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収納チートで大量お肉の大盤振る舞い

 いつものように森で巨大ウサギの魔物を狩っていたが、その日はやけに数が多かった。

 次から次と連鎖するように襲われて、その数合計20体。


 この巨大なウサギの魔物の名前はボールラビットというらしい。

 ボールのように突進して体当たりで攻撃してくるからだろう。

 だがあなどることなかれ。


 1匹や2匹ならともかくこれだけの数となるとそれなりに脅威だ。

 最初の頃は俺だって1匹と戦っただけでHPを半分も削られてしまったくらいだ。


 普段から森に入って仕事をする木こりや狩人ならいざ知らず、農作業を主な仕事とするような普通の村人にとってはこれでも十分危険なのだ。

 まあレベルを上げていくつかのスキルを取得した俺の敵ではない。


 【火球】を放つと複数体が同時に炎に巻かれた。

 何発か【火球】を放って数を減らし、残ったボールラビットを【疾風剣】で処理していく。


 ちなみに【疾風剣】はスキルレベルを上げて3にしている。

 どうやらスキルポイントを多く振り込んでいくと、それに応じてスキルの威力が上がるみたいだ。

 それだけではなく消費MPも軽減される。


 スキルレベル1の【疾風剣】は消費MP6だったのだが、スキルレベル3にしたことで消費MPが3になった。

 後に残されたのは積み重なる死体。

 ボールラビットの死体も利用価値は高い。


 肉は美味だし毛皮も……焼けたものは無理だが【疾風剣】で倒したものは利用可能。

 俺も養子とはいえグレッグの家にお世話になっている身。積極的に恩返しはしていきたい。

 ということでこれらの死体を持ち帰ることにした。


「しかし多いな。どうやって持っていくか……お?」


 手にしたウサギの一匹が消えた。

 いったいどこに消えたのだろう?

 まさか……。


 俺はシステムを開いてメニューからアイテムを選択。

 あった。

 アイテム欄にボールラビットの死体(焼け)とあった。

 この前持ち帰ったときはアイテム化しなかった。


 今回はこの前と違って全部を持ち運ぼうと意識したせいで、アイテム化のトリガーになったということか。

 一度仕組みを理解すればあとは簡単だった。

 手にした死体を次々アイテム化していく。


 アイテム欄は20体のボールラビットの死体で埋まった。

 このアイテム欄、どのくらいのアイテムを入れることができるのだろうか?

 試しに地面に落ちている石を拾ってみた。


 いくつも拾い続けて合計50個のアイテムを持てると判明。

 便利だな、とつい思ったが普通に考えればゲームなら当たり前の事だった。

 それを便利と思ってしまうのは、このゲームがあまりにもリアルだからだ。


 俺はもう村人たちをNPCだとは思っていない。

 彼らは人間だ(・・・・・・)

 さすがに家族という意識はまだないが、グレッグ夫婦は俺によくしてくれるし、本当の息子のように接してくれる。

 彼らの喜ぶ顔が見たくて俺は足早に家に戻った。


「なっ……ああ!?」


 家の前に積み上げたボールラビットの山を見て、グレッグは絶句していた。


「何もないところから、どうやって? 魔術か?」


「まあ、そんなところです」


 今までの経験からシステム等メタ的な話をしても理解されないだろうと思ったので、適当に同意しておく。

 キアラもミラも目を丸くして驚いていた。

 気付いた村人たちも何事かと集まってくる。


「こりゃすげえな。どうしたんだいったい」


「サーティが狩ってきたんだ。うちだけじゃ食いきれないからみんな持ってってくれ」


「おお、そりゃ助かる。サーティ、ありがとな」


「いえいえ」


 村人たちは笑顔でボールラビットを持って行く。


「しかしリグズのやつは悔しがるかもしれねえな。自分の狩りの腕を呪うだろうぜ」


「だな。ボールラビットはあれでなかなか手強い。囲まれないように立ち回ってなんとか1匹、危ない橋を渡って上手く行っても2、3匹だからな普通は」


「そうなんですか?」


「ああ。やつらは足は遅いが動きは機敏だ。矢を避けたり、近くの相手に突進するスピードは侮れねえ」


 矛盾していることを言っているように聞こえるが、実際その通りなのは俺も経験済み。

 ボールラビットは戦闘時の素早い動きとは裏腹に、逃げ足は遅いし逃げる相手を追いかけるのも苦手な魔物なのだ。


 まあ俺はもう苦もなく倒せるようになったのだが。

 どうやら狩人の仕事を取ってしまったみたいだ。

 少し申し訳ない。


 と、そんな俺の肩にポンと手が乗る。

 グレッグは俺に笑顔で言った。


「村の生活は裕福ってわけじゃない。収穫が多ければみんなが助かるのさ。お前はいいことをしたんだ。もっと喜べ」


「はい」

ここまで読んでいただいた皆様に、心よりの感謝を!

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