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第十話 閉ざされた記憶①

「でも、あなた、生きてーー」

「今の俺はアンデット、つまり不死者だ。まぁ、誰かは分からんが、俺を蘇えらせた奴がいるらしいぜ」


そう呟いて空を見上げた慧は風の行く先から目を逸らした。


「何でそんなこと……」

「もちろん、不死者の俺を利用するためだ。『破滅の創世』の配下の奴らは不老不死。それに対抗するためにさ」


慧が苦々しいという顔で語った話に観月は絶句する。

混乱は治まることはなく、むしろ深まっていた。


「利用……?」

「理解できないな。利用されていると分かっていながら、わたし達に歯向かうとは」


観月がさらに疑問を発しようとしたが、リディアが遮る。


「理解に苦しむ行動をするのは一族の者の性か」

「そうかもな」


慧は観月の態勢を整える猶予を作るように発砲した。

絶え間ない攻撃の応酬。だが、弾は全て塵のように消えていく。

決定打に欠ける連撃。

それでも慧は怯む事なく、観月と連携して次の攻撃に移った。


「やっぱり……」


その攻防の最中、浮遊し、中空から戦線の把握に務めていたアルリットは気づく。


「リディア。ケイ達はあたし達に勝つのが目的じゃない。この場に足止めすることだよ」


そう口にしたアルリットはこの数手の攻防だけで、慧と観月の思惑を肌で感じ取っていた。

慧達は今、完全に待ちに徹している。

それは学園にいる奏多達からアルリット達の目を逸らさせることを狙ってのもの。

『破滅の創世』の配下の力は強大だ。その上、不老不死である。何かあれば、勝敗の天秤はアルリット達に傾く。

だからこそ、慧達は焦らない。

二人は敢えて、アルリット達をこの場に留めることを狙っていた。

しかし、その均衡はリディアによって崩される。


「ちっ!」


アルリットが空から慧に肉薄する――その瞬間、リディアは観月の背後に回っていた。


「観月、後ろだ!」

「――っ。降り注ぐは――」


だが、観月がカードを構えようとすると、リディアは驚異的な速さで迫った腕を掴んだ。

慧の掩護射撃すら間に合わない。即座に持っていたカードを奪われ、観月は吹き飛ばされてしまう。


「このカードは違う。これも違う。アルリット、『破滅の創世』様の記憶のカードはここにはない」


リディアはこの場に目的のカードはないことを把握する。


「リディア、あの建物に同じような力の使い手がいるよ」


アルリットの見下ろす先にあるのは人々の抗い。

『破滅の創世』の配下の者によって呼び出された終焉より零れ出た神獣の群れを相手に、学園の教師や生徒達――一族の者達は健闘している。

その中にはカードをかざして奏多を護る結愛の姿があった。


「――うん、あの人間、神獣を相手に『健闘』しているね」


そう、健闘している――あるいは善戦しているとでも言い換えてもいい。

その言葉の裏には『敗北』が決しているという事実がある。


「誰だ? 何故、一族の者はあの人間を逃がそうとする?」


リディアが奏多を見て最初に思ったのがそんな疑問だった。

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