この者勇者につき
「ん・・・・ここは・・・?」
見上げると見知らぬ天井・・・てか何この豪華なベッド!?ヒラヒラとした天蓋付のキラキラとしたベッドに寝かされていた。
「うわー・・・これが噂のお姫様ベッドか?」
辺りを見回すが人の姿は無い。
「・・・どうしよう?」
とりあえずベッドから降り扉に手をかける。
「鍵は開いてる・・・」
ドアノブを回し外に出る。
「誰か・・・居ませんか?」
問いかけるも返事は無い。
「うーん。どうするかな・・・ん?」
中庭の方で何か音がしたような気がする。
「・・・行ってみるか・・」
中庭は見える位置にあるので迷う事は無いだろう。
「ふん・・・ふん・・・ふん」
中庭に付くとそこには一心不乱に剣を振る赤毛の人がいた。後ろ姿からでは男性か女性かは判断がつかないがその姿は中々堂に入っていた。
「・・・おわ!?聖女様いつの間に!?」
後ろで眺めていた事に気が付いたようで狼狽えていた。
「僕の事は気にしなくていいですよ」
「いえ、聖女様が目覚めたのでしたら姫様達に連絡しないといけないので・・あ!もうこんな時間に!」
余程集中してたんだな。
関心しながら近づき手を差し出す。
「僕はヒカル君は?」
「わた・・僕はアーヴァイン今代の勇者です」
そう言うと差した手を握り握手を交わす。
へーこの人が勇者か・・・見た感じ真面目そうでそんなにムラっけがあるようには見えないけど・・
「あの・・・そんなに見つめられると困るんですが・・・」
「あ、悪い・・・」
「では少々先程のお部屋でお待ち下さい」
剣を鞘にしまいどこかにかけてくアーヴァイン。
「アーヴァイン・・・男か?」
声の感じや所作からは女性のような印象を受けるが・・・
「・・・そこは僕も人の事言えないからな・・・」
もしかしたら同じ悩みを持つ男かも知れない。
「いい友達になれそうだ」
一人になった中庭でそうつぶやいた。




