Eランク昇格達成
あれから三日が経った。
防御系のスキルは格闘家に転職して【石肌】を取ってみた。
無属性耐性が5上がった。
耐性系の数値はおそらくダメージを%でカットするものだと思う。そうでなければ5という数字はあまりにも低い。
【スタミナ基礎】や【防御基礎】等の基礎系、さらにこの【石肌】はいちいち掛け直す必要のないパッシブ系だ。
効果量は少ないがパッシブスキルは常時発動という利点がある。
Eランクへの昇格条件、ケイブスパイダー探しは難航していた。
三日目にしてようやく2匹。
あと3匹で昇格だ。
魔物の強さより出現率で苦労するとは思わなかった。
魔法品もついに発見した。
8階層と9階層で見つけた。
注いだ水がほんのわずかに甘くなるコップに、ジャンプ力が20上がるサンダル。
ジャンプ力というのはステータスに無いので興味があったが、履いてみたら少しだけ高く跳べた。
この20という数値は%のようだ。
%系の効果も数字だけで表されるのがややこしい。
これらの魔法品は後で売り払おうと思う。
「うーん、【氷結波】は便利だな」
部屋内のほとんどが凍り付いて、まるで冷凍庫の中のようだ。
9階層の大抵の魔物はこれで死ぬ。
サソリのような魔物だけがパキンと氷を割って飛び出してきた。
ズバアッ!
【疾風剣】を当てて処理。
「さてと、ケイブスパイダーは……またハズレか。ん、あれは?」
凍り付いた魔物の中にケイブスパイダーがいないことを確認していたら、ふと部屋の入り口辺りを通り過ぎる人影に気付いた。
ナックルたちだ。
なんと俺にイチャモンを付けてきたあのゴリラ男を連れている。
パーティーに加えたのだろうか?
彼らは俺のいる横部屋を見ることなく通り過ぎて消えた。まっすぐ下の階層に向かったのだろう。
まあどうでもいいか。
俺は今日の狩りを続けた。
結局その日は一匹も見つからなかった。
まさかケイブスパイダーがここまでレアだとは思わなかった。
魔物の死体を換金して日銭は問題なく稼げていたのだが、昇格は大変そうだ。
そして七日目。
「とうとうやった!」
長かった。
五匹目のケイブスパイダーを職員に引き渡して証明札を手にしたときは思わず拳を握った。
「またお早いですね。今回も凄まじい昇格速度ですよ。本当にサーティ・フォルガン様はとんでもない冒険者ですね」
受付嬢はぽかんと口を開けて驚いていた。
え? 早い?
今回は手間取ったという印象しかないが。
「それにしてもレアな魔物ですね。あれが昇格条件だと冒険者同士でケイブスパイダーの取り合いになるんじゃないですか?」
「掲示板のFランククエストを20回達成でも昇格可能なので、みなさんそちらで昇格していますよ。ケイブスパイダーを狩る人はほとんどいません」
な、なんだと……。
「早く言ってくださいよ」
「聞かれれば教えました。なぜ聞かなかったんですか? あ、もしかしてダンジョン入り口で聞きましたか?」
「ええ」
「それならば運が悪かったですね。ダンジョンで聞けばダンジョン内での昇格条件を答えるに決まっていますから」
そういうことか。
なら仕方ない。
「でもサーティ・フォルガン様は今回も本当に早いんですよ? あなたの場合、むしろクエストのほうが時間がかかったかもしれません」
「そうなんですか?」
「Fランククエストは物品の配達や迷い子探し、浮気調査が多いですからね。地道で時間のかかるクエストです」
ああ、そりゃケイブスパイダー狩りで正解だ。
退屈なお使いクエストより戦闘のほうが楽しいから苦にならない。レベル上げにもなるし。
「ちなみにDランクの昇格はどっちがおすすめですか?」
受付嬢はさわやかな笑顔で言ったのだった。
「もちろん掲示板のクエストです」
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