ナカナカの漫才
第5期OSSを卒業したオレ、内 晃之は晴れて芸人になった。
7年後………
「なぁ……」
内の相方、大宮 中が内に声をかける。
「なんだよ?」
内はちょっとダルそうに聞いた。
「そろそろ本番だ
ネタ合わせしないと」
あぁっと軽く言って、立ち上がりネタ合わせを始めた。
「はいど~も
ナカナカで~す」
二人とも壁を見て漫才をはじめる。
周りの芸人が二人のネタ合わせに耳を傾ける。
この爆笑お笑いバトルは10組中上位3組がオンエアされる厳しい番組の中で、実力派と呼ばれるナカナカの二人は周りの芸人にとって怖い存在だった。
「もういいよ」
ネタ合わせが終わり本番用のスーツに着替えはじめる。
ネタ合わせ以外で二人が喋ってたいるところを見た芸人はほとんどいない。
「すいません用意お願いします!」
スタッフが芸人たちにスタジオに来るように促す。
みんな緊張した面持ちでスタジオに向かった。
お客さん百人の前で順番を決めるクジを引いて行く。
内がいるナカナカは一番最後の10番目だった。
司会のアナウンサーが進めて行く。
「それでは芸人達によるネタバトル始めましょう」
その言葉を合図に舞台上からはけて行く。
そしてアナウンサーの紹介が終わり、一組が出て行った。
舞台裏で黙って一組目のネタを見ている内、その向こうでネタの練習をしている中。
「やっぱ…あの二人って仲悪いのかな…」
周りの芸人達が聞こえないように話している。
芸人の間にもナカナカというコンビの仲は悪いと言う噂が流れていた。
「噂じゃねぇ~ぽいな」
よそから見ても仲の悪さが見えるくらいハッキリしていた。
「さぁ次が最後のコンビです
今季は三戦全勝いよいよ最終決戦に王手をかけた
ナカナカ!!」
アナウンサーの声が静かになり、出囃子がなり始めた。
「は~いど~もナカナカです」
「ヨロシクお願いします」
二人の小気味好い掛け合い漫才が始まる。
内がタンタンと相手を小バカにした感じでボケる。
中はそれに怒濤の勢いでツッコむ。
客席から笑いがやまなかった。
アナウンサーも手を叩いて笑っていた。
「もういいよ」
中が内の肩を手の甲で叩いて漫才が終わった。
「さぁ点数のほうが出そろいました」
アナウンサーが明るく言う。
芸人たちには緊張が走っていた。
「では点数はこちら!!」
電光掲示板に10位から順番に得点とコンビ名がかかれていた。
5位まで出た時点でまだナカナカの名前はない。
中は神に願っていた。
内は黙って見守っていた。
「オンエアされないあと一組は!!」
4位には77点のライダースだった。
悔しそうに天井を見ていた。
「ヨッシャ!」と後ろでガッツポーズをする中。
内は安心した様子はあったが黙ったままだった。
「さぁ後は芸人としてのプライドをかけての勝負です!」
3位が開けられる。
ナカナカの名前は出てこなかった。
内、中の手に力が入って行く。
「1位、2位は同時に!」
ナカナカの二人は手を上げていた。
電光掲示板には…
2位 ハーモニー 89点
1位 ナカナカ 95点
周りからは歓声が上がっていた。
アナウンサーも興奮していた。
「オォ~!!歴代最高得点だ!!」
中は心底嬉しそうにしてたが、内はちょっと引っ掛かるものがあった。