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№1 迷子  作者: N,O L
1/1

代理№1

完全オリジナル…以上

 物語は人の想像力を膨らませる。大事にしていた者に神が宿るように、古い物語にもその内容に応じた力が宿るといわれている。

 昔、満月の夜にだけ現れるといわれる店があった。その店は少し変わっていて、店主も店員も人間ではないといわれている。

しかし、誰もその店を見たことがないので噂程度でしか広まっていない。

だれみも観たことがないというよりは、見たことのあるものはもう生きてはいないというほうが正しいのかもしれないが…。


[ある少女が、妹を探して森に迷い込んだ。

少女は森の深くまで入り探したが、妹はなかなか見つからない。

さまよい続けて一時間近くが経過したころ、少女は一つの小屋にたどり着いた。

小屋というよりかは家のようだが別に気にすることではない。妹がここにいるかもしれないと考えると、少女は重たい扉を開け、中に入っていった。

 重たい扉の先には、外から見た時とは違い明かりがついていて、壁にはたくさんの本棚が並んでいた。本はぎっしり詰まっており、部屋の中心に一つの机と、一人の女子が座っていた。

 女性は手元の本に視線を落としており、こちらに気づいた気配はない。ここにはきっと妹はいないだろう、出るなら今しかない。

そう考え後ろを振り向くと、先ほど少女が入ってきたはずのドアがなく、そこには真っ白な壁しかなかった。

ゆっくりと女性のほうに振り向くが、やはりこちらには気づいていない。勇気を出して話しかけるしかないのかもしれない。

「あの…」

小さな声で呼びかけると、女性はあっさりとこちらを向いた。

「あの…妹を知りませんか?背はこれくらいで、ポニーテールで…」

そういいながら少女は手を動かし、一生懸命妹の特徴を伝えようとした。

「…君は妹を探しているのか?」

必死に説明をしようとしていると、女性はそうつぶやいた。

「え…あっはい…お昼に森に遊びに行ったっきり帰ってこなくて…」

私の言葉を聞いた女性は席を立って、本棚に向かっていった。しばらく本棚の周りをうろうろし、やがて探していたものが見つかったのだろうか、大きな本をもって席に帰ってきた。

「君が一刻も早く妹を見つけたいのはわかった。少し、お話をしてもいいかな?」

女性は少女に、目の前の席に座るように促した。少女は言われるままに席に座り、女性が開いた大きな本に、視線を落とした。

 しかし、女性が持ってきた本には何も書かれていない。だが女性は、あたかもそこに物語があるかのように話し始めた…


{昔、一匹のカラスがいた。

そのカラスはほかのカラスとは違い、飛ぶ力が弱く、ほかの鳥についていくことができなかった。

 ある日、カラスはうまく飛べず、そのまま道路に落下してしまった。運が悪かったのかそのままトラックにはねられ、カラスの意識はすっと消えていった。

 次にカラスの目が覚めたのは、運がいいことに暖かい毛布の上だった。誰かが助けてくれたようだ。

ゆっくりと目を開けると、一人の少女がカラスの顔を覗き込んでいた。

カラスはびっくりして、飛ぼうと羽を動かすが、うまく羽が動かない。少女によって包帯が巻かれ、羽が重くなっている。ただでさえうまく飛べないカラスは、重い羽根のせいでさらに飛べなくなっていた。

 どうせ飛べないならと、カラスはしばらくその少女にお世話してもらうことにした。少女はとてもやさしく、今まで食べてきたごみよりもおいしい食事をくれ、体をきれいにまでしてくれる。カラスは、常に少女に感謝し日々を過ごしてきた。

 しかし、少女とカラスが一緒に暮らすようになって数週間が経ったころ、一つの問題が起きた。

少女の両親に、カラスのことがばれたのだ。

両親は、カラスは汚いものだと言って窓から飛ばそうとする。しかしカラスは飛ぶことをしない。もともと飛べないのもあるが、少女のもとにいたいという意志が強かったのだ。

少女も必死に抵抗した。しかしカラスは夜中のうちに、少女の父親によって、家から追い出されてしまう。

かなり遠くに置かれたのか、少女の家に再び行くことは、カラスにはできなかった。

 数か月して、カラスは天狗に拾われた。天狗は、少女ほどではなかったが、暖かい食事を与えてくれ、さらには飛び方も教えてくれた。

カラスは天狗により飛ぶことができるようになった。

飛べるようにしてくれた天狗に感謝し、カラスは再び少女のもとに行くことに決めた。

 しかし、数か月で街並みはかなり変わり、少女の家を再び見つけることはかなわなかった。

カラスはあきらめず、少女が住んでいるであろう町を、ひたすら飛び回った。

やがて、ある主婦の会話を聞くことになる。

「ねぇ聞いた?○○さんの○○ちゃん、森で行方不明になったらしいわよ?」

「えぇ聞いたわ、確か二日くらい前の話よねぇ…早く見つかるといいのだけど…」

「一家みんな仲が良かったし、家でってわけではないのだろうけど…」

その会話に出てきた少女の名前は、あの時父親が呼んでいた少女の名前と同じだった。

もしほんとにあの時の少女が森で迷子なのだとしたら、捜してやらないと

 カラスは少女を助けるために、恩人である天狗のもとに向かった。

カラスは天狗の事情を話すと、自分を人間の姿にしてほしいと話した。

 天狗は言った

「お前さんを烏天狗にしてやることはできるが、その代わり、その少女をたすけると二度と会えなくなるぞ。それでもいいなら教えてやろう。」

カラスはすぐに答えた。

 結果として、天狗に烏天狗になる方法を教えてもらった。

烏天狗になったカラスは、急いで少女が迷子だという森に飛んで行った。

烏天狗になったカラスは、不思議と少女のいる場所がわかっていた。何故かと言われると、それはカラスにもわからない。

気が付くと、自然とそこへ向かっていたのだから

 少女はすぐに見つかった。古い小屋の壁にもたれかかって、ぐっすりと眠っていた。

少女を抱きかかえると、羽をおさめ、ゆっくりと森の出口に向かって歩き出した。

 しばらく歩くと、少女の名前を呼ぶ両親の声が聞こえてきた。そちらに近づくと、すぐにこちらに気づき、駆け寄ってきた。

腕の中で眠っている少女を見ると、泣きながら抱きしめ、足早に病院へ向かっていった。

 あぁ、これでもう少女とは会えないのか

そんなことを考えながら、カラスはゆっくりと森の中に帰っていった。

 それから数年、カラスは言われた通り、少女に合うことはなかった。

 しかし、ある日天狗のもとを訪れると、少女が天狗とお茶を飲んでいた。カラスは急いで飛び立とうとしたが、少女はそれを許さなかった。

 カラスは思わぬ形で、少女との再会を果たしたのだった。}


 女性はそっと本を閉じた。そして、少女に向かってこう言った。

「今の君なら、妹の場所がわかるのでは?」

 確かに、なんとなくだがわかる気がする。

女性は少女の後ろを指さした。そこには、先ほどまでなかったはずのドアがあったのだ。

 少女はお礼を言うと、一目散に森に駆け出した。途中人とすれ違った気がするが、気のせいだろう。]


「なんて物語を考えてみたのだが、どうだろうか?」

 机の上の紅茶を飲みながら、通話の先にいる少女に話しかける。

「いいんじゃない?その話、僕は好きだよ」

「これ、シリーズ化してみようかな」

「好きにすれば?」


 この物語は、果たして続くのだろうか…


リクエストは基本的に気が向けば受け付けます

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