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229話 サベローシラ動く

 

「チョコ太さん、ピョン次郎さん、急な呼び出し、申し訳ありません」


「いや、構わねぇよ。何か理由があるんだろ、サベローシラさん」


「はい、是非ともご相談したいことが」


「私でお役にたてるのなら、喜んで」


「実はですね、新しい部隊を立ち上げようかと思いまして」


「新しい部隊だと?」


「はい、チョコ太さん。情報収集とトラブルの事前除去を担う部隊を作ろうかと」


「諜報部隊のようなものでしょうか? 有用かとは思いますが、なぜ急に」


「それはですね、ピョン次郎さん。無用なトラブル等で無駄に村長が動くようなことを、なるべく避けたいからです」


 あの鍛練を見ちまったからな。

 ろくでもない奴のろくでもないことで、村長が間違って本気になんかなったら、洒落にもならん。

 そんな阿呆共は何とかして事前に潰せるようにしないとな。


「なかなか面白いこと考えたな、サベローシラさん」


「素晴らしい! 素晴らしいですよ、サベローシラ様」


「では」


「協力させてもらうぜ」


「是非とも協力させていただきます」


 よし、この二人の協力は大きい。

 なにせ二人ともチキュウ出身。

 しかも村長や奥様達とそれなりに近しい人達だからな。


「それでまずは何をするつもりだ」


「部隊の立ち上げについてはナルディスナ様とレイラ様からすでに許可は得ているので、次は所属する隊員を集めようかと」


「ふう、サベローシラさんよ。大事なことを忘れているぜ」


 ?

 大事なこと?


「その顔はわかっていないようだな」


「ええ、申し訳ありません。もしよろしければ教えていただけませんでしょうか?」


「それはな」


「それは?」


「名前だよ」


「名前?」


「俺たちのこの部隊の名前だ!」


 は?


「あの、それは重要なことなのでしょうか?」


「馬鹿野郎! なにごとも形からはいるのは大切なんだよ!」


 え?


「名前のない部隊なんざ、ノリが悪くてやってられるかってんだ」


 ……。

 そんなわけねーだろが。

 ピョン次郎さんもうなづいてるし。


 この人達も村長系か。


「そういうわけで、まずは名前だ!」


「では諜報部隊でよろしいでしょうか?」


「サベローシラさん、全然だめだ。やり直し」


 は?

 駄目だし食らった上に、まだ俺が考えるの?

 いいよ、名前なんてなんでも。


「ええと、もしよろしければチョコ太さんが考えていただけると」


「サベローシラさん、ありがてえ提案だが、それは駄目だ」


 駄目なのかよ!?


「この組織のトップはあんただ。ならその名前はあんたがつけなきゃ駄目だ」


 なんだよ、そのこだわりは!?

 ってピョン次郎さんもウンウン言ってるし。

 くそ、村長に近い人物だってことの意味を理解しきれていなかった。


 どうする?

 どうする?


 ……。

 駄目だ。

 わからねえ。


「あの、参考に教えていただきたいのですが、皆さんの故郷ではこのようなことをする人々を何と呼んでいたのですか?」


「うーん、忍者、忍、隠密あたりか?」


 ニンジャ、シノビ、オンミツ……。

 オンミツか。

 なんかいい響きな気がする。

 決めた、これだ。


「ではみなさんの故郷で使われているオンミツにしましょう!」


「隠密?」


 もうめんどくせえ!

 これで押し切る!


「そうです、なんというか響きが気に入りました。ぜひこの名前で行かせてください!」


「そうかあ? なんというか面倒だから、押し切ろうって感じに見えるんだが」


 くそ、無駄に鋭いな。

 こういうところも村長と一緒かよ!

 だがそれでも!


「いえそんなことないですよ。それにチキュウの言葉であれば意味を知る人間も少ないでしょうし、何より新鮮な感じがします」


「そうかあ?」


 食い下がってくるなよ!


「そうです、もう決めました。諜報部隊オンミツ、これに決定です」


「まあ、そこまでいうならそれでいいか」


 よし、とにかく一歩前に進めたぜ!

 疲れた……。

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