第一話 足元の感触
ふわっとした気持ちの良い風が吹く中、森の中にある家をイメージして建てられたお洒落なカフェ。
そこに集まって怖い話を始めたのは、大学時代からの仲良し5人組である。
この5人組、見た目も性格もバラバラ。
周りからは共通点が無いように見え、なぜ仲が良いのか不思議に思われていた。
色々と噂されていたが、ただの不思議&怖い話好きの集まり。
それぞれに連絡は取り合っていたが、こうして5人全員が揃ったのは、実に数年ぶりの事だった。
「皆、久しぶり!元気にしてた?怖い話の新作あるけど聞く?」
「聞きたい!」
「ぜひに…」
「え~、数年ぶりに会ったのに、いきなり怖い話?良いけどさぁ。」
「この感じ、懐かしいわねぇ」
「では…、これは聞いた話なんだけど…」
と、全員が揃って早々に私は話し始めたのだった。
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ふっと目が覚めて時計を見ると夜中の2時半。
のどが渇いたのでキッチンで水を飲み、トイレを済ませ、部屋に戻ろうと廊下を歩き出した時、ゴトッと何かが落ちる音がした。
何の音だろうかと思いはしたが、寝ぼけていた為に特に気にせず、一歩踏み出した瞬間…
足元で嫌な感触がした。
柔らかく、細長いもの。
髪の毛だと感じた瞬間に「っ!?!?!?」と声にならない悲鳴を上げて、後ろに飛び退いた。
心臓はバクバクして、冷や汗が流れる。
が、何を踏んだのか確かめようと、意を決して廊下の電気のスイッチを「パチッ」と押し、振り返ると
そこには…
髪を振り乱し、髪の隙間から見える目が血走った生首!
ではなく、美容師の妹が使った、カット練習用のマネキンの首が落ちていたのだった。
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「うわぁ〜、怖い話かと思いきや面白話じゃん!」
「途中までドキドキしてたのに…」
「あははっ!」
私は笑いながら言った。
「このあと、マネキンの首を元の位置に戻して、部屋に戻ろうとしたら、目の端でニヤリと嗤うマネキンが見えたんだけどね。
もう、振り向いて確認する勇気はなかったわぁ〜」
「「「「…えっ?」」」」
「最初に怖い話の新作って言ったじゃん(笑)
つい最近、体験したことなんだよね!」
「「「「うぇっ!?」」」」
「あははははは!!」
私は満足げに笑いながら、みんなを見渡した。
「さぁ、次は誰の話を聞こうか?」