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僕は聖女じゃありません

「俺と付き合って下さい!!」

 

 学校の屋上で男の声が響き渡った。声を発しているのは一年先輩の工藤先輩サッカー部のエースで女子からの人気も高いそんな人が()()告白をしている。


「あの先輩僕・・・」


「ちょっと待った!!」


 屋上の扉が開きボーズの男が割り込んで来た。


(ひかる)ちゃん俺と付き合ってくれ!!」


 この人は確か野球部のキャプテンの服部先輩だっけ?確か卒業後にプロになるのが決まってるとか聞いた気がする。



「あのですから・・・」


「横からしゃしゃり出てくんじゃねぇ!!」


「お前こそ抜け駆けしてんじゃ無い!!」


 掴み合いの喧嘩に発展する二人その光景を見て普通の女子ならどう反応するのだろうか?


「私の為に争うのは止めて!」


 とか言うんだろうか?

 だが僕には1ミリもそんな気持ちは湧かない。別に好きな人がいるわけでも無い・・・それ以前の問題だ。


「・・・先輩方何度も言うようですがどちらにも応えられません。」


「「な!何故だ!?」」


「だから何度も言ってるでしょ!?」


「僕は!」


「男!」


「なんだよ!!」


 白鳥 光 ♂魂の叫びだった。







「では賛成多数によりこのクラスの代表は『白鳥 光』ちゃんに決定しました。」


「「「はーい!!」」」


「え?」


 昼の告白事件が尾を引きていてぼーっとしていた僕の耳に自分の名前が聞こえてきて現実に立ち戻る。


「な!?何で僕が()()()()()()()なんだよ!?」


「え!?だってこのクラスで一番可愛いじゃん?」


「そうよ!このクラスで光ちゃんの代わりに出れる女子はいないわよ」


 は?よく見ると黒板に書かれている名前は僕と僕が投票した子しか書いてない上に投票は僕の一票のみつまりクラス全員僕に入れてる!?


「もう確定事項だ。次は衣装について話し合いましょう」


 え?そのまま進行するの?


 話し合いの結果僕は修道女(シスター)の格好をさせられる事に決まった。抵抗?数の暴力に対して僕は無力だった。







 ミスコン当日

「では演技プランについて説明するわ!」


「演技プラン?」

 この恥ずかしい格好の他にまだ何かやれと言うの?


「そんな難しい事は言わないわ!まず舞台の中央についたら手を組んで祈るように跪く」


「うん」


「十秒位そのまま祈りを捧げて『光りあれ!』と言いながら目を開けて両手を挙げる」


「う、うん?」

 何かよくわからないけどまあそれぐらいならいいか・・・




「続きまして2年3組白鳥光さんです」


 名前を呼ばれた僕は指示された通りに舞台の中央まで行き手を組んで目を閉じる。


 ・・・そろそろかな?


「光りあれ!」

 言葉を発した瞬間、周りがチカチカと光る。え?こんな演出聞いてないけど!?


 目を閉じてたせいもあり辺りがよく見えない。だが周囲からどよめきが聞こえる。


「こ、この光は!?」


「聖女様!?」


「召喚に成功したのか!?」


 ・・・召喚?


 ようやく目が慣れてきて辺りを見渡すと・・・


「え?あれ?ここどこ?」

 そこはミスコンの会場だった体育館では無くドレスのような服を着た女性や世界史とかで見た昔の貴族が着ているような洋服を着た人あと金属の塊・・・?いやあれは鎧か?


「聖女様ようこそおいで下さいました」


「は?聖女?」

 手前に居たドレス姿の女性が声をかけてきた。


「私はセイグリッド王国の第一王女マリアーヌ・フォン・セイクリッドです」

 セイクリッド王国?え?どこ?まさか本とかでよく見る異世界召喚!?

僕が勇者!?あれ?でも確か僕の事聖女って言わなかった?


「聖女様!どうかこの国をお救い下さい!」

 膝をつき頭を下げるマリアーヌさん


「「「聖女様!」」」

 それに倣うように周りの人も頭を下げる。


「えーと・・・マリアーヌ・・・さん」


「はい!」


「僕は聖女(・・・)じゃありません」


「え?」


「僕は男なんですよ!!!」


「・・・えーと、冗談ですよね?」


「本気ですけど?」


「え!?だって・・・あの聖女様【ステータスオープン】と言ってもらえますか?」


「は?・・・【ステータスオープン】」


 目の前に半透明の板が現れる。



ヒカル・シラトリ

属性:光

職業:聖女



「は?・・・っ!・・・あ、ある・・・」

 股間に手をあてるが息子はついたままちゃんと男の子だ。


「何で男なのに聖女なんだよ!!?」


 ヒカルは世界認定の男娘になった。


次回は未定

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