20. ピィちゃんからクレイスがぜひ読みたいです!!ちよっとデレるピィちゃんに悶えるクレイスが…あああああ(新米魔王と千枚舌勇者の世界征服記)
クレイス「ピィさん」
ピィ「うむ、クレイスか。何用だ」
クレイス「恐れながらお聞きしますが、バレンタインデーというものはご存知ですか」
ピィ「ばれん……?」
クレイス「バレンタインデー。女性が男性へチョコレートを贈る、由緒正しき風習のことです」
ピィ「ほ、ほう。人間にはそんな不可思議な風習があるのだな」
クレイス「はい。なんでも在りし日の某国においては女性優位の社会だったそうですが、殊このバレンタインデーにおいては女性が強き男性に目をつけて他の者に先んじて取られないよう周りを牽制しておく重要な日だったとか」
ピィ「へぇ」
クレイス「はい」
ピィ「……一応確認するが、お前千枚舌は返上したんだよな?」
クレイス「はい」
ピィ「ふむ、なら信じよう。……そうか、今日は女が強き男を選び繋ぎ止めておく日か……」
クレイス「その通りです」
ピィ「とすれば……まあガルモデとルイモンドは外せんな。後でチョコを渡しておくとしよう。そして当然父さんもお爺ちゃんも強き男だ。他には……」
クレイス「ピィさん」
ピィ「なんだ」
クレイス「僭越ながら意見させていただきますが、彼ら魔物は既にピィさんの部下や身内でしょう。ならば、改めてここで周りに牽制する必要は無いかと」
ピィ「それもそうか」
クレイス「はい」
ピィ「ならば、他に頼れる男となれば……。ミツミル王リータとは国ぐるみで仲良くしたいものだしな。それはヨロ国王やサズ国王とて同じこと。そして、その補佐をするベロウやヒダマリも……」
クレイス「ピィさん」
ピィ「なんだ」
クレイス「重要な人間を、一人忘れてませんか」
ピィ「え……人間?」
クレイス「はい、人間」
ピィ「………………あ!!」
クレイス「!」
ピィ「そうだ、ヨロ国のゼト! 彼はスライム族の長に気に入られているからな、今後国交において重要な働きをしてくれるだろう。あとは国交といえばコミュ力のバケモノ、バリュマも……!」
クレイス「ピィさん」
ピィ「はい」
クレイス「……一人、まだ挙がっていない者がいると思うのですが」
ピィ「えー、でも一通りは言ったと思うぞ」
クレイス「……その、貴女の目の前にいる、男とか」
ピィ「クレイスのことか?」
クレイス「は、はい」
ピィ「それならチョコなど不要だ。だってお前はどんなことがあっても吾輩の味方なんだろう? だったら、周りに牽制するまでも無い。クレイスは吾輩のものだ」
クレイス「………………は」
ピィ「うん。で、他に挙がってないものは……ってえええええ!? どうしたクレイス! ちょっ、誰か! 誰か来てくれ!! クレイスが泡吹いて倒れた!! えーっ!? なんでだよお前! どうして!?」




