26話 巴の想い
あの日、ボク達というか地球全体がガンドラルに飲み込まれた。
その時私達三人はガンドラルの女神の一柱である闇の女神さまのもとに呼ばれた。
闇の女神さまはボク達がいきなりガンドラルに飛ばされ、苦労しないようにと戦いの訓練の場と、それぞれに1つスキルや魔法のプレゼントをくれた。
闇の女神さまの元で、10年以上も訓練を受けたボク達女神さまのお墨付きを受けてガンドラルに降りたった。
最初の頃は女神さまの元で一緒に訓練していた人達と共に行動していたのだけど、ガンドラルに来て男の人達の雰囲気が変わってしまった。
ボクだって子どもじゃない、なんとなく理由は分かってる。
ガンドラルに来たことで食欲や睡眠欲などあらゆる欲求が元に戻っていた。
もちろん性欲もだ。
そしてそばに異性がいればその欲求が向かってきてしまう。
ボクだって色々思うことがあるから、男の人達の気持ちが分からない訳じゃない。
でもそういった視線や空気を、好意を抱いていない男の人達から向けられるのはあまりいい気分はしない。
それは日が経つごとに強くなっていった。
だからボク達は自分の身を守るために、あの人達の元を離れた。
見つかると何をされるかわからないから、ルルと杏華三人でこっそりと逃げ出した。
そして逃げ出した先で彼女達と出会った。
「おーい、パポール」
「どうしたのトモエ」
とてとてとピンクのもふもふが歩いてくる。
あまりの可愛さにとりあえずハグ。
「く、くるしい。ねえトモエ、毎日このぎゅーってていうのやらなきゃだめなの?」
「そうだね、ボクの日課だ」
「はぁ」
ため息姿も愛らしい。
「それで、どうしたの?」
「んー、そろそろ集落を移動しないとだめかもな」
昨日はなかった人の通った跡がある。
それも注意して見ないとわからないように隠された跡だ。
「また人さらい?」
「分からない、分からないけど普通の人達ではないと思う。普通の人達は歩いた跡を隠すようなことはあまりしないから」
偽装の仕方が今までに比べてかなり上手い。
嫌な予感しかしない。
「トモエ待って、速すぎるよ」
焦りから自然と速度が上がっていた。
でも速度を落とす気にはなれない。
「ごめん、パポール。でも嫌な予感がするんだ」
「わかった、がんばる」
パポール達はポタ族という種族で見た目がまんまぬいぐるみのような種族だ。
その愛くるしさから愛玩用として人さらいや奴隷商、はては王族や国なんかから狙われる。
パポール達もそういった人達から逃れるように各地を転々としていた。
あの人達から逃げ出したボクたちは、ちょうど集落を移動させている途中の彼女達と出会い、意気投合。
事情を話したら一緒に来る?と誘われた。
その後は用心棒もかねて彼女達と行動を共にしている。
「ルル、杏華戻ったよ。すぐに移動の準備をしよう」
「どうしたのデスカ?」
「足跡を偽装した跡があった。今までの人さらいとか奴隷商の雇った冒険者くずれとは違うレベルの偽装。嫌な感じがする」
「それはたしかに嫌な感じね」
「うん、だからすぐに移動の準備をしよう」
「わかりまシタ」
「そうね」
「トモエ! 後ろ!」
大きなロボットが集落のまわりを取り囲んでいる。
遅かった、囲まれてる。
相手は距離をたもったまま動かない、様子見してる?
なら、今のうちに一気に退路を開く!
一番近くにいたロボットの顔に魔法の矢を打ち込む。
たぶんものを見ているのは目のはず。
矢が当たった場所から闇が広がる。
同時にその左右にいたロボットの顔にも。
「ルル、そっちはどう?」
「うまくいったと思いマス」
「こっちもなんとか」
続いて自分達のすぐ後方に矢を放つ。
地面から闇が辺り一帯に広がっていく。
前の三体のロボット以外からはボクたちが闇に覆われて見えなくなったはず。
「パポール急いで!」
相手の強さは分からないけど、パポール達を守りながらあれだけの数を相手にするのは難しい。
それにさっきの一撃でわかった。
ボクたちの攻撃でどうにかなる相手じゃない。
ロボット達の視界が戻らないうちに逃げるしかない。




