食いしん坊で乗り物で、不器用な僕は……
アンズを探したら僕の仮設住宅の裏に居た。
「アンズ、どうしたの?昨日も今日も全然来ないよね」
アンズがこちらを見ている気配がする。目も顔も無いから気配なんだけど。
『ソイツ嫌い、アルジにくっついてばかり』
んー、んー、これは何か聞いた事あるような『弟ばかり構ってなら……』とか言うやつなのか?
一人っ子にはわからない感覚だけど。
しかも親になった事もない僕にこれをどう対処しろと……。
「この子まだ赤ちゃんだし一人で歩けないからおんぶしてるけど、他の人だと泣いちゃうからしばらく我慢して」
何を我慢するのかわからないけど、って言うかどうすればいいんだろう。
『アルジはそいつが居れば良いんだ、俺よりソイツが可愛いんだ』
これってヤキモチ?だよね?
「アンズが近くに居ないと寂しいよ」
こんな感じで良いのか?
『昨日探しに来なかった』
うっ…そう来たか。
言い繕おうとするのはやめよう、正直に
「ごめんなさい、昨日は急におもち預かったのと鉄板焼きで頭いっぱいでした。
アンズの様子が変だなと思ってたけど、食べ物の事で後回しになってたのは僕が悪かったです。
本当にごめんなさい!」
『食べ物の事でいっぱい?』
「はい、そうです……ごめんね」
そう、正直頭の中トロロ芋やら鉄板焼きやらばかりで…反省……。
『……仕方ないか、アルジ食いしん坊だもんね。
ソイツに負けたんじゃなくて食べ物に負けたんなら仕方ないか』
大人な対応で許してくれたけど、そうか、アンズの中では僕は食いしん坊キャラなんだ。
何だろう、少し悲しい……。
「おもちはまだ歩けないからこれからもおんぶするけど、アンズも近くに居て欲しいからさ、肩に乗らない?」
アンズなら上手いこと落ちないで乗ってられると思うから、提案してみた。
結果僕は背中におもち、肩にアンズを乗せて出歩く事になった。
……あれ?僕乗り物ポジションになってる気が…………。
*****
スキヤキの家へ行くと頼んでいたもう一つの物も出来上がっていた。
ふふふー、お釜だ。
いや、カマメシやピータンの事ではないよ。
仕事早いなあ。
その釜を持ってオニギリ達の元へ、
食堂の横にカマドを作ってもらう。
勿論釜のサイズに合わせてだ。
トンソクには木材で蓋を作って貰う。
僕はあの米もどきを持って川に。
確かお米ってとぐ?んだよね、ばあちゃんの姿を思い出しながら、釜に米と水を入れてギュッ、ギュッとね。
うん、水が白くなったから捨てて……あ、米も流れちゃう……まぁ、少しならいいかな。
そしてまた水を入れてギュッギュッ、水捨てて、米も流れてまた水入れて……何で?全然水が透明にならない?
ばあちゃんは四、五回でやめてたから透明にならなくて良いの?
十回程やってみたけど微妙に白いモヤモヤしたのが出ている……もう良いのか?
それより力入れ過ぎたのか米が砕けてるような……うーむ………ま、いっか。
「その作業はその実を砕いて半分捨てるのかい?」
隣で見ているガーリックの言葉に肩を落としながら答える。
「いや、本当は砕いちゃいけないし、捨ててるんじゃなくて流れちゃっただけ……やった事無いし、うっすら見てただけだから…」
「つまり失敗?」
「……はい、失敗です………」
「つまりこの白い水が透明近くになるまで、実を砕かないように洗うんだね。
次からは私がやろう。
だってコー不器用だもんね」
…自分不器用ですから…………うううむ…
そして問題はまだある、水の量だ。
家で使ってた炊飯ジャーはメモリが付いてたけど、スキヤキ作の釜にそんな物付いていない。
まあ初めてだから失敗覚悟で適当に水を入れ食堂横のカマドに戻る。
注文通りのカマドと蓋が出来ていた。
カマドに釜をセットして、木屑に火をつけて…………どれくらい火にかけてれば良いのー⁉︎
でもなんとかなってるのかな?米の炊ける匂いがして来た。
なんとかなるもんだねー、と思っていたんだけど、やっぱり甘かった。
暫くするとちょっと焦げた匂いがしてきたので火を消す。
確か蒸らしたりするとかしないとか微かに記憶に引っかかっるのでそのまま暫く待つ……でもさ、いつまで待つの?冷めちゃうよね?
もう良いかな?と恐る恐る蓋を開けると……
「……コー、このドロドロしたの食べ物なのかい?」
ガーリックが眉間に皺を寄せてる。
おかしいなぁ、ふっくら炊きたてごはんのはずが、焦げたお粥になってる……。
米が砕けたのが悪いのか?
水の量が多かったのは間違いない。
火加減と時間は要研究だね。
その日のお昼は僕だけ焦げたお粥でした……作ったからには食べるよ!
はい、9月8日から7日間連続更新お付き合いありがとうございました。
次回からはまたいつも通りの奇数日更新となります。
ん?つまり今夜0時更新ですね。
と言う事は結果的に9話連続更新……
突っ込まないでくださいね……前回も似たような事しただろうなんて……




