決勝進出者発表……
WMO大阪準決勝の日ー
内は岡部との番組を収録していた。
決勝進出者発表は今日の午後、収録には見せないが緊張していた。
休憩時間に入るとかなりの量の煙草を吸い出す内。
十五分の休憩の間に煙草を一ケース開けてしまった。
そして、また収録にのぞんだ。
中は外で収録していた。
「では、宣伝ということなんですが……
こちらでいきましょうか」
中が一枚のボードをだす、それを見た矢村とナイトガールズは声を上げて驚いた。
「中…これはどうゆうことですか?」
矢村がボードを指しながら言う。
「神輿ですけど…」当たり前のように言う中。
矢村とガールズはポカ~ンとしていた。
「こちらに乗ってもらいます」中が手を上げると古本興業の後輩達が神輿を担いで来た。
「え~マジっすか~」矢村は笑いながら中の頭を叩いた。
「さぁ~宣伝しますよ~」
「なに楽しんでんねん」
矢村は笑いながら、また中の頭を叩いた。
内は収録が終わり、古本の劇場に向かっていた。
途中で昼食をとるために電車を降りた。
「何食うかな…」
一人で街を歩いていると、道の先に人だかりを見つけた。
「なんだあれ…」
手をポケットにいれながら、人だかりに近付いていった。
人だかりの外側から見ていた。
「え~なんだこれ…」
神輿に乗った女の子達がハンドマイクを使って喋っていた。
「スゲ~な~」内は人だかりから離れて何を食べるか迷っていた。
夜七時ー
中と矢村、ガールズは収録最初の場所に来ていた。
「え~宣伝しましたけど…」
中が汗をながしながら言う。
矢村が「おつかれさまでした」と一礼する。
ガールズは笑っていた。
「まだ今日はここまでですけど……まだ宣伝は続きます
また来週!!」カメラに向かって手を振った。
「何かってにしめとんねん」矢村は笑いながら頭をファイルで叩いた。
初の宣伝の収録は温かい空気のまま終えたはずだった。
「あっ…今日発表の日だ!!」
宣伝に夢中になっていて大事なこと、WMOの決勝進出者発表のことを忘れていた。
「はい…OKです」スタッフが今日の撮影を終わらせた。
「もう行けや、時間ないんやろ」
「ありがとうございます!!」
矢村に礼を言って劇場に行くために駅に向かって走っていった。
「あぁ~緊張すんな~」
劇場の舞台上にスクリーンを出し映像を流していた。
芸人達は客席からそれを緊張した面持ちで眺めていた。
審査員がもめているようで時間は発表の時間をかなりすぎていた。
「まだかよ…」三田村が小さく震えた声で呟いた。
「まぁ待ってたらでるやろ」後ろの席から三田村の肩を持ちながら言う。
内も一番後ろの端の席で一人結果が出るのを待っていた。
九時をまわり劇場内の緊張が高まって行く。
「大変お待たせしました
決勝進出者10組を発表させていただきます」
劇場の芸人、大阪の芸人ともに緊張感が目に見えるほど漂っている。
今にも張り裂けそうな空気に「すいません!!発表は!!」一人の男が入ってきた。
「今からだよ!静かにしてろ」
三田村が立って中に言う。
「はい!すんません」
中は静かに内の後ろに移動した。
「え~まず…決勝進出者1組目……」
エントリー番号が1番のナカナカは最初に呼ばれなければ予選落ちが確定する。
中は緊張で尋常じゃなく汗をかいていた。
内も手の震えが止まらなかった。
「エントリー番号………
1番 ナカナカ」
「……………」
「……………」
言葉を失う二人。
「エントリー番号1858番 オンステージ」
発表は続く中で二人は唖然としたようにスクリーンを見ていた。
結局劇場にいたメンバーで呼ばれたのは、
ナカナカ
パリブーツ
オンステージだけだった。
東京からは、パリブー、ナカナカの二組だけ。
「うっ……うっ……よし…ヨッシャ…」
中は泣きながらそう言ってガッツポーズをしていた。
「ありがとうございます……」
感謝の言葉をボソッと呟き、一人劇場から出て行った内。
第一回若手マンザイ王座戦
初代王者をかけた魂のぶつかりあいが今…始まろうとしていた。