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来訪者・3 〜ガーリックとの因縁編〜

「しかし全員純血種だったのですか……知りませんでした」

シルジットの言葉にロアが返す。

「いえいえ、ここに来たのはほんの一部ですよ。

異世界からの来訪者が魔族の為の町を作るのなら、手伝おうと思いましてね、手伝いたい者と移り住みたい者を連れて来ました。

城にはまだまだ沢山残って居ますよ」

「なぜそんなに城に純血種の方がいらっしゃるのですか?」

しかも人に変化して老化まで擬態して

「そうですね……吸血鬼の方ならわかるでしょう?」

ロアがガーリックを見ながら言う。

前言ってたよね、寂しいって。

「以前の魔族は今よりもっと本能に忠実でした。

そこで知恵を持つ純血種として生まれた私は居場所が無かったのです。

ガーム様に出会って城へ招いてもらって、それだけで嬉しかったのですが、城は知識の宝庫だったのです!

素晴らしいですよ、城の書庫!

因みに私の研究した物も書架として置かせていただいていますし」

おおぅ、本オタですか。

「私は今以上に純血種の生まれない時代の初の女性でしたから、もうどうして良いのか途方に暮れていた所をガーム様に拾われました。

城に行って女性の多さに驚きましたわ。

しかも女性ならではの仕事も有りますし、これで城に住まないなんてありませんわ。

今では長年のメイドの経験を人族やこっそり混じっている純血種に教えていますわ」

成る程、でも一つ疑問。

「なぜ純血種の方が城に集まっているのですか?

初めは初代国王がスカウトしたとして、その後は何か御触れでも出してるとか?」

「いえ、それは彼女が……」

ロアが食堂の上を見る。

釣られて見てみるとそこに大きな水色の鳥が一羽停まっていた。

「え?……もしかして………」

ガーリックが小さく呟いた。何がもしかして?

「カーツさん、此方へいらっしゃいな」

ピューレが声をかけると、暫く頭をキョロキョロ動かしていた鳥は、渋々といった感じで屋根から降りてくる。

「……やはりハーピーですか…」

気まずげなガーリックの言葉に鳥が変幻する。

人型になるかと思っていたら、上半身が人、下半身鳥、腕が羽の姿になった。

うん、成る程、ハーピーだね。しかも丸出し……、目のやり場が困るんだから隠して欲しい。

「人型にはなれないのですか?」

こっそり近くに居るロアに聞いてみる。

「完全な鳥型になれますので、人型にはなれませんね」

ふむふむ、完全変態は一種類だけなのか。

しかしなんだろう、この冷やかな空気は。

「あの二人何かあったんですか?」

元カノとか?

って言う下世話な言葉を口にせずに良かった。

「ハーピーの一族は滅びました……ガーム様が保護した彼女は最後の生き残りです………」

ガームの存在、ガーリックの気まずそうな顔、睨んで居るハーピー……

え?もしかして…

「ガーリックが…?」

やっちゃったの?

全てを言葉にしなくても頷く事だけでも通じるよね。

「…………すまなかった……」

ガーリックが頭を下げるとハーピーは鼻で笑った。

「何がすまなかったなの?

一族を滅ぼした事?」

頭を下げたままのガーリックの肩がピクリと揺れた。

「私は確かに怒ってるわ。

貴方、何に怒っているのかわからないの?」

「……ヤケになってたとは言え、一族を……」

「そんな事で怒ってないわよ、魔族として力で挑んで負けたのだから、自分の力量も測れずに滅んでしまったのは仕方ないじゃない、所詮この世は弱肉強食なのだから」

えー、一族滅ぼされてそんなんで良いの?

流石ノーキン、僕にはわからない世界だ。

ん?じゃあ何を怒ってるんだろう?

「特別種ってもっと頭が良いと思ってたわ。

いい?私が頭にきてるのはね、貴方ガーム様がお亡くなりになってから城に殆ど来なくなったでしょ?

リック様がどれだけ気にしてたと思うの」

んん?何だかよく分からないけど、このハーピーの怒りのツボは一族滅亡より初代国王の子供…二代目国王の事?

「私はリック様に育てられたと言って良いほどお世話になったわ。

なのにあの方は貴方の事ばかり気にしてたのよ。

私もあの方とのお話で色々考えさせられて、貴方が会いに来たら気にしてないって言ってあげるつもりだったのに、貴方ってばガーム様がお亡くなりになった後リック様に会いに来なかったじゃない」

「……それは…………」

「城下町には来てたでしょう、私空から見かけたわ。

リック様に今街に居ますよってお伝えしたら嬉しそうにしてたのに、貴方お城に来なかったじゃない」

「………………」

え?初代国王に二代目を子供だと思ってくれとか言われたんじゃなかったっけ?

え?初代国王が亡くなってから会いに行ってないの?

「リック様と……いえ、リック様が待ってらしたのに、貴方一度でも会いに来た?」

「……様子は伺っていたけど、ガームの後を継いで立派に人族を導いていたではないか」

「それでも!…………それでもリック様は会いたいと仰っていたのに……」

んー、んー…想像なんだけど、一つ思い浮かんだんだけど、これ割って入って良いのか?

でもこの空気壊さないとうちの仲間達も、城から来た人達も何だかいたたまれない感がめっちゃ漂ってるもんね。

ここは代表として空気クラッシャーになるか……。

「ガーリックはさ、初代国王が居なくなって寂しくて、悲しくて城に行けなかったんじゃないのかな」

きっ!とハーピーさんに睨まれた。

「寂しいですって?悲しいですって?何を言っているの?

この人その時もういい年の大人だったのよ、そんな子供みたいな………………」

この人、と言いながら翼でガーリックを指しながらその顔を見て絶句する……

ちょいとお兄さん、真っ赤だよ!

色が白いし銀髪だから顔の赤さが目立つ目立つ……。

やっぱりそうなんだ。

一人が寂しくてキレて暴走してたんだもんね。

初めて優しくしてくれた友達が亡くなってどうして良いかわからなくて、面影が有るだろう息子さんに会うのが辛かった……と言うところか?

いやはや、見た目セフィ……ゴホン、美形なのに可愛い事で。

「……いやだ、この人の言う通りなの?

リック様と顔を合わせるのが辛い程悲しんだの?

…………子供なの?」

ああ、そこまで言わないであげて、真っ赤な顔が青くなって凄いいたたまれない感じになってるから。

……あ、とうとうガーリック飛んで逃げちゃった…………。

「え?ちょっと、何なのあの人、図星さされて逃げちゃったの?

どれだけ子供なの?」

「長く生きているから大人と言うわけじゃあ無いって事だよ」

あああ…ロアさん、追い討ちですね……。

「彼の事は一度ゆっくり二人で話し合って貰うとして、皆の紹介でもしようか」

ロアさん、追い討ちからの空気リセットですね。

皆もほっとしているし、流石シルジットの先生、こちらは見た目も生きた年数も大人みたいで良かった。

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