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4話 黒竜

 


 身体が軽くなるのを感じた。それに伴い瞼の重さも無くなっていった。

 目を開けると全身が光っている。横にはアイが目を瞑り、俺に魔法を掛けている最中だと気が付いた。


「もう大丈夫だ」

「サキ!!心配したんだから!」

「すまんな、俺も死んだと思ったよ」

「ほんとバカ!…でも良かった」

『目覚めたのね』


 !! 急に頭に言葉が送られてきた。


『下』


 俺はその言葉で自分が何処に居るのか気付く。


「ノワ、助けてくれたんだな」

『アナタに死なれたら銀が悲しむ』


 俺は今、アイが召喚した黒竜[ノワルヴァーデ]の背に乗っていだ。


「それで、もう彼処から離れたのか?」

「この岩山に結界が発動したみたいで出ることが出来ないの」

『強引に出ることも出来る。でも主達は抜けられない』


 岩山を取り囲んだようにうっすらと光っている透明な壁が隔てられている事に気付く。


「そうか、それなら好都合だ」

「まさか!?また戦う気?死にかけたのよ!?それにこの結界も魔法陣も可笑しいことだらけじゃないココ!」

「だからこそだ。あの竜は喚び 出されこの結界も喚び出したヤツが貼ったもんだろう。どちらにしても出れないのならソイツを殺るしかない」

「でも」

「師匠の夢を見たんだ。こんなところで諦めては師匠に笑われる」

「……そうね。そうよね、今がやらなきゃ行けない時だよね。やりましょ!」

『私はいつでも』

「思い知らせてやる。二度はない!」


 俺は銀竜を召喚しそちらに飛び乗った。


『黒』

『なに?銀』

『ありがとね』

『むず痒い』

『フフ』


 二竜と二人で再び巨岩竜に挑む。

  巨岩竜との再戦、さっきは敗けたが次は撃ち勝つ。

 先へ進みアイツ等を滅ぼすと決めたんだ、硬いだけの中級種に遅れを取るわけにはいかない。


 俺とアイは地上に降りて空から二体の竜が攻め、アイは魔法を駆使し攻撃を行い、俺はバスターソードで斬りかかる…がびくともしない。


「嫌になるほど硬い」

「だが上の二人が注意を引いてくれている。攻撃に専念出来るのはいいことだ」


 空からのブレスや魔法による攻撃に巨岩竜はされるがままとなっている。

 その合間に斬りつけ、アイは魔法を飛ばすのだが四人の攻撃に対してもその装甲とも呼べる鱗は貫けない。


「サキ!私の魔力がもう少ない」

「なら温存しといてくれ。コイツはまだ魔力が残っているしブレスも吐く。残りは防御用で頼む!」

「わかった!」


 ジルコートとノワルヴァーデの攻撃でさえ殆どダメージを与えられていない。

 着実に弱ってはきてると思うがまだまだ底は見えず、空からの攻撃に対して時たま岩のブレスを吐き散らしている。


「俺は眼中にないってか」


 此方の攻撃に対してはなにも仕出かして来ない。

 それならと、ジルコートを呼びよせて背中に乗り片手剣を出して「ヤツの頭の上まで連れてってくれ」とジルコート に頼む。

 少し上に位置した時、俺は飛び降りその眼を目掛けて剣を突き立てた。


「ヴオオオ!」

「はっ!効いたか!」


 身体を揺さぶられ振り落とされた瞬間腕が襲いかかってきた。


「二度はないと言ったはずだ!」


 またバスターソードを出しカウンター魔法で腕を払い除ける。


 巨岩竜はバランスを崩しその場に腹から倒れた。


『二人とも!コイツを押さえててくれ!』


 ジルコートとノワルヴァーデに念話を送り、俺は召喚口上を述べ始めた。


  『悠久の時告げる光に合間見える終焉の時告げる闇、王の名の元に真の名を解き放て! ティリンス・アクロポリス!! 』


 空に描かれた魔法陣から複数の巨大な剣が出現し、それに続きその剣を振るえるほどの鎧姿の盾と剣を持った巨人が現れる。


「砕けさせろ!アクロポリス!」


 アクロポリスは巨岩竜に向かい、剣を振り上げた。

 上に舞っている巨大な剣が次々と巨岩竜を襲い、振り上げた剣を降り下ろした。


「ヴォッ…」


「終わったみたいねマスター」

「ああ」


 単なる岩のように散らばった装甲、どれが手でどれが頭なのかも分からない。


「アクロポリス。助かったぞ」


 横目で此方を見、一度頷きそのまま消え去るアクロポリスを見て『相変わらず無口』と言うノワルヴァーデにアイが同意していた。


「もうジルを維持しているのもキツい…」

「あのヒト、随分大食らいだもんね」

「ジル助かったよ」

「いいえ、マスターが無事で何よりだわ。また喚んでね」

『銀、また』

『ええ、黒』

「ノワも助かった」

『銀の主、私の主にもっと頼るべき』

「いつも頼ってるんだけどなぁ」

「いつも先走ってるのは誰よ!」

『言われてるよ』

「わかっ! ノワ、まだ居てくれ」

『気付いたの。悪魔種よ』

「出てこい!巨岩竜と契約したのはお前だろ?」



『バレていたか。我がギガロックを砕いてくれた礼をしたい』

「なにをいっ『だが、召喚に結界の維持と我も疲れた。そこでだ、コイツらを用意してやった。大人しく遊んでいるが良い。』

「逃がすわけねーだろ!」


 拵えを出しソイツに斬りかかると。


『またいずれ相手をしてやろう。では』

「おいっ!」


 ソイツが居た所には転移魔法陣が浮かび上がりソイツの姿が消えて行き、俺は宙を斬りつけていた。


 後に残されたのは20体程の下級悪魔だった。


「こんな雑魚では話にならん!憂さ晴らしにもなんねーんだよ!」


 俺は声を荒げ、もう片手にも同じ拵えを構え下級悪魔達を斬り伏せていく。


『私いらないね』

「う、うん…ありがとねノワ」

『主、また』



 全ての悪魔を斬り伏せ、ようやく一段落した。


「いつの間にか結界が消えているな」

「あの悪魔が消えたら結界も消えたよ」

「あの悪魔!人を弄びやがって!」

「あれってデビルロードよね?」

「ああ、アイツら悪魔の上級共が竜やら魔物やらを使い人間達を襲って魂を得ている」

「そして魔物達は人間の肉にありつけると」

「そうだ。俺達の街も師匠もアイツらに殺されたんだ!アイツらだけは確実に滅ぼさなければならない」

「その為の冒険でしょ?ならとことんやろう」

「ああ、付き合ってもらうぞアイ」

「どこまでも」


 俺達は当初の予定通りアーレンに向けて歩き始めた。





  [黒竜]

 ブラックドラゴン。上級種に位地し、一般的な西竜と同じ大きさである4メーター(尻尾は含まれない数値)。

 死を振り撒くとされる翼を有するとされているが事実は異なる。

 魔法、打撃と双方バランスが良く近距離遠距離とオールラウンダータイプ。

 アイと契約している個体ノワルヴァーデは以前、死にかけたていた銀竜の話を何処からか聞き心配に想い俺達の前に現れた優しい竜。銀竜が召喚獣になっていた為、その監視だと言いアイと契約する。



  [ティリンス・アクロポリス]

 元は師匠の召喚獣。武器召喚シュヴェーラの真の姿。

 複数の巨大な剣を駆使する巨人騎士。その攻撃を行うと自動的に召喚解除される。

 因みに名前の由来は大昔にそびえ立っていた城だと師匠が本人から聞いたらしい。

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