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第九話 定めの因果③

「……う……そ……」


視界の向こうで展開していた光景は観月の想像を超えていた。

カードから放たれた無数の強大な岩の弾は少女達を貫こうとするが、全てが通り抜けていく。

まるでそれは少女達が物理的干渉から逃れたようだった。


「リディア、分かってるとは思うけど、今回の目的は――」

「分かっているよ、アルリット」


リディアと呼ばれたくすんだ銀髪の少女は傍らの蒼い瞳の少女――アルリットに微笑んだ。


「今回、わたし達が遂行することは一族の者達が匿っている『破滅の創世』様の『記憶のカード』の確保だ。一族の抹殺は二の次なのだろう」

「うん、頑張ろうね」


リディアとアルリットはカードを手にした観月を見据える。


「……つまり、今回の彼女達の狙いは私達、此ノ里家ということね」


観月は『破滅の創世』の配下である彼女達が何故、自分達に接触してきたのか把握する。

一族の者のうち、記憶を封印する力を持つ此ノ里家の者達が主体となって奏多の神としての記憶を封じ込めた。

そのことは既に『破滅の創世』の配下達は知り得ている。

だからこそ、奏多の――『破滅の創世』の記憶を封じたカードを此ノ里家の者達が管理している可能性が高いとも考えていた。


「リディア。『破滅の創世』様の記憶のカードがどこにあるにしろ、今はあたし達の役目を果たそうよ。それが一族の抹殺に、ひいては『破滅の創世』様の役に立つんだし」

「了解」


それは当たり前だ。リディアにとっての正義とは即ち『破滅の創世』の言葉の完遂である。

アルリットが神の言葉を代弁しているならば、つまり彼女の意志は天の囁きであるのだから。


「相変わらず、『破滅の創世』様狙いで容赦ないな。あの頃と変わっていないみたいで嬉しいぜ、アルリット」

「ケイ……。今度は確実に消滅させるから」


そう告げるアルリットは明確なる殺意を慧に向けていた。


「あなた達、知り合いなの……?」

「前に戦ったことがあるんだよ」


話の全貌が掴めない観月に応えるように、慧は不敵に笑う。


「で、こいつは『破滅の創世』の配下の一人でアルリット。俺が亡霊になった元凶さ」

「……どういうこと?」


観月が促したものの、慧はしばらく考えた様子を見せた。


「さて、どこから話したものか」

「本来、生きているはずがないってどういうこと?」


瞳に強い眼差しを宿した観月は慧を見つめる。


「俺は既に死んでいるんだよ。こいつに――アルリットに殺されてさ」

「なっ……!」


何処か吹っ切れたような顔をして言う慧の顔を観月は凝視した。

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