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VRMMOっぽい異世界でスキルを取りまくって女の子と一緒にアイテム集め―最強の冒険者生活を満喫する  作者: 鉄毛布


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一瞬の決着、ドラゴン再び

「お、やっぱり湧いているか」


 40階層。例のエンシェントドラゴンのいたボス部屋だ。

 10階層は3時間、20階層は8時間、30階層は24時間間隔でボスが復活する。

 このドラゴンについては調べていないが、まあ数日ってところだろう。


「魔法品はないな」


 当然魔法品については、ボスよりも湧き間隔が長いはずだ。

 でなければボスのいない間に、ノーリスクで手に入ってしまうことになる。


「もう何年も前に見た相手って気がするわね」


「どういう意味だ?」


 エリナはにっこり笑った。


「小さく見えるってこと」


 4階建てビルほどもある巨体が小さいはずはないが、つまりエリナも冒険者として成長しているということだ。

 ドラゴンを見てまともにしゃべれないほど震えていた頃とは比べものにならない。


「サラはどうだ? 倒したことはあるか?」


「いえ、ありません。ですがドラゴンのブレスなら私の斬空剣が効くはずです」


 【斬空剣】は霊剣流の剣技のひとつで、水や炎、砂や空気を斬る【霞斬り】の上位の技だそうだ。


「まずは私が先制攻撃で音速剣を使うわね」


「よし、それでいこう。まずは俺がみんなに付与をする」


 勝手に飛び出さずに、余裕の笑みで打ち合わせ。

 本当にエリナは成長した。

 そんなエリナをサラもどこかまぶしそうな顔で見ていた。


「どうした、サラ」


「いえ、お嬢様も成長されたのだと思うと……少し感じるところが。マスターと出会って、いい経験を積まれたようですね」


「師匠、お嬢様はやめてって言ってるじゃない。それに、私はまだサーティに比べたら全然なんだから。はあ、なんだか恥ずかしいわ」


 サラはやわらかく微笑んだ。

 俺は力を込めて言った。


「さあ無駄話はこれくらいにしておこう。敵に気付かれては先制攻撃の意味はないぞ」


「っ……、そうね」


 スッと立ち上がって部屋の中に足を踏み入れるエリナ。


「【全体能力強化(オールブースト)】」


 【身体能力強化】の先のスキルだ。これは一定範囲内にいる仲間の筋力と敏捷を上げる効果がある。

 味方バフ系のスキルは初めてだ。


 50レベル近くになって未取得スキル欄に見つけた時は喜んだものだ。見た瞬間取った。これこそ欲しかったスキルだった。


「ファリス流剣技、音速剣」


 キィィ――――ンン!!


 ズバッ! ドバアアッ!


 伏せるドラゴンの足先が切断されて転がり、肩の辺りも斬り裂かれて血を噴き上げた。

 二連撃だ。

 以前は一発撃つだけがやっとだったエリナの【音速剣】も、今やその上限回数は大きく上がっている。


「しくじったわ。この距離だとまだ精度が低いわね」


「問題ない。行くぞ」


 駆け出しながら言う。

 ドラゴンも侵入者気付いた。


「ゴアアアアアアアアアアアアアッ!!」


 叫び、口を大きく開ける。

 最初から全力ってわけか。


 ゴオオオオオオッ!


 ブレスだ。

 しかし。


「斬空剣」


 ズバアアアアッ!


 ブレスが俺たちを避けるように真っ二つに割れる。


「敵、確認。応戦」


 護神兵ちゃんの【魔術返し】で、サラが割った炎がさらに逆巻く。

 そこへ俺が【体感時間遅延】と【身体能力強化】で加速して突っ込む。

 LV5まで上げた【体感時間遅延】と【身体能力強化】で、ドラゴンですら止まって見えた。


 ピシャアアアァァァァァン!

 バリバリバリバリバリ!


 俺の【斬鉄剣】は雷鳴と共にドラゴンを頭から胸にかけて両断した。

 一瞬で決着した。

 実にあっさりした勝利だった。


 エリナとサラにも経験を積ませるために、わざと一手遅らせてこれだ。

 まさかドラゴン相手に手加減する日が来るとはなぁ。


「やったわ!」


 エリナはぴょんと跳ねて喜ぶ。


「そうだな」


「サーティに教えてもらったとおりね」


「ん? なんか言ったっけ?」


「音速剣を全力で使い続けろって」


「ああ」


 俺の場合物理スキルはスキルレベル上昇で消費MPが軽減される。

 エリナの場合も、以前は【音速剣】一発分しかMPがもたなかったが、何度も使って習熟させれば消費MPが下がるかもしれないと思ったのだ。


 エリナの【音速剣】は切り札だった。だから使う機会に恵まれず、技の習熟も進まなかったのだろう。


「私も驚きました。まさかこれほど早くお嬢様の技が極まっていくとは。マスターは師範としての才能もあるようですね。さすがです」


 普通、道場では一日千回、素振りをして技を練習させるそうだ。

 だがそんな方法ではスキルの熟練度は上がらない。


 いや、俺とはまったく違う法則で強くなる他の人間だが、なんとなく実戦で経験を積ませたほうがいいという気がしていただけだ。


 そしてそれは当たった。

 エリナの【音速剣】は日増しにその鋭さを増している。


「これならファリス流の奥義、光速剣を覚える日も来るかもしれませんね」


 サラがそんなことを言った。


「どうなんだ? サラ、教えてやれそうか? 師匠として」


「いいえ、マスター。私は光速剣は使えません。私は霊剣流の剣士ですので」


 ちなみに俺は【音速剣】と【斬鉄剣】は取得した。

 だがまだ未取得スキル欄に【光速剣】の文字はない。


「それにサーティの強化魔術。まるで体に羽が生えたみたいになるの」


「マスターはひょっとしたら救国の英雄となれるほどの才を秘めているのかも……。少なくとももう神話の大魔術師の域は超えています」


「救国の英雄? Sランク資格の条件だったな。もうそんなものは持ってるし、特に必要ない」


「マスターは欲のないお方ですね」


「欲? 欲ならあるさ」


 そう。

 俺は富も地位も名声も必要ない。

 ただ今は、エリナ、そしてサラ。


 この二人との冒険を楽しめればいい。

 そして二人を守れる力があればいいんだ。

 俺たちは未知の領域である41階層へと進んだ。

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