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冒険者になりたい



「セイン、お前明日5歳になるが、今後はどうするんだ?」


 夕方、ご馳走のフリッタスープを4人で食べているとグアルタさんが私にそう尋ねてきた。


「どうするってどういうこと?将来どうするかってこと?」

「ああ。5歳になる前から読み書きができるお前が神様から知力を授かれば、そっち方面の仕事ならなんでも選び放題だろう」


 この世界では全員が読み書きできるわけではないらしい。

 大人でも読み書きができない人がいるのに、ましてや5歳にもなっていない子供が読み書きできるなど考えられないことなのだそうだ。


 そんな私が5歳になったときにさらなる知力を神様から授かればまさにスーパー天才。

 知力系の仕事であればどんな仕事でもこなせるだろうとグアルタさんに言われた。


 しかしながら私はヒューマニアなのだ。

 知力をいっぱいもらえるならばそれは嬉しいが、あまり期待はできないだろう。

 知力も筋力も体力も多くは授かれない代わりに魔力をたくさん神様が授けようとしているのではないか、と母さんたちから5歳の能力授与の話を聞いた時から思っている。

 そのために前世からの知力を引き継いだ、知力を授ける必要のない存在がヒューマニアとしてこの世界に稀にやってくるのではないだろうか。

 

(実際のところは神様に会ってみないとみないとわかんないけど)


「私、冒険者としていろんなところを旅したいと思ってるの」

「・・冒険者?」

「そう」


 この間母さんたちに伝えた将来の夢をグアルタさんにも教える。


「冒険者なんてお前には無理だろう」


 グアルタさんの声のトーンが少し下がった。


「・・なんで?」

「お前はサルージアなんだ。お前みたいに非力で体力もないやつに冒険者は務まらん。それに冒険者なんてやる必要もないだろう。あれは特定の職に就けないやつがなる、仕事と呼ぶのもおこがましい職業だ」

「この国のいろいろなところを自分の目で見たいの。この国以外にも国があるって聞いて、そっちにも行きたいと思ってる。冒険者以外であっちこっちに行けるような仕事がある?」

「なぜ他所に行く必要がある?今まで通りずっとここにいれば良いじゃないか」


 恐らく私が本当にただの5歳児であれば外の世界を知ることもなく、この狭い、両親とグアルタさんと私だけの社会で生きていく、という選択肢もあったのだろうとは思う。

 しかしながら私はこの狭い社会以外にも世界が大きく広がっていることをもう知っている。

 そもそも前世の記憶から、この世がこの4人だけであるはずがないことは分かりきっているのだ。


「グアルタ、あまり熱くなるな」


 父さんの冷静な声が鼓膜を震わせる。


「セインは知っての通り普通のサルージアじゃない。どうせ明日にはわかることだからお前には事前に説明するが、セインをずっとここに囲っておくことは不可能だ」

「だが、それにしても冒険者はないだろう。セインが取り返しのつかない怪我をしちまったらどうする。最悪死ぬんだぞ」

「冒険者の仕事でお前が体を壊したことは分かっているし、セインを心配する気持ちもわかる。だがそれでも本人がなりたいと言うのだ。であればどうすれば安全に冒険者として活動ができるのかを一緒に考えてやって欲しい」





 なんとグアルタさんは元冒険者だったらしい。

 ただの商人の熊さんじゃなかったんだね。





グアルタは元冒険者。

怪我が原因で現役を引退してます。

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