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第ニ百ニ話 神に愛された者③

「さてと……レン。一族の上層部の本部に入る方法を考えてきたよ」


アルリットは天井に手をかざして周囲を照らす能力――光の玉を顕現させようとする。

その手から淡い光が放たれた瞬間、アルリットの姿は聖花のそれへと変わっていく。

やがて、光の玉がふわりと浮上して、周囲は明るく照らされていた。


「ねー。あたし、真似るのは得意なの」


紫の瞳と銀色の髪が特徴的な少女。

裾を掴んでいるドレスを思わせる衣装は青や紫色の花をあしらわれている。

いまや、アルリットの見た目は聖花そのものだ。


「どう、レン? このまま、一族の上層部の一人として潜入できそうだよね」

「その言葉づかいのままなら、偽物だとすぐに判明するだろう……」


アルリットの明るい声音に、リディアはため息を吐きながら応対する。


「しかし、一族の上層部の本部のもとに潜入することは、わたし達の目的を遂行する足掛かりになるはずだ」

「なるほど。一理ありますね」


リディアの意見を参考に、レンは一族の上層部に気づかれぬように秘密裏に奏多と――『破滅の創世』と接触する方法を勘案していく。

その時だった。


「レン。随分、苦労しているようじゃな」


レンの前に、神々しい赤い光が降り立つ。

そこには艶やかな女性が立っていた。

華やかな美貌と引き込まれそうな瞳は、強大な魔力を持つに相応しい女神としての雰囲気を醸し出している。


「爪が甘いんじゃないのかの。わらわなら、このような世界、さっさと破壊しておるのう」


その桜色の頬に、色付く唇が奏でた音色はトランポリンで弾むボールのように軽やかだ。


別世界の女神が降臨して、『破滅の創世』を救うために割って入ってきた――。


その事実を前にして、レンの雰囲気が変わる。

揺れるのは憂う瞳。

それは剥き出しの悲哀を帯びているようだった。


「不変の魔女、ベアトリーチェ様」


レンは恭しく一礼する。


「この世界は、最も『破滅の創世』様を冒涜しておりました。故に滅ぼさなくてはならないのです。神のご意志を完遂するために」


その存在を根絶やしにすることは、『破滅の創世』を救える唯一の方法であるというように――。

そう告げるレンは、明確なる殺意をこの世界の者達に向けていた。


「しかしながら、『破滅の創世』様を惑わす者がいます。此ノ里結愛さん。一族の者でありながら、『破滅の創世』様を惑わす危険な存在です」

「ふむ……あの小娘じゃのう」


レンの危惧に、ベアトリーチェは納得したようにうなずいた。

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