない。一体全体何が起こっているのかさっぱりわからない。誰かこの状況わかる人!わかる人を呼んで!!


 「だったら私の話を聞きなさい!!」

 (ひゃい!)

 「それでよし!いいから私の話を聞きなさいな」


 目の前で感情を全身を使って伝えてくる痴女(仮)のあまりの剣幕に思わず返事をすると、返事に満足したのか朗々と語り始めた。ちょっと怖い。


 「まず最初に、あなたは死にました。えぇ、それはもうばっちりしっかりと蘇生の余地なく。なにせ急激な圧迫による内蔵破……」


 死んだ!?

 いや、状況的には何もおかしいことじゃないけど、だったら今の状態はいったい……?死んだのに意識があるのっておかしくない??もしやここが天国?いや、でも天使が痴女ってちょっとなぁ……。いや、でも天使って全裸で描かれることもあるし、意外と順当……?


 「……って痴女じゃありません!あなたの世界の神のイメージに合わせただけです!!失敬な。」


 え、聞かれてた?でも声出してないよな私。なんなん?エスパー?


 「はぁ……。エスパーじゃありませんが心の声は聞こえますよ。だって私はあなたの世界における神に相当しますし。それくらいできて当然です。」


 神って(笑)痛い人かこの人?


 「違います!もうなんでこう、人の話を聞かないのか……。」


 うわすっご。本当に心読まれてるっぽいじゃん。え、じゃあなんでそんな神さま(?)が私なんかの前に?


 「だからさっきから言っているでしょうに!あなたは死にました!だ・か・ら!!私がここに、あなたの前にいるのです!!!」


 死んだって言われましても……。


 「とにかく!あなたは死にました!死んだのです!!そこは受け入れてください。でないと話が進みません。」


 納得はいかないけどまぁわかりました……多分……きっと……。それで?私が死んだっていうならこの状況は一体全体なんだっていうんですか?


 「はぁ……。まぁいいです。説明しましょう。あなた幸運にも転生のチャンスを与えられました。」


 転生と言いますと、あの転生?創作とかでよくある?


 「その転生です。通常あなたの世界では、死後、神になるための修行が始まります。その際に今までの記憶や人格を失い、あなたという存在はそこで終わり、The Endです。もちろん生き返ることはできません。ですが今回は特別に記憶を保持したまま、他の世界、私が管理をする世界に、記憶を保持したまま転生してもらいます。そしてそこで私からの依頼を達成するか天寿を全うした場合に限り、輪廻転生の輪を外れ、記憶を保持したまま、直接神の道へと至ることが許可されます。」


 はぁ。つまり?


 「あなた、私の世界で、記憶そのまま生まれなおす。依頼達成するか寿命で死ぬ。神様コース。ハッピー。わかりましたか?」


 なる、ほど……?ちなみに断ったり……?


「説明も聞かずに断ろうとするとは……。いえ、断るといううのならそれはそれで私は構いませんが、後悔してもしりませんよ……?」


といいますと?


「ここで断ると、即座にあなたという人格は消えてなくなりますよ?つまり、正しくあなたという存在は死に絶える。死の間際に『死にたくない』と願ったあなたの祈りさえもなかったことになりますよ?それでも良ければ私はあなたを無理に引き留めることはできませんが……本当にいいんですか?」


ナンデモアリマセン。ちなみに依頼ってなんなんです……?


 「それをこれから説明するのです!……コホン。ここは敢えて当世ならではの言い方で言いましょうか。You、私の世界に転生しちゃいなよ!そんで勇者を喚んじゃいなYO!」


 ……は?


 「で、ですから!You、私の世界に転生しちゃいなよ!そんで勇者を喚んじゃいなYO!」


 頭イカレたんですか?


 「イカレてなどいません正常です!当世ではスカウトするときにはこう言うと聞いたのです!!そもそも私だってこの話かたはなんか変だなぁとは思っていたんです!でもあの子が……」


 あー……。なんとも偏った知識を……。と、とりあえず、勇者を喚ぶっていうのはどういう……?


 「ン”ッンン。失礼しました。聞いた通りです。あなたには勇者、正確には人類の旗頭となり、世界滅亡の危機と戦う人物を召喚してもらいたいのです。」


 召喚……。それって神さまが直接喚んじゃダメなんですか?


 「いい質問ですね。結論を先に言いましょう。それは不可能です。」


 それはなにゆえに……?神さまなんでしょう?


 「神だからこそです。私たちは物質界に直接干渉することができません。魂の状態なら干渉することもできますが、それにしたって、死んだ直後、輪廻に還る前の数舜しか干渉できません。生者に干渉できるのは生者だけなのです」


 でも私を転生させることができるんですよね?それなら、勇者足りえる人を転生させれば良いのでは?


 「それができたら苦労しませんよ!特定の魂を選別して、回収するなんて普通出来ません!今回だってたまたまあなたの魂を捕まえられたのです!!」


 なるほど?


 「ですのであなたに依頼をするのです。わかりましたか?」


 理屈は理解できますが……。そもそも召喚なんて私できませんよ?手紙でも出せば喚べるわけでもなさそうですし……。


 「そこについては大丈夫です。なにせあなたが転生する世界には【魔法】がありますから。」


 魔法ってあのファンタジーの権化みたいな?


 「ええ、あなたの想像通りです。ですので、その点はご安心を。依頼、うけていただけますか?」


 まぁそういうことなら……。あ、でも!何か、何か転生に特典をもらえませんか?勇者を召喚する前に死んだら意味ないですし!


 「もちろんです。特典はつけますが、その前に転生先の情報をお伝えします。私の世界はあなたに分かりやすいように言えば、剣と魔法のファンタジーといった形容が合うでしょう。魔法を軸に文明が築かれているので、あなたにとって目新しいものが多くあるはずです。」


 魔法かぁ……。私の中の中二がニコニコしてきた!


 「楽しそうなのはなによりですが、最後まで話を聞いてください。ほんっとうに話を聞かないんですから……。まぁいいでしょう。話を続けます。ヒトと呼ばれる種族がいくつかあり、あなたにはその中でも森人、エルフと呼ばれる種族に転生してもらいます。先天的に魔法への親和性が高く、寿命も長いので、勇者召喚に有利なはずです。」


 エルフってあの美形の!?


 「え、えぇ、食いつきがすごいですね……。あなたの世界のエルフと呼ばれる存在と大きく差はないはず……です。気を取り直して特典の話をしましょう。私からあなたに与えられる特典は3つ。1つ目は幼少期の記憶制限です。だいたい13歳付近まで前世の記憶は封じさせていただきます。言語であったり、生活に必要な知識を詰め込むのに邪魔になりますから。制限が解除された際にはそれまでの記憶と合算されるので心配はいりません。脳にかかる負荷も少ないはずです。」


 それ、危険な目にあったときにも解除されるようになりません?死にそうになったときとか、意味があるかはわからないですけど、記憶があれば生存確率あがるかもしれませんし。


 「ふむ……。いいでしょう。そのように封印条件を変えましょう。続けますよ。2つ目は感染性の病・毒の完全無効です。森で毒キノコを食べて即死、なんてしょうもない死に方をしたら意味がありませんし。ただ、加齢による肉体の衰えや精神由来のものには意味がないので気をつけてくださいね。わかりましたか?」


 はい!わかりました神さま!!


 「急に聞き分けが良くなるのもそれはそれで不気味ですね……。」


 いや、まぁ現状損がないですし……。


 「理由あってのことならまぁいいでしょう。3つ目ですが……なにが欲しいですか?」


 決まってないんですか!?


 「えぇ……。3つまでなら授けていいことになっているのですが、特に思いつかず……。容姿も寿命も魔力もエルフなら解決ですし、普通であれば種族選択も特典の一つなんですが、なにせ今回はこちらの依頼もありますし……。」


 と言われましても……。ファンタジー……生き残る……!神さまとのホットラインとかもらえませんか?なにかあったときに助言がもらえるみたいな。


 「ホットライン、つまり神託ですか……。ふむ、現行のものを改良して双方向に、しかし、接続の安定性を考えると……。いいでしょう。3つ目の特典はそれにしましょう。もっとも、実行できるかどうかはあなたの素質次第にはなりますが。」


 というと?


 「まず前提として、神託は本来神が一方的に送るもので、会話をすることは想定されていないのです。そこを捻じ曲げるとなると相応の魔力が必要になるのです。具体的には1分会話するのに、エルフの平均の10倍ほどの魔力と、専用の術式が必要になります。これは条件さえ満たせばだれでも使えてしまう、いわば技術となります。これを他者に教えないと誓えるのであれば、双方向の神託については、新しい魔術という形で前世の記憶が戻るタイミングで、記憶にインストールされるようにしておきます。魔力については、まぁ、『終末世界(ラスト・ピリオド)』の住人であったのならばなんとかなるでしょう。もちろん誓いを破った際には、今回の契約を破棄し、我が権能のすべてをもってあなたの命を奪います。絶対に。」


 誓います!死にたくないですし。ところでラストなんちゃらって……?


 「あなたの元居た世界のことです。ともあれ、契約は成立、あなたは私の管理世界に転生し、勇者召喚を試みる。私はあなたに特典を渡し、依頼達成時、あるいは天寿を全うした際に神に引き上げる。これで間違いはないですね?」


 間違いないと思います、多分。


 「たぶんは余計ですよ。では『冥府の神たる我アナスタシアが世界に告げる。旧き約定に則り、我が権能にて迷いの神子を現世へと至らせん。帰れ還れ孵れ、扉は三度開かれん。祝福はここに【再誕せしは冥神の慈悲(リ・バース)】』」


 詠うかのように神さまが言葉を紡ぐと、何層にもなる魔法陣(?)が視界のほぼすべてを覆う。それは幻想的で神秘的で厳かな雰囲気を漂わせ、あまりの迫力に私は一言も言葉を発することができなかった。

 神さまが言葉を止めると同時に視界が再び徐々に真っ白に染め上げられていく。転生が今まさに行われている、不確かなことのはずなのに、確信をもってそう感じた。


 「これにて転生の儀は完了です。まずは気負わずに世界を見渡してみてください。そうすれば自ずとすべきことが見えてくるはずです。それではようこそ私の、私たちの管理世界『忘れがたき理想郷(メモラブル・エデン)』へ。」


 行ってきます!いろいろとありがとうございました。……そういえば魔法ってどうやって使えばいいんです?


 「あぁ、伝えて忘れてましたね。『魔法』を使うカギは想像、イメージです。きっとあなたならば勇者召喚の魔法も作り出すことができるはずです。」


 想像って言われましても…って、え?勇者召喚の魔法ってないんですか!?


 「えぇ、ですので、魔法の開発も含めてお願いしますね。あなたならきっと大丈夫です。」


 え、ちょ、まっ!神様!?


 こうして、私の第二の人生が、若干締まりなく始まった。たぶん……きっと……maybe……。

Tips:転生後の世界では「魔法」と「魔術」は別物として扱われる。


要約:転生できるよ!美形で魔法も使えるエルフに転生!!

死にそうになるか13歳になるまで記憶は封じるよ!大人の意識で赤ちゃんになりたくないもんね!!

病気もしないし毒もきかないよやったね!ケガと加齢変化は防げないからね!!

神様と直通電話あるよ!広めたら殺すからきをつけてね!!

代わりに勇者召喚の魔法を作ってね!

現状そんな魔法存在してないよ!!がんば!

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