キアラのおっぱい
5日が経った。
村人たちは朝起きて少ない食事を摂り、仕事をして夕飯を食べ、夜眠りにつく。
一見パターン化された行動のようだがそうではない。
村人同士で会えば談笑するし、その会話の内容も毎回違う。
俺が姿を見せれば好奇と親しみの混じった顔で色々と話しかけてくる。
やれ生まれはどこだとか、どういういきさつでこの村に来たとか、親はどんな人だとか。
親も故郷もないのだから答えられずにいると、最後には同情されてしまう。
挨拶をすればきちんと返してくれるし、みんないい人たちだ。
命の恩人としてグレッグの家に引き取られたとはいえ、俺はこの村ではよそ者。それなのに村のみんなは俺を快く受け入れてくれるらしい。
俺がグレッグ一家にお世話になることが決まったあの日、森に入って仕事をするかどうかで揉める男たちを見かけた。
例の魔物、ダークフォレストウルフ出現の件で、しばらく様子を見るかどうかで意見が割れていた。
森で仕事をするのは木こりと狩人だ。
どちらも村では重要な仕事らしく、結局森に入ることを決めたようだ。ダークフォレストウルフは夜にしか出ないらしい。
ただしいつもより早く村に戻ることになったようだ。
早めに森から戻ってきた木こりの中には、白い花で作った王冠を子供にプレゼントしている姿も見受けられた。
パパが早めに帰ってきて、しかもお土産までもらえて小さな女の子はおおはしゃぎ。
彼らの生活はとてもゲームのNPCのような、決まり切ったものではないような気がする。
俺はというと毎日村の外や森の中に入って例の巨大ウサギの魔物を狩ってレベルを上げていた。
試しに巨大ウサギの死体を持ち帰ってみると、キアラは大喜び。
「凄いわ!」
ぎゅっと抱きしめられてしまった。
まずい。
効く。
巨乳を俺に押し付けるのはやめてくれ。
な――っ!?
挟まれてる!?
人の頭を挟めるほどの胸が存在するのか――。
凄い。
頬でも感じる柔らかさ。つまりこのおっぱいの柔らかさは俺の頬以上。
服の布越しだというのに、なんという柔らかさなんだ!
欧米風の外見通りの大胆なスキンシップ。俺はなんとか興奮を悟られないようにするのに必死だった。
たしかに喜んでくれたのはうれしい。
豚ほどもある魔物の巨体を引きずって持ち帰ったかいがあるというものだ。
だけどこれは……。
ああ、なんだかいいにおいがする。これがキアラの胸のにおい。
と、そこへ。
「では今日はシチューにしましょうか」
「そうね」
ミラが助けてくれた。
キアラは俺を解放し、ミラと連れ立ってキッチンへと消えた。
巨大ウサギの肉はその日の晩の食卓に、シチューとなって上がった。
村を守る結界というのも見せてもらった。
村の四方に置かれた石臼のような円筒形の石。その上部に文字が刻まれていて、目に見えない結界を発生させているらしい。
文字は俺の持つ【言語】スキルでは読めなかった。
結界の防御があるから低級の魔物は入ってこれないそうだ。
そして次は現在のステータスだ。
職業 剣士
レベル10
HP 130/130
MP 33/33
状態 正常
攻撃力 20
防御力 14
筋力 16
体力 12
敏捷 11
魔力 6
火属性耐性0
風属性耐性0
土属性耐性0
水属性耐性0
聖属性耐性0
闇属性耐性0
毒属性耐性0
無属性耐性0
睡眠耐性0
精神耐性0
暗闇耐性0
麻痺耐性0
毒耐性0
呪い耐性0
耐性系は0のままなので変化はないが、重要なのは職業の欄だ。
なんとレベルが10に上がったことで職業を選択することができるようになったのだ。
しかも剣士、格闘家、魔術師、弓士、スカウトの5種類から選択できた。
何度でも変更可能で、一回の変更ごとに24時間のクールタイムが存在する。
ステータスもだいぶ上昇した。
レベルアップ時に就いている職業でステータス上昇量が違うのか、それともどの職業でも一定なのかは不明だ。
職業を変更しても取得したスキルは自由に使うことができる。
冒険者ギルドに行って転職、とか考えていただけに拍子抜けだ。
こんな簡単でいいのだろうかとも思ったが、その話をグレッグにしたところ、意味が分からないという風に首をひねっていた。
「そりゃお前、男は自分の剣を手にした時から剣士だよ。ま、きちんとした流派を学びたいならちゃんとした人に教わって剣術を収める必要があるがな」
なんて得意気に語っていた。
グレッグは主に村の荒事担当。夜間の見張りを担当することもあるが、基本的に凶暴なモンスターが現れたりするまでは特に仕事は無いらしい。
冒険者時代に蓄えた金で一家を養っている。
村の中でも比較的でかくて立派な家に住んでいて、ダークフォレストウルフに襲われたあの日以来、ミラもいっしょに暮らしている。
グレッグは大抵は家でゴロゴロしている。よほど溺愛しているのか、娘のシーラの頬をよくちゅっちゅしている。
シーラはシーラでそんなパパが大好きな様子。元気よくグレッグの背中に飛びついて髪の毛を引っ張ったりしていた。
実に微笑ましい光景だった。
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