護神兵召喚――40階層の超級魔法品
宿に戻った俺は、ベッドの上に座ってアイテム欄を確認した。
『雷帝の剣――攻撃力110、攻撃時、攻撃力の150%の風属性ダメージを追加。麻痺効果140。再使用待機時間5秒。MP回復力-5』
何度見ても強い。
あの雷は5秒に一回付与されるらしい。
つまり連続攻撃をしてもその2撃目は普通の攻撃になるということか。
一撃の威力重視のウルバン流と相性のいい武器ということだ。
ステータスの耐性欄に雷属性はなかったので何属性かと思っていたが、風属性になるらしい。
次は腕輪だ。
『護神兵の腕輪――スキル、【護神兵召喚】使用可能。再使用待機時間360分、MP回復力-10』
護神兵召喚。
なんだこれ。
左腕に腕輪を着けて、スキルの使用を意識する。
ベッドの上に魔法陣が現れる。
「ん?」
長い。
長いぞこの詠唱。
およそ二十秒が経った辺りで魔法陣が消え、腕輪が光り出した。
パアアァァァァッ!
白い光がほとばしる。
目の前に、青白く輝く鎧姿の等身大人形のようなものが現れた。
女性型だ。
ヴァルキリーって感じだ。
人形はまるで塗装前のフィギュアのようにのっぺりとした顔と体をしていた。
目鼻はついているが黒目や鼻の穴は描かれていない。
「お前、何ができるんだ?」
「敵警戒。自動応戦」
絶対凄いアイテムだこれ。
さすがは40階層の魔法品。
しかもそれの、超大当たりを引いたらしい。
「あ……」
もしかしたらこのアイテムのスキル、他の魔術スキルと同じように専用の詠唱が存在するのではないだろうか?
俺以外の人間が使うお経のようなアレだ。
この腕輪を装備していたとして、詠唱の知識がなければ意味をなさないのかも。
「もしかしてお前、呼び出すのに詠唱が必要なのか?」
「頂を目指す者、悠久の旅路、千の海、万の山、無限の地平、光の果てを、共に付き従わんと欲すならば、神意を守りし者、我が意志に神意を見出されよ、示されし意志によって、力を貸されよ、我誓う、剣を抜き、光を指し示そう、闇を斬り裂き、足を踏み出したるならば――」
まだ続いている。
俺はしばらくその意味不明な詩のような詠唱を聞いていた。
これが本来の詠唱なのか。
そんなもの、普通の人は使えるわけがない。
この詩を記した書物でもなければ、誰が鑑定したって分からないだろう。
俺以外が発見していたら間違いなくハズレ扱いだ。
「しかし目立つなこれ。こんなのを引き連れてこれから冒険するのか、俺」
「通常待機状態に移行」
スゥー……。
空気に溶けるようにして色が薄くなる護神兵ちゃん。
そして消えた。
「えっと……いる?」
スゥー……。
現れた。
「通常待機状態を解除」
なるほど。
「他に聞ける命令は?」
「……」
答えてくれない。
いまいち汎用性に欠けるようだ。
「通常待機状態に移行」
また消えてしまった。
まあようするに護神兵ちゃんの言葉通りに捉えるならば、敵と認識した存在を自動で攻撃してくれるということか。
普段は透明になっていて見えないと。
便利だな。
気になるのはMP回復力-10だ。
数値が%だとすると結構なペナルティだ。
他の魔法品との加算だとすると同じアイテムを10個装備すればMPが回復しなくなるということ。
腕輪を外したらどうなるだろう。
「まだいるか?」
今度は出てこない。
一度腕輪を外したら待機状態ではなく完全に消えるのだろう。
もう一度呼び出そうと意識を集中する。
ダメだ。
再使用待機時間の360分が経たないと使えないのだ。
しかしだいたいの使い方は分かった。
これは次の冒険から活用させてもらうことにする。
次はステータス。
職業 魔術師
レベル33
HP 550/550
MP 380/380
状態 正常
攻撃力 262
防御力 88
筋力 92
体力 65
敏捷 59
魔力 70
かなり上がっている。
少し疑問なのがカンスト値だ。
ステータス1種類ごとに99で打ち止めなのか100を突破するのか。
まあこの上がり具合を見れば突破しそうではある。
これもまたレベルを上げれば分かるだろう。
次はスキルだ。
攻撃
【疾風剣】LV3、【斬岩剣】LV1
防御
【スタミナ基礎】LV1、【防御基礎】LV1、【石肌】LV1
【返しの構え】LV1
魔術
火属性魔術
【火球】LV1、【炎槍】LV1、
水属性魔術
【水球】LV1、【氷槍】LV1、【水流撃】LV1、
【氷結波】LV10、【吹雪】LV1
聖属性魔術
【光源】LV1、【回復】LV3、【身体能力強化】LV1
時間魔術
【体感時間遅延】LV1、【体感時間加速】LV1
その他
【追跡】LV1、
言語
ラスタール言語
残りスキルポイントは使い切っているので0。
未所持のスキル候補にいくつか新しいものが出現したが、レベルが上がってから検討することにする。
30階層帯で雑魚狩りできるようなスキルがあれば効率的にレベル上げができそうだが。
眠い。
俺はシーツの上に倒れ込んでそのまま眠った。
明日のドラゴンの肉が楽しみだ。
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