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VRMMOっぽい異世界でスキルを取りまくって女の子と一緒にアイテム集め―最強の冒険者生活を満喫する  作者: 鉄毛布


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巨狼ダークフォレストウルフの討伐

 夜の森の中は、一歩先が見えないほどの闇に沈んでいた。

 唯一の光である月は木々の葉の向こうに隠れている。


 暗い。

 こんな暗闇の中で、迷子になったシーラはどんな気持ちでいるのだろうか。

 もしダークフォレストウルフのような強力な魔物に襲われていたら?

 もう間に合わないかもしれない。


 よそう。

 今はそんなことを考えている場合じゃない。

 次から次に押し寄せる最悪の想像を振り払うように俺は頭を働かせる。

 そうだ。未取得スキル欄に使えそうなものがあったはずだ。


 まずはスカウトに転職だ。

 システムメニューからスカウトに転職して【光源(ライト)】のスキルを取得。

 よかった、スキルポイントを残しておいて。


 使ってみたところ、このスキルは対象に一定の時間、明かりを設置するスキルのようだ。

 試しに自分の肩に【光源】を設置。

 前方を照らしながら進むことができるようになった。


 問題は森のどこへ行ったかだが……。

 昼間に何度か森へと入ってはいたが、俺は件の花畑には行ったことがなかった。

 この前花冠を持って木こりのベンが戻ってきたのは、ちょうどベンの家からまっすぐ森に入るルートだった。


 つまりここだ。入り口は合っているはずだ。

 俺はさらにスカウトの未取得スキル欄を見る。

 使えそうなスキルがあった。


 【追跡(チェイス)】のスキルを取得。

 【追跡】によって地面に残された大小さまざまの足跡の痕跡が浮かび上がる。

 新しい足跡は明るく、古い足跡は暗く浮かぶようだ。


 比較的新しい足跡の中で、子供くらいの大きさのものを発見した。

 これだ。

 俺は走った。


「ギギギギギ」


 前方から不快な鳴き声。

 これは……ネズミか?

 なんとその大きさはクマほどもあった。

 長い前歯が【光源】の光を反射してギラリと光る。


 ぬらついた目は血を固めたような赤だ。

 見るからに凶暴そう。 

 俺は【疾風剣】を放つ。


 ズバアッ!


「ギギャッ!?」


 ナイフで放った【疾風剣】は巨大ネズミの胴を薙いだ。

 むわっと匂い立つのは生臭い血臭だ。

 俺は振り返らずに走る。


「シーラ! シーラ!」


 叫びながら森を奥へ奥へと走り続ける。

 草を踏み固めただけの獣道は、よく目を凝らさなければ道であることすら分からない程度のものだ。

 迷子になるのもうなずけるというもの。


 土がむき出しになっている場所は少なく、足跡は途切れ途切れだ。

 俺は【追跡】を使いながら、シーラの痕跡を見失わないよう注意して進む。


「キキィッ!」


 声は上から聞こえた。

 俺はとっさに【体感時間遅延】を発動する。

 スローモーションのようにゆっくりとした動きで落ちてくるのはサルだった。

 吸血鬼のような獰猛な牙をむき出して俺に襲いかかってくる。

 【疾風剣】を振るう。


 ドシュッ!


 斬撃は正確にサルの胴体に命中。

 俺は足を止めずに走り続ける。

 昼間にはせいぜいがボールラビットくらいしか出なかった森だが、夜は見たこともない凶暴な魔物が色々と出現した。


 その後も巨大蛾や巨大蛇を倒しながら森の奥へと進んだ。

 そして開けた場所に出た。

 花畑だ。


 一面に白い花が咲き誇る幻想的な光景。

 月の光に照らされた花々の絨毯。

 その真ん中に座り込んでいる少女。


「シーラ!」


「あ……」


 駆け寄った俺がシーラの肩を掴むと、その目に大粒の涙があふれる。


「うっ、ううっ……あああああっ! うわあああああああん!」


「大丈夫だったか?」


 なんで帰ってこなかった。なぜずっと座ったままでいたんだ。

 そんなことを言ってもただの威圧にしかならないだろう。

 まずは彼女を安心させて落ち着かせるべきだ。


「大丈夫。もう大丈夫だから」


「ううっ……ひうっ……うううぅぅ……」


 しゃがんだ俺に抱き着いて泣くシーラ。

 その体が、びくりと震えた。


「あ……あ……」


 震える声。

 ガチガチと歯を鳴らし、目を見開いて俺の後ろを凝視している。


「ゴアアアアアアアアアアアアッ!!!」


 すさまじい咆哮が響き渡った。

 振り向いた時にはすでに巨狼ダークフォレストウルフは俺たちに肉薄し、前足を振り下ろしているところだった。

 【体感時間遅延】を発動。


 泥の中にハマってしまったかのように自由の効かない体を、最大限に動かす。

 巨狼の前足はゆっくりと、だが正確に俺に迫ってくる。

 俺はシーラを突き飛ばし、身をひねった。


 ザシュッ。


 痛みはない。

 だがダメージを表す赤色のエフェクトが視界を染めた。

 攻撃を受けたのは肩だ。


 服が破け血は流れているが、傷は浅い。爪がかすめただけだ。

 態勢を立て直してダークフォレストウルフと向かい合う。

 巨狼の左目は潰れていた。


「あの時のやつか」


 最初に食われて復活(リスポーン)したときの記憶がよみがえる。

 たいした痛みはなかったしすぐに復活はしたが、気分のいいものじゃなかった。

 もう一度は勘弁願いたいところだ。


 あの時も今も、こいつは遠くから一瞬で近づいてきた。

 それほどのスピードがある。

 スキルを当てる方法を考える必要があった。


 いっそまた体を犠牲にして隙を作るか?

 こいつが獲物を食っている最中に隙ができるのはすでに分かっている。

 だが俺がリスポーンしたら、シーラを一人こんな危険な場所に置き去りにすることになる。


 リスポーンが初期地点なのかエヌ村になるのかは分からないが、復活して戻ってきたとしても、他の危険な魔物にシーラが襲われるのは確実だ。絶対に間に合わない。

 今ここで確実に倒す。


 巨狼はすぐには襲って来ず、頭を下げて態勢を低くしている。

 この前左目を潰した俺を警戒しているのか?

 目は逸らさない。


 お互いにらみ合いながら、じりじりと円を描くように動く。

 狼の体が一瞬、さらに沈んだ。

 ボールラビットを狩り続けて見慣れた光景。溜めモーションだ。


 来る!

 【体感時間遅延】! さらに【火球】を詠唱!

 直後、ダークフォレストウルフが俺へと飛びかかってくる。

 だが俺の詠唱タイミングのほうが早かった。


 スローモーションで流れる時間の中、詠唱を終えて発生した炎の塊が一気に膨れ上がる。

 巨狼の、片方だけ残った目が大きく見開かれる。

 突然、その巨体がブレた。


 突進中だというのに、凄まじい身体能力で左へと避けたのだ。

 が、それも想定済み。

 【火球】はわざと、まだ潰れていない右目側へと若干ずらして放っていたのだ。


 本命はやつが避けた先。

 白の絨毯を斬り裂いて走る【疾風剣】の斬撃。

 無数の花びらが月夜に舞った。


 ドシュッ!!


「グガアアアアアアアアッ!!」 


 斬撃は【火球】を避けて横に飛んだ狼に吸い込まれるようにして、その右目に命中した。

 両目を失い暴れる巨狼。

 ドウとその場に倒れ、四肢をバタつかせている。

 俺はその喉にナイフを突き刺し、思い切り真横に斬り裂いた。


 グジュバッッ!!


 頸動脈を切断された巨狼は首から鮮血を噴き上げて、ぐったりと動かなくなった。


ここまで読んでいただいた皆様に、心よりの感謝を!

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作者のモチベに繋がります!めちゃくちゃうれしいです!

本当にありがとうございます!

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