第二話 アレクに会う
目が覚めた。
外を見ると日はまだ低い。
「少し早く起きすぎたか。」独り言を言う。
今日はあまりゆっくり眠れなかった。
なぜかと言えば国王陛下から
今日の議会に出席してくれとのお達しがきたからだ。
理由は想像がつく。最近復活したという魔王の存在だ。
500年前魔王が作ったメティオス王国は、文字通り魔族の多く住む国で、
魔族の持つ豊富な魔力に、十分な技術力。強国だが、政治的な混乱もあって無視できる範囲にあった。
が、今はその魔族を魔力面でも、肉体面でも、大きく上回る魔王が王として君臨しているのだ。
もはや王なき王国と馬鹿にもしていられない。
研究者の身ではあるが、一応勲章持ちの魔術師なので、そういう実力者に魔王に対抗できるか聞きたいのだろう。
まあ……「無理」だが。
兵の数も負けているし、魔力量ですら10倍は差がある。
「めんどくせぇなぁ……」
そうは言っても行くしかない。逃げることは許されないのだ。
堂々とネガティブな諫言をしてこよう。
そんなこんなあって王都にある城に着いた。
城といってもどちらかと言うと宮殿に近く、国王陛下もそこに住んでいる。今日の議会もそこで行われる。
「はぁ……」
ため息をつきながら歩いていると、
「よっ!」
アレクに出会った。
ウォルフンガルム•アレク
アレクの本名。天才であることで誤解されやすいアルフレッドを幾度となく助けてきたアルフレッドの唯一の親友。
「久しぶりだな」ぶっきらぼうにアルフレッドが言った。
「ん?何をそんなに落ち込んでんだ?」
「これが落ち込まずに居られるか、今から俺は国王陛下に
公開処刑されるんだぞ!」
「は?お前なにやらかしたんだよ!」
いきなりの問題発言にアレクの語気も強くなる。
「国王陛下に議会に呼ばれたんだ、魔王関連でな」
「お前今日呼び出されたのそれじゃないぞ?」
「じゃなんなんだ」
「簡単に言うとな……子守りだ。」
「どういうことだ?」
「それは国王陛下の口から直接聞けば良いだろ。」
「それはそうだが……」
煮え切らない様子で、アルフレッドは頷いた。