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VRMMOっぽい異世界でスキルを取りまくって女の子と一緒にアイテム集め―最強の冒険者生活を満喫する  作者: 鉄毛布


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魔法品だらけの未踏階層

 40階層帯は広かった。

 階層1つあたりの部屋数は300を超える。


 地図がなければ下への階段を見つけるだけで奇跡みたいなものだっただろう。

 本当にバカげた広さ、複雑さだ。


 最初は過去二百年の間に一人も踏破者がいないと聞いてピンとこなかったが、今なら分かる。

 ダンジョンとは、単純な実力だけでは突破できない、ある意味異世界なのだ。

 現在存在している地図は50階層までだ。


 そこから先は未知の領域だ。

 俺はレベルが上がってドラゴン相手に手加減するほどにもなったが、まだまだ安心はできなかった。

 出現する敵の強さは、当然だがドラゴンほどではない。


 しかし耐久力はハイオークウォリーアより上だし、厄介な特性が追加されていた。


「アギガギラギジアグギギ」


 槍を持った紫色の悪魔、デーモン種だ。

 ぶつぶつと聞き慣れない言語での詠唱。


 デーモンの目の前に炎の槍が出現した。【炎槍(ファイアランス)】だ。

 俺が使ったものではない。

 そう、敵が魔術を使用してくるのだ。


「斬空剣!」


 サラの【斬空剣】で【炎槍】ごと胴体を真っ二つにされるデーモン。

 俺も護神兵ちゃんの【魔術返し】で炎を跳ね返しながら戦った。


 エリナも当然、その程度の魔術は見切って動ける。

 あっという間に殲滅した。


「魔法品だ!」


 部屋に魔法品があった。

 さっそくアイテム欄に入れて確認する。


『風の靴――装備者の速度を50%上昇、風属性耐性40、MP回復力-2』


 強い。なんだこれ。

 さすが40階層より奥の深層エリアは魔法品の強さが桁違いだ。

 当然ハズレ品だって存在するだろうから過度な期待は禁物だが、入ってすぐの最初の部屋でこれなのだ。


 テンションが上がらないほうがおかしい。

 デザインも結構よく、可愛い見た目だ。男より女性の方が似合う。


「エリナ、これ、サイズ合うかな?」


「えっ私に? もらっていいの?」


「ああ」


 エリナはにっこりと笑った。


「うれしい! ありがとうサーティ!」


 『風の靴』のサイズは問題なかった。

 なんと装備者の足に合わせてサイズがある程度変化するらしい。凄い魔法品だ。


「魔法品の装備の中にはそういう物も多いですね。もちろん、そういった機能が付いているのはある程度強力な品に限られますが」


 とはサラの解説。

 そしてその後も俺たちは、足を踏み入れる部屋のすべてで、魔法品を目にすることになる。


「凄いな。まるで宝の山だ」


 未踏のダンジョンというのがこれほど魔法品だらけの場所だったとは。

 もちろん半年前にもここにたどり着いた冒険者はいると知っている。

 ただ、半年も経てば魔法品は湧いているのだ。


 冒険者たちが命を顧みずダンジョンに挑み続ける理由が分かった。

 ダンジョンには夢がある。


「全属性耐性30%か、どう思う?」


「マスター、それは超級品です。戦う力のある人間なら誰しもが欲しがるに違いありません」


 いつもは真面目顔を崩さないサラも、今は若干目を輝かせている。

 サラだってAランクの資格を持つ冒険者。やはり強力な魔法品というのは心躍るに違いない。


「何度見ても、サーティは凄いわ。だってこんな魔術、お父様の蔵書の冒険譚にも出てきたことがないもの。サーティは物語の大賢者以上の魔術師ね」


 エリナは喜ぶポイントが違うらしい。

 鑑定なら20階層帯でのレベリングの時もやっていたというのに。


「こっちは……うわっ。昏睡の呪いだ。装備したら意識が戻らなくなるってさ」


「お、恐ろしいわね……」


「マスター、あなた様は本当に……。エリナお嬢様ではありませんが、私も、敬服する思いです」


 サラまでそんなことを言い出した。


「よしてくれ。本当に大したことじゃないんだ」


「いいえ、冒険者というのは大抵の場合、欲望に忠実な人間です。なにしろ命の危険を冒して宝を探すような者たちですからね。ちょっとくらいならと、そういう気持ちでマイナス効果の魔法品を使って命を落とす者も非常に多いのです。マスターの魔術があれば、そのリスクがなくなるのですから」


「分かった分かった。よし、下の階へ進むぞ。ここから先はダンジョンはさらに広く、部屋数も多く複雑になるだろう。気を抜くなよ」


「はーい! んっふふっふふー♪」


 元気よく返事をしたエリナは、ぴょこぴょこスキップしてついてくる。

 気を抜くなって言ったばかりなのに……。

 最初の部屋からずっとエリナはこんな感じだった。


「エリナ」


「なあに?」


「さっきからちょっとはしゃぎすぎだ」


「だってだってー♪」


 エリナは俺に見せつけるようにくるりと一回転。

 スカートのヒラヒラがふわりと舞う。


「どう? 似合う?」


 『風の靴』がよほどうれしかったのだろう。


「ああ、似合うよ」


「ふふふっ♪」


 正直、靴よりもターンの際に覗く生足のほうに目が行ってしまったのだが、黙っておこう。

 またいい装備が出たら、エリナにあげよう。


 俺たちは先へ進んだ。

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