0話 12年前
読みやすく改修させていただきました!
話の内容は同じですが、ちょこちょこ文章が追加されています。
1度読んで下さった方々も目を通して貰えると嬉しいです!
毎日更新していきますので宜しくお願い致します。
遥か昔、地上の民は魔法と技術を生かして魔物の驚異を退くべくして飛翔する船や機械仕掛けの兵士といった戦闘用の機械、街の防衛に特化した巨大な塔や魔法を無効化する装置等を生み出していた。
更なる発展を遂げた地上の民だったが、人類同士による戦争と2度に渡る異界の戦争に巻き込まれて機械文明の終わりを迎えた。
今となってはその名残が遺跡として残り、古都では防衛システムが動いている所もあるそうだ。
時たまアーティファクトサモンと呼ばれる召喚方を用いて機械兵を喚ぶ召喚士を見ることがあるが痺れる程カッコいい。
いつか手に入れたいと思いながら辺りを見渡していると。
「ドラゴン…」
地面に横たわっていたその竜は此方に眼を向け頚を持ち上げた。
「グォォウ」
「討たれたのか その身体ではそう長くは持たんぞ」
朽ちた都と呼ばれる今や城も街も荒れ果てた元王都[レヴェリア]、千年前の悪魔と天使の大戦で滅んだ此処に討伐依頼が懸けられていた青竜が根城にしているとギルドからお呼びがあったので来ていた。
相方がいるが、俺とは離れた場所を調査している為単独行動である。
そこで見つけた。俺の目の前に居るのは光々しい鱗を持った銀竜だ…
「なぜここにいる?青竜はどうした?」
と言う問いに銀竜は口を開いた。
「渡り鳥から青竜の話を聞いた…悔しいけど、青のほうが強かった」
「そうか…それは誰の為なんだ?」
「青は破壊衝動を抑えようともせず只々破壊を繰り返すだけの存在、それを野放しにしてて良いわけがない」
「銀竜は優しい性格なんだな、感謝するよ」
礼を言うと銀竜は頭を地面に着けた。
普段なら美しく見るものを魅了する鱗を持つ銀竜だが、今はこの有り様…至る所から流れている血は俺の足許を染めるほどであった。
「治療がしたい、この巨体では魔法が行き届かない…悪いが人型になってくれんか?」
「…」
「信用出来ぬならこの剣を渡す。変な素振りをしたらそれで俺を斬ってくれ」
「変わった人ね」
銀竜がそう言うと光を纏い小さくなっていく。
「女だったのか」
そこには傷だらけの20代と思われる美人が座り込んでいた。
「どちらかと言うと女になるかしら」
「ハハッ 俺は白魔法ってヤツァ得意じゃないんでな 時間かかるけど横になって大人しくしててくれ」
「ありがとう」
俺は少ないMPを空になったので魔力吸収剤を飲んでまた回復魔法を懸ける。
「もう大丈夫」
「10回くらいで人型の銀竜のHPは半分くらいは回復した と言いたいがどーだろ?」
「半分は回復したか?」
「3分の1くらい」
「…まぁ瀕死よりはマシだよな」
「うん 助かったわ」
そこで俺は少し間を置いて、自分の考えを口に出して見ることにした。
「もし良ければ俺と召喚契約を行ってほしい!」
銀竜は驚いた表情で此方を見つめている。
「自己紹介がまだだったな…俺はサキ・ゼロニス 見ての通り人間だ。武器型と召喚契約をしている」
「…ジルコート」
「それが君の名か」
コクりと頷く。
「契約してもらえないだろうか? 俺一人で竜や悪魔に傷すら付けられないだろう、此処に来た理由も偵察だ」
「…」
「非力な俺に力を貸してくれ!!」
「いいわ」
「理由は聞かないのか?」
「貴方は悪い人間では無さそうだし、何より召喚獣になるなんて楽しそうだもの」
「そうなのか、ありがとう」
微笑む顔を俺に向けてくれ、理由も聞かずにただ契約の義を行ってくれた。
俺とジルコートに紋章が刻まれ、契約が完了する。
竜の姿に戻った銀竜は魔法陣の中に光と共に吸い込まれて行き、「マスター、傷の事感謝するわ」と言い残した。
マスター、その言葉にむず痒くなるが悪くない。むしろようやく召喚士になれた気分にさせてくれる一言だ。
「何してたの?」
少し余韻に浸っていると、共に旅をしている相方が心配した表情で問いかけてきた。
「ん?竜と契約してたんだが」
「え?ドラゴン?嘘っ!?」
「ほんと。ほら、行くぞ」
「待ってよー!行くって帰るの?ブルードラゴンはどうするの?」
「奴ならもう此処にはいないようだ。帰って報告するぞ」
「そーなの!?ってか竜と契約って何?誰と契約したの?」
銀竜と答えると更にヒートアップしそうなので適当に誤魔化しつつ帰路につく。