表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気づいたらもふもふ王国の住人だった件について  作者: すじこ
5~10歳 ナペルの町でグアルタのお手伝い
31/36

今後の予定

本小説の更新は月、水、金です。


「セインちゃん、これ頂戴」

「はーい!」


 初めてグアルタさんのお店に手伝いに来てからもう5年が経とうとしている。

 私はもう間もなく10歳になる。


 5年も経てばお手伝いというより立派な店員さんだ。

 初めの頃は薬関係の商品のみを担当していたが、今ではグアルタさんと完全に役割分担が出来ており、私は会計担当、グアルタさんは接客担当である。

 

 けれども10歳になるということはとうとう私も冒険者としてこの街を旅立つ日が近づいているということ。

 グアルタさんは会計担当がいなくなって大丈夫なのだろうか?

 心配には思いながらも、私は最初の冒険先として海へ行く気満々である。



 この5年はそれまで山で暮らしていた私にとってとてつもなく刺激的だった。

 ルークさんの怪我事件はあったものの、それ以降はこれといったトラブルもなく過ごせたと思う。

 

 ちなみにルークさんは相変わらずロリコンである。

 小さなクマデートに見えるはずの私を一生懸命デートに誘う姿はもはやこのナペルの町で名物と化してしまった。


 そしてこの5年で知ったことも増えた。

 まず、なんでルークさんが子供相手に愛を乞うても変質者扱いされないのか。

 なんとこの世界での成人は10歳なんだそう。

 前世を覚えている私はびっくりである。

 10歳って小学生‼

 ダメ‼絶対‼


 ……と思っていた時期が私にもあった。

 しかし、木工所にいたネズミ少年のジルケが2年前に10歳になった姿を見て納得してしまった。

 

 これも新たに知ったことなのだが、5歳で能力を授かるというメルヘン体験の後、さらにメルヘンなことが10歳の時にも起きるのだ。

 10歳になった途端、体が急成長して完全に大人になるのだ。

 もともと親元からの独り立ちが早い世界なので精神年齢的にも10歳になれば完全に大人として扱われる。


 ジルケが10歳になった次の日にその姿を見て驚きのあまり腰を抜かしてしまったのももう2年も前なのか……。



 さて、そこで問題が生じる。

 私ははたして10歳になった時に成長するのだろうか?

 私はこの世界で生まれたわけではなく、転移した後に赤ん坊に逆行しているはず。

 なので体のつくりが完全にこの世界の人たちとは異なるのだ。

 きっとアルク様が上手いことやってくれるとは思っているのだが……。

 

 まぁ、どうなるか分からないことを考えても仕方ないので私は今日も元気にグアルタさんのお店でお手伝いを頑張るのみだ。



「ありがとうございました!またお待ちしてまーす!」


 午前中最後のお客さんを店から送り出して、簡単に店内の掃除をする。

 私が店の手伝いを始めるまでは店員はグアルタさん一人だった。

 その厳つい見た目のせいか男性客が多かったこの店も私の加入により客層が広がり、売り上げも好調だ。

 そんなこのお店の一番人気はやっぱり父さんと母さんが作っている薬なのだから、本当にうちの両親はすごいと思う。


「セイン! 会いたかったよ! 今日も可愛いね! 」


 午前の営業は終了しているにも関わらず遠慮なく今日もお店に入って来るのはルークさん。

 最近は午前のお客さんが全員帰ったタイミングでお店に突撃してくることも多い。


「ルークさん。こんにちは。今日も食事していきます? 」

「今日も見事なスルー‼ セインのご飯は美味しいから食べる!」


 以前にグアルタさんとの食事中に突撃されてしまい、私たちが食しているペペ焼きの存在がばれてしまったのだ。

 それ以来、昼時に突撃する回数が増えたのは言うまでもない。


「ほんとに美味しいねぇ。こんな美味しいご飯が毎日家で食べれたらすっごく幸せだなぁ」

「ルーク、さっさと食え。それと肉食いすぎだから明日もセインの飯が食いたいなら肉持ってこい」

「……グアルタに言ったわけじゃないんだけど。肉は確かに結構食べさせてもらってるから今度持ってくるわ」


 ルークさんの私へのアピールはいつもこんな風にグアルタさんが返してくれている。


「ねぇ、セインはやっぱり冒険者になりたいの? このままナペルで一緒に暮らそうよ」

「やりたいことがあるからね。ナペルにいたままじゃできないんだ。たまには帰ってくるつもりだから」

「松葉杖のこともまだ相談したいし……」

「もう、完璧だと思うよ?」


 そう、この5年で大柄な獣人が使っても問題ないクオリティの松葉杖が完成したのだ。

 私がこの町を出るまでは身近な人にのみ松葉杖を販売してもらうようにお願いしている。

 それ以降は松葉杖で親方さんのところを独立するつもり、とのことだ。

 正直需要がどの程度か分からない商品なのでかなり危険な賭けであると思うのだが、松葉杖に限らずルークさんは木製の製品なら大抵は自分で作れる。

 万が一松葉杖の商売が上手く行かなかったとしてもお金に困ることはないだろう。


「グアルタだってもうセインがいなくなったら店成り立たないんじゃないの? お金の計算全部やってもらってるんでしょ? 」

「俺は大丈夫だ」

「なんで言い切れるんだよ」

「俺は旅商人になってセインについて行くから」






「……え?」


 初耳なんですけど。





ロリコンルークはナペルに留まります。

工房がないと商品作りはできないので。


もうすぐ2章もひと段落の予定です!

きっと!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ