行って来ま〜す
ガッシーの母親とバトルやりたいと盛り上がっているオーガやワーウルフ達に、一月後トーナメントバトルをやろうと思うと伝える。
『トーナメント?』
「勝ち抜き戦だね、シーズンバトルみたいな物かな?」
『おお、最強を決めてそいつがスライムと戦えるのか』
「それにリザードマンの選抜者も加わると思うんだけど、それでも良いですか?
やはり現実的に全員と戦うのはいくらアンズが強くても無理だと思うから」
俺は戦えるよ!と腕の中のアンズが自己主張するけど、いくら最強生物と言っても疲れちゃうだろうし、万が一アンズに何かあったら嫌だから。
「開催は一月先ですから、体調整えるなり、鍛錬するなりして万全の体制でバトルを楽しみましょう。
ちなみにアンズに勝つと僕とも戦えます」
リザードマンとはそう言う約束なんだから、仲間の皆にも同じ条件じゃないと駄目だよね。
『おおおー、コーと戦えるのか、
そりゃあ勝たなければなんないな』
『腕がなるぜ!』
うーん、やっぱり建設などで身体動かしてても、バトルは別腹?みたいな感じなのかな?
ついでだから、その日の夕食時にトーナメントバトルについて皆に伝えた。
おー、気合充分って感じかな。
これからもトーナメントバトルは定期的に開催した方が良いみたいだね。
暴力を振るうとかではなく、あくまでも力試しの意味で戦うのが好きなんだから、発散させる為にも必要だろうなぁ。
と言う事で、試合場所になる広場もオニギリに作って貰う事にした。
闘技場みたいな大掛かりな物は技術的にどうだろう?と思ったので、ある程度の広さの平地に柵を作って囲い、その場所は地面に叩きつけても怪我しないように念入りに石や木の根などが残らない様整地してもらい、一先ずそこに『グラウンド』と名付けておく。
場所にも名前が無いと不便だから…と思って付けたけど、意味は通じてなくても、そう言うものだと納得してもらおう……うん。
*****
さて、町づくりも随分進んで予備の家も複数建った。
衣料品や家具、畑作などの目処もたったし、皆の様子も問題ないな。
それじゃあそろそろ……
「エルフを迎えに行って来ようと思うんです」
ロアにしごか……指導されているシルジットに報告に行く。
「ああ、住める場所も出来ましたし、それも良いかもしれませんね」
「サクラに馬車を出してもらって、アンズは護衛も兼ねて付いて来てもらうとして」
面倒回避の牽制にもなるしね。
「ガーリックは念の為に残って貰うつもりなんです」
何か有ってもガーリックなら対処出来るだろうし。
「おもちは置いて行く訳にはいかないとして、ホッティも付いて行くと言うんです」
人が増えすぎてまだ落ち着かない様だから一旦町から離れるのも良いかと思うし、本人も付いて来るって言うからね。
「シルジットはどうします?」
「私も……」
言葉を発しかけたんだけど、ロアがわざとらしい咳払いをして言葉を止める。
「オッホン…コウイチ様、誠に申し訳ありませんが、シルジットには余り時間が有りませんので、こちらに残ると言う事でも宜しいでしょうか?」
「……はい、そうですね。
一年なんてあっという間なんですから、時間は無駄に出来ませんね」
あ…とかう…とか言ってる様だけど、気付かなかった事にしておこう。
早くお姫様の元に戻る為にも時間は大事に使わないとね。
…決して僻みでは無いからね。
エルフの住処まで行って帰って来るだけなら二日も有れば余裕だけど、荷造りとかも有るだろうし四、五日の予定で出向く事にした。
一月後にはトーナメントバトルもやるんだから、余裕を持って戻って来て鍛錬しないとね。
エルフと縁の有るロウも一緒に迎えに行きたがってたんだけど、僕がお願いした米もどきと大豆を放っておけないと諦めた。
留守番を言い渡されたガーリックも少し不満顔だけど、君はカーツとの関係修復が今一番大事でしょ。
それにやっぱり居ない間の不安も有るし、何も無いだろうけど、対処出来るのはガーリックしか居ないだろうから。
オニギリも頼りになるけど、問題が起こった時に僕の代わりに対応出来るかと言うと不安が残る。
ガーリックは右腕的存在なのかもしれないね。
サクラの都合に合わせて三日後に出発する事になった。
当日はロウがお弁当作ってくれたので、有り難く頂戴する。
夕食なんかは狩が出来るアンズが居るし、ホッティは簡単な料理ならシルジットに教わっているので、助かる。
男性エルフとコボルトには徒歩で移動して貰うとして、僕とホッティ、女性エルフの四人が乗れる大きさの馬車を用意して準備は整った。
「じゃあ行って来ます。
なるべく早く帰って来ますので、皆さんはそのまま作業を続けていて下さい。
戻ったら歓迎会をしたいので、ロウさんは下準備もお願いします」
ノーキン集団と言えども、それそれ皆やる事が有るので、やり甲斐が有ればそちらに集中して余分なトラブル無いだろうし、いざとなったらガーリックが血を吸えば落ち着くからね。
僕は安心して出発だ。
「それじゃ後はよろしくお願いします。
行って来まーす!」
「行ってらっしゃい」
「気を付けて下さいね」
『早く戻って来いよ』
皆に見送られて馬車は動き出す。
たった一人で異世界に召喚されて、いきなり魔王になれとか言われたり、色々残念な事だらけで何度も帰りたいって思ったけど、過ぎてみたら楽しかったな。
良い人との出会いのお陰なんだろうけど、大した苦労も無かったし、今ではこんなに沢山の仲間……(家族かな)が居るし、これからもっと増えて行くかもしれないよね。
正直なところ、魔王になれたのかわからないけど、皆で力を合わせてこれからもやって行く、そのトップの様なものとしか思えないんだけど、これで良いのかな?
………神達からの突っ込みが入らないんだから良いんだろうと思っておこう。
さて、これからも頑張るぞ!
いつもの様に頭の中で色々考えていると、アンズとホッティがじっとこちらを見ていた。
『アルジ、どうかしたの?』
「………何か…心配事……?」
「いや、何でも無いよ。
ただこれからも頑張らなきゃなって気合いを入れてただけ」
「…………無理は……しないでね……」
心配顔でホッティが告げる。
「あはは、無理なんかしないよ。
今まで通りやれる事だけやって、出来ない事は出来る人にお願いして、一人じゃなく皆で一緒に生きて行くんだ。
だからホッティとアンズも力貸してね?」
顔を見合わせた(アンズに顔は無いからそんな雰囲気ね)二人は嬉しそうに、力強く頷いてくれた。
「任せて!」
僕の生活はまだまだ続くけど、お話しはここで終わらせて貰おう。
僕の生活を覗いてたあなた、この先は普通の日常だから、容易に想像付くだろうしね。
……うん、普通の日常だよね、きっと………多分…………
普通が一番なんだから、神達が試練とか言いださない事を願おう…………。
じゃあエルフの住処へ行って来まーす。
はい、お話はここでお終いです。
お付き合い頂きありがとうございました。
明日はお礼や小ネタバレ、次作について書いております。
次作迄の繋ぎにでもご覧下さい。




