若手マンザイ王座戦?
中は先輩達と居酒屋に来ていた。
普段酒を飲まない中がかなりのペースで飲んでいるのを心配そうに見る パリブーツ の三田村。
「中飲み過ぎじゃない?」
「んなことないっすよ」
周りの心配をよそに浴びるように飲む中。
もう顔は真っ赤になっていた。
「内のやつに見捨てられたんすかね……」
目から涙をながしながら言う。
三田村はつまみを食べながら
「殴られるのはいつものことじゃん」と言った。
「いつもは殴って文句言ってくるのに今日は もういいよ って……」
「お前女子か!」
三田村は叩きながら言った。
中は笑いながら「アホくさいですね」と言いながら酒を飲んだ。
「まだ書いてるの?」
裕子は夜中に居間でネタを書いている内の肩に手を乗せながら言った。
「あ~……次は爆バトの最終決戦だからな」
笑いながら裕子の目を見て言う。
裕子も目をみて笑いながら「そっか…んじゃ先に寝てるね」と言って寝室に入って行った。
内は中に腹がたっていた。
注意した昨日の今日に大きなミスをする。
相方としては許せないがあの時は怒りよりも哀しみが大きかった。
「アイツはアイツなりに頑張ってるんだろうけど……」
内はため息をつきながら蛍光灯を見ていた。
ハエが2匹飛んでいた。
二日後ー
バラエティ番組収録の日。
今日は 島田慎之助 の番組の雛段の一員として来ていた。
楽屋の慎之助に挨拶に行く内と中。
「おはようございます」
「今日はヨロシクお願いします」
慎之助はナカナカに紙を渡した。
二人はキョトンとしながら受け取った。
「古本興業主催の漫才コンテスト“若手マンザイ王座戦”っ大会や
結成十年以内なら出れんねん
お前らまだ出れはずよな?」
二人は声を合わせて「出れます」と答えた。
慎之助はニッコリ笑って「お前ら見たいなのが決勝に残ればありがたいわ
頑張れよ」と背中を押した。
「これ…新ネタ」
内は気まずそうに中に渡す。
「よしっ!んじゃ~今日からネタ合わせな」
中はガッツポーズして言う。
内は唖然としていたが「あぁ…」と返事をした。
爆バト最終決戦まで後二週間。
二人は二週間後に優勝して、マンザイ王座にも勢いで登ることを思い描いていた。