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これは聞いた話なんだけど…  作者: 髙槻 澪
第二部 職場の五人組
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第二話 シェア

「じゃ、次、俺がいいっすか?」


「どうぞ」


「じゃあ……これは聞いた話なんですけど」


――――――――――――――――――――


後輩の部屋に泊まりに行って、夜中までゲームして、そろそろ寝ようって布団を敷こうとしたんですよ。


押し入れを開けたら、荷物の奥の隙間から、何か、色あせた布がちょっとだけ見えてて。

湿気っぽい感じで、ちょっとぞわっとしたんすよね。


「これ何?」って聞いたら、その後輩がさらっと言ったんです。


「あ、それ、人のなんで」


いや、“人の”って何?って聞いたら、「自分のじゃないっす」って。

「最初からあって、気持ち悪いから見てない」って言うんです。


怖っ、と思ったけど、本人が普通にしてるんで、それ以上は突っ込まなかったんですよ。


で、翌朝、押し入れのふすまが少し開いてて。

中は暗くてよく見えなかったけど、なんとなく空気が違ってたんですよね。


そのとき後輩がぽつっと言ったんです。


「共有の押し入れなんすよ」


「何と共有してんの?」って笑いそうになったけど、

その時だけは、なんか笑えなかったんですよね。

――――――――――――――――――――


「で、今話してて思ったんですけど……これ、俺の実体験でしたわ」


「……自分の体験だったんだね」


「“共有の押し入れ”って、響きがじわじわ来ますね……」


「ふふ、今どきシェアって言ってもさ……相手が見えないのはダメよね」


「ほんとそれ。今晩押し入れ開けるの、ちょっとだけ嫌だなって思っちゃいました」


「あの~、そういった話なら、僕にも……」

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