決勝戦開幕!!
決勝戦当日ー
芸人たちは三時にテレ東のスタジオに集められた。
入念なリハーサルが続いていた。
「どんなネタすんねん?」
チャーハンの小鉄がみんなに聞き回っている。
それを見て、緊張がちょっと和らぐ芸人達。
「まぁ全てはトップやからな」小鉄は中と内を見ながら言う。
「なんでプレッシャーかけるんすか」
「おかしいでしょ」
二人とも前に出て小鉄に言う。
終始笑顔でリハーサルは終わった。
本番三十分前ー
楽屋は空気がいっぺんしてリハーサルのときのような笑いはなかった。
慎之助はすれ違う度に「優勝候補やと思っとるからな」と笑っていた。
それは芸人にはプレッシャーでしかなかった。
時間が過ぎるのが遅く感じる。
「あと十分か…」
オンステージの井田が白い服に着替えながらため息を漏らす。
「オレら一番最後だから一時間以上あるやろ」
石上が言うと「だから一番最後、嫌やねんな~」井田が着替え終わってイスに座る。
前説のオリジナルレイディオが客の空気をあまり暖めることが出来ないまま本番を向えた。
楽屋にオリジナルレイディオが、しょんぼりして入って来た。
「ぜんぜんウケてへんかったな」
小鉄が笑いながら肩を叩く。
本番が始まった。
楽屋のテレビでオープニングを見ていると、中が号泣しているシーンが流れた。
すると、楽屋に爆笑が起こった。
「では、楽屋はどうなってるんでしょうか?田村くん」
司会の今野が楽屋に来ているレポーターの田村にふった。
「え~楽屋の方はですね、見ての通り静かです
中と小鉄が筋肉比べをしております」
その後、筋肉の下りが三十秒ほど続いた。
「楽屋からは以上です」
田村が楽屋から去って行き、また重い空気が漂う。
そして、「ナカナカさん、イシオカワシマさん準備お願いします」戦いが始まった。
ナカナカが裏で、スタンバイすると「CMを挟んで出番ですんで……」スタッフも緊張したように言って音響に回った。
二人の緊張がピーク達するときにCMが開けた。
「さぁここからはお腹いっぱい笑っていただきましょう」今野が言うと、隣りの藤田美幸が「一組目はこちらのコンビです」続けて進めた。
【トップの意地
ナカナカ】
舞台の壁に文字が浮上る。
客席から「わぁ~」という声があがる。
中にチケットを渡されて会場に来ていたガールズと美優も声をあげていた。
文字が消え、扉が開いた。
そこに、エレベーターがせり上がり、ナカナカの姿が見えた。
中は筋肉アピール、内は満面の笑み。
緊張した素振りを決して見せなかった。
出囃子がなり、マイクまで二人が走ってくる。
「はい!ど~もナカナカです」
「ヨロシクお願いします」