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計算違い

次の日早速アルバート様から貰った栞を持って授業へと向かった。


授業中も嬉しくて何度も何度も栞を見てはニヤついてしまう。


本当にアルみたい。


アルバート様がそれを選んだ事に驚いたがそれよりも喜びの方が勝っていた。


喜ぶ私は不機嫌そうに睨む視線に気が付かないでいた…


授業が終わったので席を立ってアルバート様との待ち合わせ場所に向かおうと教室を出ようとすると「急いで何処に行かれますの?」セーラ様達に行く手を阻まれた。


「すみません、急いでますので…」


関わらないように横をサッと通り過ぎようとするが広がって通り道を塞がれる。


「すみませんが退いて貰えないでしょうか?約束がありますので」


「シルビアさんと約束?そんな人いるわけないでしょ?いつも寂しく一人でいるのに…そんなあなたに話しかけてあげる優しい人は私くらいでしょうね」


何を言っても無駄そうだなと私は無視して強引に横を抜けようとするとドンッと肩を押された。


1体1なら負けなかったが二人に同時に押されては敵わない。


後ろに押されて倒れると持っていた荷物が床に転がってしまう。


するとアルバート様に貰った栞見られてセーラ様が拾った。


「授業中に何を見ていたかと思えば…シルビアさんがこんな高価な物持てるわけ無いですよね?どうしたんですか、まさか盗んだとか!?」


「違います。貰い物ですから返してください」


私が手を伸ばして奪おうとするとサッと上に上げてニヤリと笑った。


「そんなに焦るって事は図星なのね、嫌だわ~下層の人は品性も無いのね」


クスクスと笑うと周りからも失笑が漏れた。


どうやら私がシスレー公爵の娘になった事は学園には伝わっていないようだ。


家族との連絡も限られるので伝わらないのも仕方ないが…


しかし自分からそれをひけらかす事もしたくない。

ここは穏便に済ませて早く立ち去ろうと思った。


「すみませんがそれは大事な方から頂いたものです。返していただけないでしょうか」


私は下げたくない頭を下げた。

とりあえずは栞を返して欲しかったからだ。


しかしセーラ様は笑うのを止めてくれない。


「こんな物に必死で恥ずかしいこと」


私が何も答えずに手を差し出しているとその手をはたかれた。


「まるでお預けをくらう犬のお手みたいね、恥ずかしいからやめてくださる?」


「ならどうしたら返してくれるんですか」


「うーんそうね…なら返すからこの学園を止めてくださらない?あなたみたいな人がいると学園の品が下がるのよ」


くっ!言わせておけば…


私はプチッと我慢の限界に糸が切れた。


「さっきから品が品がと言ってますが、一番品がないのはあなたですよね。こんなくだらない事をしてそれこそ恥ずかしくないんですか?私より勉強が出来ないからって嫌がらせは止めて勝つなら家柄とかじゃなくて実力で勝負してください!」


言いたいことを言ってスッキリとする。


なんだか胸のつかえが取れた気がした…ずっと前からこうしていればよかった…もっと自分に自信を持って生きればよかった。


私は堂々とセーラ様を見つめる。


こう思えるようになったのはアルとアルバート様のおかげだった。


自分をシルビアを価値のあるもののように扱ってくれたから…


逃げずにいると…パンッ!と高い音と共に頬に痛みが走った。


ヒリヒリと熱くなる頬に叩かれたのだと気がついた。


「なんて生意気な…私を侮辱した罰よ!」


パンッ!


私はセーラ様を睨み返して同じように頬を叩いた。


「なっ!なっ!ぶったわね!この私を!!」


セーラ様が悔しさなのかワナワナと震えている。


私は叩いた手のひらを見つめた。

叩かれた頬よりも叩いた手のひらの方が痛かった。


「痛い…」


「私にこんな事をしてただで済むと思ってるの!?」


セーラ様が声を荒らげると私は負けじと睨み返した。


「叩いたらこんなも痛いのよ!そんな事もわからずに人を叩くんじゃない!人の痛みをわからないで人の上に立てると思うな!」


怒鳴りつけると教室がシーンとなる。


セーラ様は怒りに顔を真っ赤にすると私につかみかかってきた。


「くっ!」


髪を掴まれて痛みに顔をしかめる。


「お、おいそろそろ止めた方がいいんじゃないか?」


「ちょっとやりすぎだよ…」


周りの生徒達も騒ぎにオロオロとしだした。


「私、先生を呼んできます!」


一人の生徒が扉を開けようと手をかけると…ガラッ!と勢いよく扉が開いた。


するとそこには教室の中を見つめるアルバート様が見えた。


そして私達の様子を見るなりつかつかと歩いて来てセーラ様の腕を掴んだ。


「いったい何をしているんだ?」


「あっ!」


セーラ様はアルバート様を見るなりその体に身を寄せて泣き出した。


「助けてください!この方が急に襲いかかってきて…怖かった」


アルバート様に助けを求めた…あまりの変わり身に私は呆れて唖然として言葉を失った。


「シルビアに襲われただと?」


アルバート様からいつもの優しい声でなく冷たい声が漏れる…見れば顔も氷のように冷めていた。


「ア、アルバート様…」


私は違うと言いたかったが言葉が出ない…信じて貰えなかったらどうしようかと恐ろしくなる。


やっと自分を大事に思ってくれる人が出来たのに、こんな事で失ってしまうかもしれないと思うとそっちの方が怖かった。


私が震えているとセーラ様はそれを見てクスクスと笑った。


「アルバート様ですよね確か公爵家の…よかった助けてくださって、お礼に私の屋敷にご招待させてください。父にも是非紹介させてください」


セーラ様は体をアルバート様にくっつけて可愛らしく上目遣いに見つめる。


するとアルバート様は不快そうにセーラ様の体を突き放した。


「未婚の女性が体をくっつけて穢らわしいな、恥ずかしくないのか」


蔑むように睨んで一歩下がった。


「え?アルバート様?私あのアビット侯爵の娘ですが…」


セーラ様はうかがうようにアルバート様に声をかける。


「それがどうした」


セーラ様が名前を言ってもアルバート様の態度は変わらない、それどころが私の方を見てその表情を一変させる。


「シルビア、大丈夫かい?」


心配そうに声をかけて体を引き寄せられる。


セーラ様はその様子を見て鯉のように口をパクパクとさせていた。

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