30. もしよければ青鳥さんが北風さんにチョコを送ってる短編をお願いしたいです。(撃滅機関の老害共)
青鳥「……」
北風「……」
青鳥(北風さんとのサシ飲み――今日も今日とて、全然会話が弾まねぇな!)
青鳥(いや、いつもの事なんだけどね。あれから何度か誘ったけど、毎回コレですよ。クソッ、流石にいつもダジャレに頼るのは、自分のコミュ力不足を露呈させてるみたいでいたたまれない! 事実なんだけど!)
青鳥(……北風さん、オレと飲んでつまんなくないのかな。でも誘ったら絶対来てくれるし、こっそり太陽さんにリサーチしたら飲んだ翌日は上機嫌だって言ってたし……)
青鳥(ええい、うじうじ考えても仕方ない! 何か話題を思いつけ、オレ! がんばれオレ!)
北風「……」
北風(楽しいな……)
北風(気を張らずに飲めるの、楽しい。青鳥さんは悪口とか言わないし、明るい人だし、一緒にいてとても楽だ)
北風(もう一杯飲もう)
北風「ウイスキー水割りで」
青鳥「」ビクッ
店員「はい」
青鳥「……!」
青鳥(……ペースが、速い……!)
青鳥(っていうかこの人さっきも頼んでなかった? オレまだ半分も減ってないよ! これはあれかな、会話が無くて気まずいから酒飲んでごまかしてるってあれかな。いやいやいやいや北風さんに限ってそれは……!)
青鳥(ぐぐぐ、オレが不甲斐ないせいで北風さんが二日酔いになってしまう! なんてことだ! 早く会話の糸口を見つけないと……!)
北風「……」
北風(この酒の濃度だと、あと七杯は余裕だな……)
青鳥「北風さん!」
北風「はい?」
青鳥「えっと……えっと!」
北風「はい」
青鳥「きょっ……今日は何の日かご存知ですか!?」
北風「え……」
青鳥「そう! バレンタインデーです! チョコの祭典、バレンタインデー!」
北風「ああ、そうだったんですね。何せ縁遠いもので、すっかり失念してました」
青鳥「え、だってバレンタインデーですよ? 北風さんならモテるだろうから、忘れようがなくないですか?」
北風「モテませんよ。私自身朴念仁ですし、両親のこともありますし」
青鳥「あ……すいません」
北風「いえ、事実ですから」
青鳥「で、でも、オレもモテませんよ!」
北風「青鳥さんの場合は、単に人から認知されていないだけでしょう。見目もいいし、性格も朗らかです。確かに罪を犯した人のクローンではありますが、新しい戸籍を得たからにはもう別人も同然でしょう。もっとも、青鳥さんの人柄を加味すればそのような背景など些末事ですが」
青鳥「ほあっ……!?」
北風「?」
青鳥(めちゃくちゃ……めちゃくちゃ北風さんが喋ってくれた!!)
青鳥(しかもオレのことで! オレ褒められた! 嬉しい! 流れ来てる! でもそれだけじゃダメだ、早く北風さんも褒め返さなきゃ!)
青鳥「き、北風さん!」
北風「はい」
青鳥「オレは、北風さんといると楽しいですよ!!」
北風「はい、ありがとうございます」
青鳥「いえいえ!」
北風「……」
青鳥「……」
北風「……」
青鳥「……?」
北風「?」
青鳥「オレ、また何かやっちゃいました?」
北風「いや、そんなことないと思いますが」
青鳥「でも、今一瞬時間が止まった気がして」
北風「大丈夫ですよ」
青鳥「そっか」
北風「はい」
青鳥「良かった」
北風「はい。……それに」
北風「私も、青鳥さんといるのは楽しいです」にこ
青鳥「あーーーーーー!!!!」
北風「!!?」
青鳥「あああああ良かったありがとうございます! 笑った! 初めて北風さんがちゃんと笑ったの見れた! やったー! オレ北風さんとちゃんと友達なんですね!!」
北風「え? あ、はい。私は友人だと思ってますが」
青鳥「マスター! こちらの彼にチョコをちょこっと!!」
北風「ふふっ」
青鳥「酔ってないですよ、あ、でも寄ってくるのはいいですよ? オレ苦労知らずなもんで、クローンだけに」
北風「ふふふふっ」
青鳥「わあああ良かったああああ! 実はオレ北風さん全然楽しんでないんじゃないかと思ってええええ!!」
北風「そ、そうなんですか? それはすいません。今後は、もっと気持ちを口に出すようにします」
青鳥「お願いします!!」
北風「は、はい」
店員「こちら、少々のチョコです」
北風「ありがとうございます、いただきます」
青鳥「北風さん、乾杯しましょ! オレ達の友情に!!」
北風「はい、お願いします」
青鳥「かんぱーい!」
〜翌日〜
カメ「――で、盛り上がり過ぎて二日酔いになったと」
青鳥「ううう……」
ウサギ「ヒヒヒッ、若いねぇ! バレンタインデー翌日にへばってるとか!」
カメ「相手が男なのが悲しいところだがな」
青鳥「北風さんとはそんなんじゃないです……うううう……」
ネズミ「青鳥、どうした。苦しいのか。ぎゅーしたら治るか。鵜森はいつもそれで治るのだが」
青鳥「うぐぐぐぐ出る出る内臓全部出るネズミの力強っ!」
太陽「そんで相変わらず酒が強いなぁ、北風は」
北風「それほどでも」




