雪のように白い天使
なに不自由のない生活...それはまるで楽園のようだった。
魔女は少女をさらった。それは、私利私欲でしかないと分かっていた。だが、天使に成ることを諦めたくなかった。そして、思い付く。少女を殺して仕舞えば良いと。
呑気に眠る少女をおぶさった魔女は人気の無い森をずっと走った。誰にも見られないように。
しばらく走った末に、湖に行き着いた。月面に三日月が映っている湖は波もなく、月光を反射して青く光るだけだった。
魔女は、少女をおぶさったまま湖に足を入れる。足を進める度に波紋が広がり、そして他の波紋と混ざり消えていく。静かな湖に「バシャ」「バシャ」と音を立てながら。
――その頃、天使が居なくなったことに気づいた信者達は大慌てで建物内を捜し、庭を捜し、周辺を捜していた。だが、どこにも姿がなかった。さらに、村中の住民に話を聞きに行く。だが、誰一人として少女を見たものはいなかった。そんなときに、信者と一緒に聞き込みをしていた教祖はあることにいち速く気づいた。
居なくなったのは、天使だけではないと。
お読み頂いてありがとうございます。本作品はどうでしたでしょうか。
悪夢を見る少女はどのような体験をしていくのでしょうか。お見守り頂ければ、幸いです。