紙一重
CMが開け爆笑チャーハンの出番がやって来た。
あと六組をしのげるか、内と中はネタのときより緊張しているように思えた。
爆笑チャーハンの漫才を見ることしか出来なかった。
イシオカワシマは、何かに願うように頭を下げていたが、願いは叶わず客席からは笑い声と拍手が聞こえてくる。
モニターには審査員の顔が映る。
審査員も手を叩いて笑っていた。
「もうええわ」
「あざ~した」
ネタが終わり、爆笑チャーハンが司会席の横に立つ。
「お話をうかがう前に点数をヨロシクお願いします」
今野が言うと、画面にはローマ字でジャッジの文字が出て来た。
「点数は……
97
95
97
91
90
93
96
合計は………659点!!」
「順位のほうは現在第2位です!!」
イシオカワシマが静かに席から移動した。
ナカナカも一つ下の席に下がる。
もう後はない。
今までにない緊迫感が生まれて来た。
6番目フジサン、7番目狛犬、8番目シャイニングが出番を終えたが、紙一重でかわしてきた。
そして、今は松竹梅のエース田中中田が漫才をしていた。
「お前かツンドラが1位や」
「そこまで寒ないわ!」
落ち着いていつものように漫才をする。
暫定ボックスにいると周りが面白く見えてしまう。
「まさにスベリ芸」
「もうええわ」
ベテランの風格がある漫才の終わり方で一笑いが起きる。
早く結果出て欲しい、ここをかわせば最終決戦はいったも同然だと思っていた。
「点数は…」
固唾を飲む。
「93
91
90
88
87
89
90
合計は……628点!!」
「順位のほうは……現在第4位です」
「ああ~2点差!」
客席から「あぁ…」という声が聞こえる。
強敵をかわし、内と中は最終決戦のネタの確認を始めた。
現在の順位
1、パリブーツ 10年目 677点
2、爆笑チャーハン 10年目 659点
3、ナカナカ 7年目 630点
4、田中中田 9年目 628点
5、狛犬 9年目 611点
6、イシオカワシマ 8年目 596点
7、フジサン 7年目 582点
8、シャイニング 7年目 577点
9、ライダース 3年目 559点
10、オンステージ 4年目