第13話『あと片づけ』
体育祭が終わって今日で1週間になる。
この1週間、俺はなにもかもから逃げてきた。
体育祭翌日の朝、玉置さんが俺のいる教室に現れ、俺はそれから逃げた。今はそんなことに時間を割きたくなかった。今も玉置さんは毎日教室に現れては、俺とちょっとしたチェイスを繰り広げている。
だが、そんなことよりも、もっと大きなことがある。
六崎遥だ。
俺たちの情報隠蔽が発覚し、六崎さんは血相を変えて部室のドアをノックもせずに開けた。
俺の提案だと伝えると、彼女は怒鳴り声をあげた。
「私は、そんなことの為にやっているわけじゃないです!!!!」
わかっていた。
仁戸ちゃんに大きなお世話だと言われた瞬間から、わかっていた。
「けが人が出ていても隠したんですか?この部は、そんな集団なんですか?」
俺は、黙って彼女から目を逸らした。そう。逃げた。
「これは公表します。この学校の生徒に、危険な目に合わせるわけにはいきませんので」
そうして彼女は、俺たちに背を向けた。
もう、この部はだめかもしれない。そう思った。
だが、大っぴらには公表されなかった。厳密に言えば、ポスターが消えただけだった。噂としてながれた部分もあったが、それはすぐ静まった。
なぜかはわからない。
正直、気味が悪かった。というより怖かった。
そしてそれ以降、六崎さんとは言葉を交わしていない。
依頼者の減った日常が、何もなかったかのように続いていた。
<次回予告>
「確かにわたしは失望した。でもね、別に希望が絶ったわけじゃないんだよ」
体育祭が終わり、11月が始まった。
北上と波野の事、体育祭での一件、そして玉置次郎との話。
それらから逃げる日々。
冷たい風に吹かれる朝、彼の背中を押す者がいた。
その名は、逢坂彩葉。
再会と回帰の霜月編、開幕。
次回、霜月編第1話「霜月」
それは、二度目の出会い。




