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7話 面達磨



ようやく街へ着いたので休みたいのだが先にギルドへと報告することにした。

 ガモフがうるさいから仕方なく。


「森の騒動は悪魔と竜、オルトロスだと判明。我々七人と途中で別れた二人により三体共討伐済みです。悪魔が森へ居たことに関しては心当たりは?」

「大変助かりました。これでまた森からの恵みを受けれます。悪魔の件に着きましても詳細情報は他と共有しておりますが有力な情報はなく何故荒野や森に居たのかは分かりかねます」

「そうでしたか、分かり次第情報を渡して下さい」

「承知しました」



 ガモフ達メンバーともギルドで別れ宿へ行き一晩ゆっくりすることにした。


「人目を避ける悪魔って弱いからってこと?」

「だとは思うんだけどな。自信のレベルが低いから寄ってきた者だけを狩るって感じじゃね?」

「でも引っ掛かるよね」

「まぁそうだが、俺達はアイツ等を見つけ次第殺すのには変わりない」

「う~ん…」


 何やら悩んでいるようだが情報が足りなすぎる。

岩山で対峙したのは偶然だし森の中の話もこの街へ来なければ聞けなかった。周到なのかこの辺の人間は興味薄なのか…


ここは情報が少なすぎて長居しても仕方がないので、出発準備を整えて翌朝にはこの街を出ることにした。

 次に行くのはアーレンから1週間ほどかかる街[クインテット]、その街は4つの街道が通っているため人も情報も集まりやすいところだ。

ガモフ達はその街から下ってきた形になり、あの師弟の二人はクインテットに向かっているはず。


「向こうにつく前に寄り道するんでしょ?」

「この話を先に聞いていたら森へなんて行かなかったな」

「後で良かったねぇー」

「んーまぁ同じ方面だしな。寄り道させてもらうぞ」

「はいはい」


 昨日リーズが1万で良い話あるよとコッソリ持ちかけてきた。

その話によると白竜の住処なる所がここから北にあると言うのだが、嘘かほんとかは行ってみなければ分からない。

それなら行くしかないだろと、白竜なんて一生に一度でも見れれば良いほうだ。それを見れるかも知れないなんて運が良い、リーズには感謝しなくてはな。


「顔キモいよ」

「は?」

「にまにましてる」


歩き始めて暫く立つが穏やかで、魔物はいないし頬を撫でる風が心地良い…そう、雨さえ降っていなければ。


「こんな何も無いところでの雨なんて最悪!」

「文句言わないで岩影か木でも探してくれよ」

「もうここでテント張っちゃう?」

「びしょびしょのままテントに入るなんて嫌だね」

「大体サキが寄り道しようなんて言うからこーなるんだよ」

「いやいやいや、街道もココも変わらないからな!」


 数時間前、目印となる一本の枯れた巨大樹を見つけその場所から東に進めばその住処があると聞き、街道から逸れて今に至っている。


「あっ」

「なに!?」

「なんで怒ってんの?」

「別に怒ってないんだけど?それでなに?」

「あそこ、横穴開いてるぜ」

「ほんとだ!早く早く」


 だが、以前対峙した岩山の悪魔の事が頭をよぎる。


「気を付けろよ。あの時もあんな感じの穴だった」

「うん」


 危惧したことにはならず何もいなかったのだが、何かが居た形跡は残っていた。それも最近まで。


「何か走ってくる」

「なんだあれ?」


 雨が降りしきる中、丸い何かがこの横穴へと近付いてくる。


「ねぇ、まさかだけどさぁ…」

「この食い散らかした肉片はアイツだろうな」

「吐き気してきた」

「逃げるか?」

「冗談」


 それがハッキリと目視出来る距離まで来た。やはりカオダルマだった。オヤジの生首、額にも口がある魔物というより化け物だ。竜種より見かける数が少なく俺もこれを含めて2度目だった。


「「おまえたちはなんだ ここはおれのいえだぞ でていけでていく…でていくのか?」」


 驚いた。まさか人語を喋るなんて。


「言葉が分かるのか?」

「「わかるわかれ わからないのか?」」

「そうかスマンな。少し雨宿りをさせてもらった」

「「そうなのかそうなんだ そうか?」」

「一つ聞きたい」

「「なんだどうした どうなんだ?」」

「この辺で白竜を見たことはないか?」

「「りゅうあるはくはない りゅうか?」」

「白竜ではないが竜種なんだな。場所はここよりアッチで間違いないか?」


 何となくだが、言っている事が理解出来た俺は、白竜が目撃された方向を指した。


「「そうだそうなんだ そうだったか?」」

「感謝するよ」


 俺達は出ていこうとすると、寂しそうな表情で訴えかけてきたオヤジ。


「「まてまつ まって?」」

「なんだ?」

「「おれにのれ のる おくってく おくって?」」


 アイと顔を見合わせて驚きながらも可笑しくなって笑ってしまった。


「ハァー、なら案内頼むよ 雨やんでからな」

「「まかせまかされ まかせるの?」」


 雨が止むまでこのオヤジ頭の話を聞かされることになったしまうとは思ってもみなかったが。

 そうこうしていると、雨が上がったのでカオダルマと共に竜の住処を目指すことになった。

 カオダルマ曰く白竜ではないというのだが竜であるのは間違いないようだ。


「変な気分ね」

「全くだな、前のカオダルマは人を見たら逃げ出していたが」

「なつっこいオヤジって感じ」

「アイなら乗れるんじゃないか?」

「それは止めとく」


 先程、乗れと言うので乗ってみたらその場から動けなくなってしまったのでこうして三人?で歩くことにした。



「「みえたみえる みえない?」」

「あれか」


 荒野から草原、その先には緑豊かな一つの山がそびえ立つ。


「案内ご苦労。ここまででいいぞ」

「「いくいきたい いって?」」

「オヤジになつかれても嬉しくないんだけどな」

「全くね」

「命の面倒まで見れないぞ」

「「おれもつよいよわくない つよくない?」」


 つよいらしいので連れて行くことにしたものの不安なのは確かだ。

 この山は名前もなければ頂上へ続く道も、更に言えばこの山へと続く道もない。

此方側から人が立ち入ったようは後は見られず、何処から入るか悩んでいると。


「「くうくらう くえる?」」

「「くえるテュポーン!!」」


 突如として空間魔法を唱えたカオダルマ、その前方の木々がなくなって道が出来ていた。

困っていた俺達の為にやってくれたのだろうが。


「カオダルマ!そんなことやったら竜に怒られるかも知んねーぞ」

「「おいしくないおいしいな まずくね?」」

「じゃ止めとけ。転がって道作ってくれよ」


 ちゃんと言うことを聞いて転がる達磨、跳ね回って移動するよりしっくりくる。

 山の中に入りすっかり辺りも暗くなってしまったので、湖がある開けた場所で朝を迎えることにした。

夜は見張り、昼は道作りとカオダルマのお陰で快適に進むことが出来き、ついに竜がいるとされる頂上付近へやってきた。

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