20話 初めての外出
なんとかなったのか?
もう起きあがらないか。
一度倒れてから、パワーアップして復活とか定番中の定番だからな。
「爺さん、死んでるわけではないだろ?」
「ああ、死んではおらんな」
「とりあえずこれで合格か?」
「合格じゃよ」
「なら外に出してもらえるんだな?」
「約束じゃからな。だが少し待ってくれぬか。ダメージが大きすぎてしばらく動けぬわ」
「わかった」
眠ったか?
神ってやつも疲れたら眠るんだな。
しかし爺さん鼾うるせー。
歯軋りもうるせー。
「おめでとうございます、サシチ」
「ありがとうよ、ルド」
「我が主が起きればやっと外に出られますね」
「ああ、ホントにやっとだよ。長かった」
「長かったですか? こちらの空間に来てから、およそ300年しか経っていませんよ」
「俺の人生からみると十分長い時間なんだよ」
「そうですか」
「ああ、ちなみに外ではどのくらい時間が経っているんだ? 知ってるんだろ?」
「3年程かと」
「3年か……」
「外に出たらどうするんですか?」
「んー、考え中。とりあえず外の世界、ガンドラルを見てみないことにはな」
「そうですか。今のサシチなら何があっても大丈夫だと思いますよ。好きなように、やりたいようにガンドラルを楽しんでください」
好きなように、やりたいように、か。
そうだなここまで苦労したんだ、新しい世界ってやつを楽しんでみるか。
「お、起きたか。爺さん」
「うむ。さて、おぬしをガンドラルに開放するに当たって、頼みがある」
「なんだ」
「あの四人を外に連れて行ってやってほしい」
「嫌だよ」
「なぬ?」
「嫌だ」
「おぬし、この流れはうなずくところであろう」
「爺さん、あんたらがこの空間に閉じ込められて何年だ?100や200の年月じゃないだろ? 外から情報を送ってもらっているとはいっても断片的で、片寄った情報の可能性だってあるだろ?」
「う、うむ」
「しかもだ。武力馬鹿2、魔法馬鹿1、鍛冶馬鹿1。生活能力ぜったいに皆無だろ。俺自身が全く知らない世界に行くのにあんなハンデ背負ったら、すぐに生活破綻だよ」
「魔法馬鹿……そうですね。まさしく私は魔法馬鹿かもしれません!」
「ほらな? 今の会話に喜ぶところがあったか? こんなやつらだぞ」
「うむむ」
「うむむじゃねーっつの。ここと違って外に出たら腹だって減るし、住むところだっている。そういう日常の部分を継続的にこなせると思うか? あいつらに」
あの四人をつれて毎日生活なんて無理だっつの。
なんとしても阻止だ阻止!
「そんなにあいつらをつれていくのが嫌かの?」
「嫌だよ」
「ではおぬしも外に出してやらん」
「おい、ふざけるなよ」
「では連れて行くか?」
「嫌だ」
「では儂も嫌じゃ」
「おい、いい加減にしろよ」
「頼むっ」
「……なあ、なにかあるのか?」
「おぬしとの戦闘で力を使いすぎた。あの四人をここに置いたままこの空間を維持するのが難しい。最悪あの四人が消滅する可能性もある」
俺が原因の一端かよ。
消滅とかさすがに寝覚めが悪すぎる。
「わかったよ」
「あの四人を引き受けてくれるかの?」
「引き受けるよ」
「そうかそうか、引き受けてくれるか」
「んでいつ頃まで預かればいいんだ?」
「む、さてのう? おぬしの寿命が尽きるまでかのう?」
「おい、ふざけるなよ」
「ふざけてなどおらぬよ。おぬしが引き受けるといったであろう」
「いや、だから爺さんの魔力が回復するまでの間だろ?」
「はて? そんな事いっておらんぞ」
「おい」
「すでに四人はおぬしの眷属になっておる」
いつのまに!
スキル項目の下に眷属の項目と四人の名前がある。
さっきの会話か?
引き受けるの一言が譲渡の承認か。
くそったれ!
「はめやがったな」
「儂、あいつらの相手もう疲れた」
「ふざけんなよ。あんたかりにも神さま名のってんだろ? 新たな旅立ちに祝福をとかいって、旅の役に立つものくれたりするんじゃないのかよ。明らかなポンコツ押し付けてくるなよ。旅に出た瞬間にトラブル起こるの目に見えてるだろうが」
「サシチ、よろしくお願いしますね。久しぶりのガンドラル、たのしみですねー。あ、ランガー達にも外に出る準備をするよう伝えなくては!」
「いや、おまえもこんなあっさり譲渡されてなんとも思わないのかよ?」
「はて? 私としては誰の眷属でも構わないですよ。というかサシチのそばにいるほうが色々新しい発見に出会えそうですし」
「軽いな、おい。おまえ爺さんのことあの方とかいって、えらい敬ってたじゃねーか」
「いえ、あれは対峙する時に、初めてガンドラルの名前を聞くほうが盛り上がるかと思っただけですよ」
「そんな演出いらねーよ。しかもあの聞いてる方が恥ずかしくなるような名乗りのせいで、盛り上がることも驚くこともできなかったわ」
「とにかく、これからよろしくお願いしますね。私は準備があるのでこれで失礼しますよ。出発は1週間後でよろしいですね」
「おい、勝手にまとめるなよ。しかも日程まで」
「ですが私も他の3人も、それなりに準備の時間がかかりますよ」
「かかりますよじゃねえよ」
「まったく、これ以上は時間がもったいないので私はこれで失礼しますね」
「あ、おい、ルド、こらっ、まっ」
ああ、行っちまった。
まじであの四人がついてくるのか。
ありえねえ……。
「話はまとまったかの?」
「まとまってねえよ、勝手に進んだだけだよ」
「とりあえずは1週間後に出発でよいのかの?」
「もう勝手にしてくれ」
「あい、わかった。おぬしも忘れ物などないようにな」
「はあ」
「どうしたのですか? 記念すべき出発の日にため息なんて。似つかわしくないと思いませんかランガー」
「そうです。拙者なぞ、昨晩は興奮しすぎて全く眠れませんでした」
「おまえ、渋い顔して中身は小学生かよ」
「うーむ、久しぶりのガンドラル。どのように変わっているのか楽しみじゃ」
「そうですね、レーブ。私たちがここに来てからガンドラルでも1000年くらいは経っているはずですからね」
「外で1000年て。おまえらここの空間で10万年くらい過ごしてるのかよ?」
「それくらいになりますかね? まあ1000年単位で眠ってたりもしましたからね。そこまで長く居たという感じでもないですよ」
「僕もそんな感じかな?」
「うお、リシャルいたのかよ。いきなり話すな、びっくりするだろうが」
「いやいや、ずっとここにいたじゃないか」
「「「「?」」」」
「いや、みんなひどいな。まるで僕の影が薄いみたいなあつかい」
「みたいじゃなくて、薄いからな」
「薄くないよ!」
「まあいいや」
「よくないよ!」
「爺さん外にだしてくれ」
「わかった、気をつけてのう」
爺さんが言った瞬間、周囲の景色がゆがみ見たことのない場所にでた。
ここがガンドラルか……
ふと空を見上げると、ドラゴンとモ◯ルスーツ!?




