表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これは聞いた話なんだけど…  作者: 髙槻 澪
第一部 仲良し五人組
2/12

第二話 手のひら

「じゃあ……私が話す」


「おっ、来た来た」


「なんか、語りたそうな顔してたもんね~」


「……黙ってただけ」


「で、どんな話?」


「これは聞いた話なんだけど……」


――――――――――――――――――――


ある女の子が、母親と二人暮らしをしてた。


ある晩、夜中にふと目が覚めたら、隣の部屋の壁を「コン コン コン」って叩く音がしたらしい。

最初は水の音かと思ったけど、リズムが妙に人っぽくて。


翌朝、母親に「夜、起きてた?」って聞いたけど、「ぐっすり寝てたよ」って言われた。


で、数日後。


今度は、壁じゃなくて床。

「コン コン コン」って、廊下の奥から聞こえてきた。


それが、だんだん近づいてきたと思ったら、最後は彼女の部屋のドアの前で止まった。

怖くて布団に潜って震えてたら、気配はそのまま消えていったらしい。


朝になって、ドアの下のあたりを見たら、汚れてたんだって。

人の手のひらみたいな、こすった跡。

普通の大人の手より、少しだけ大きかったって。

――――――――――――――――――――


「……それで?」


「それで終わり」


「……終わってないよね?」


「怖っ……! それ、今も続いてるってこと?」


「ううん。その家、家族ごと引っ越したらしいから。もうそこにはいないよ」


「いやいや、“らしい”って……本人に聞いたの?」


「うん。つい最近、駅でばったり会って、ちょっとだけ話した」


「……なにそれ」


「“最近また、音がするんだよね”って。そう言って、笑ってた」


「……」


「……次、誰?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ