71話 ポピレナシアの想い その2
「大丈夫ですか?」
ん?
「ヒャタフリフさん」
は!
『どうなったの?』
「終わりましたよ。ヒャタフリフさんのお力添えで若干やり過ぎてしまいましたが」
『どういうこと?』
「見ていただければ判るかと。あと大変申し上げ難いのですが」
『なによ』
「その、そろそろ離れていただいたほうが」
?
そういえばこいつの顔がえらい近くにあるわね。
というより、なんかこいつ小さくなってない?
どういうこと?
「えーと、私個人としては嬉しいんですが、さすがにこの姿勢はどうかと思うのですが」
私はこの男の首に手を回し、腰を支えられていた。
『え? あ? ちょ』
なんで?
なんか私、大きくなってるんですけど。
そしてこの体勢はなに?
「ヒャタフリフさん」
『ひゃい』
って顔が。
近い近い近い。
「大丈夫ですか?」
と、とりあえず距離をとって落ち着かないと。
あれ、体がなんか。
「どうかしましたか?」
『なんかうまく動けない』
「わかりました、ちょっと失礼しますね」
は?
え?
両手で抱えられた?
「失礼かとは思いますが、動けるようになりましたら教えてください」
『は……ぃ……』
なにコレ。
なんなのコレ。
嫌じゃないんだけど恥ずかしすぎる。
「移動しますので、少し揺れますよ」
『その前に、あいつらの拠点はとうなったの?』
「えーと、見ます?」
なんか気まずそうね。
「どうぞ」
は?
『あれはなに?』
「先程まで光神教の部隊の拠点があった場所です」
『いやいやいや、おかしいでしょ』
目の前に大きな穴が一つ。
拠点だった場所が跡形もなくなくなっている。
「おかしいと言われましても」
『穴しかないじゃない』
「そうですね」
『そうですね。じゃないわよ』
「私も、ここまでするつもりはなかったんですが」
『つもりがあるとかないとか、そういう問題じゃ。あ』
「多分ヒャタフリフさんの助力のお陰かと」
いやいやいや、いくら私の力で魔力を増幅できたとしてもこの威力はないわ。
というかこいつ魔法を使ったわよね。
男なのに。
『それよりも、あんた男なのに魔法を使ったわよね?』
「それよりもって。ヒャタフリフさん切り替え早いですね」
『うるさいわね。それよりもさっきの質問に答えなさいよ。あんたの属性とあの膨大な魔力、そして男なのになんで魔法がつかえるのか』
「質問が増えてますよ」
『いいのよ、気になるんだから』
「ヒャタフリフさんも大概ですね」
『いいから教えなさいよ』
「ん〜、秘密です」
『なんでよ!』
「めんどくさいから」
な、こいつ言うに事欠いて、めんどくさいって。
あのあり得ないほどの魔力に謎の属性。
しかも男で魔法が使えるなんて、絶対に何かあるはず。
『いいから、教えなさいよ』
あ、すっごい嫌な顔した。
「それよりも、ヒャタフリフさんは大きくなれたんですね」
話のそらしかたが露骨すぎるのよ。
喧嘩売ってるの?
ななななに?
急にそんな強く抱き締めるなんて。
ご、誤魔化されないわよ。
ん? 上?
「もどらない探索部隊を探しに出て戻ってみれば、これはこれは我が姫君、お会いしたかったですよ」
げ、あの気持ち悪いやつ。
「それにしても大きくなることができたのですね。これはますます私のパートナーに申し分ないですね」
やっぱり気持ち悪い。
「ただですね、そこの男は何者ですか? 何故私のパートナーに馴れ馴れしく手を触れているんだね」
『いや、これはあのね』
「どうした? 今私は姫君と大事な話をしているんだ。なに? 拠点を見てみろ?」
ああ、あれを見るのか。
「な、何ですかこれは? 拠点周辺を含めてなにもなくなっている」
びっくりするわよね。
「お前らなにをやったんだ。拠点をどこへやった」
残念ながら無くなったの。
完全に消滅しちゃってるのよ。
「なにをしたんだと聞いているぺ」
まあ、あの拠点が一撃なら
こいつらも一撃よね。
「では行きましょうか」
『まだ、質問に答えてないわよ』
「えー」
『わかったわよ、その件は一度保留にしてあげる。ただしそのかわり条件があるわ』
「なんでしょうか」
『私と話すときはその敬語とよそよそしい態度はやめなさいよ。あと、あんたのことサシチって呼ぶからあんたも私をポピーって呼びなさいよ』
「りょうかい」




