チョココロネの置き土産
山から降りると皆の家が随分出来ていた。
僕達が山に登っている間オニギリ達には簡単な家を作ってもらってたんだ。
寝室、リビング、予備部屋の三部屋が有る家を沢山。
家族や子供が増える事も無いし、食事は皆で食べるから……と言うか魔族の人達は基本料理はしない。やっても肉を焼くくらいなのでキッチンも要らない。
後先日簡易露天風呂作った時に皆にも入ってもらったけど、熱いお湯に入るのは気持ち悪い、川や湖でサッパリする方が気持ちいいと不評だったので……風呂も要らない。
なので寝る部屋、寛ぐ部屋、趣味部屋で充分だろうと三部屋だ。
後は住んでからカスタマイズすれば良いかな、と一先ず住む場所を作ってもらった。
勿論僕の家……城が出来るまでの住処はじっくりリクエストするので戻ってから作って貰う。
後は大食堂と会議室も箱は出来ていた。
中身は後で様子みながらね。
そして人としてはその辺に……と出来ないトイレ事情だけど、魔族の人達は勿論いつでも何処でも…だけどそれは……ねぇ………。
シルジットに聞いてみたら、街は区域毎に公衆トイレを作り、汚物はスロープの先に設置して有る大甕に溜めて毎朝汲み取り処理しているそうだ。
……でも処理って?
そこはシルジットもわからないと言う事なので、これは真似できないかな。
なので聞きたくは無かったけどロンと繋がっているカマメシにも相談してみて、小屋を建てて穴を掘り、自然に影響出ない量溜まったらそこを埋めて違う場所へと移動させる事にする。
ロンも埋まってる土地だから、体の上に汚物……と思ったけど、気にしなくて良いと繋がっているカマメシが言うんだから不敬にはならないだろう。
*****
「ただいまー」
人の気配のする食堂へ行くと人垣が出来ていた。
なんだろうと近づいてみると壁の様なデッカい背中が……。
皆スリムなイケメン揃いなのにこの壁は……普通に椅子に座っているけどもしかして?
「チョココロネ?人型にもなれるんですか?」
「んぁ?おお、久しぶりだなコー。
やっぱり陸の食べ物は美味しいなぁ」
うん、返事じゃないよね。
まぁ見たらわかるか。
そして見たくは無いけど視界に入るチョココロネの左右……。
「やぁだぁ〜プニプニ」
「ちょっと、この感触癖になるわ〜」
左右からプニプニプニプニされてるけど気にせずモリモリ食べている。
流石だなぁ。
そして左右だけじゃなくお腹の上、胸から腹にかけて何か張り付いている。
いや、子供なんだけどね。
大の字になってガッチリ張り付いていて顔はお肉に埋もれてる。
息できてるの?
因みにチョココロネは腰布だけで子供はすっぽんぽんなので本当にめり込んでるか、生えてきている様に見えてしまう……。
「えっと、その子が今年生まれた純血種ですか?」
問いかけてみると「あお、そうそう」と答えながら左手で子供の首の後ろを持って剥ぎ取った……扱いが雑!
因みに右手には果物を持って休む事なく口に運んでいる……。
何だろう、食べ続けないと死ぬの?って聞いてみたい………。
とにかくぶらんぶらん揺れてる子供を引き取る。
ん?寝てるの?起きてるの?目を閉じているその子は僕が抱っこすると小さな両腕を伸ばし、ぎゅーっとしがみついてきた。
か……可愛い…。
母性本能と言うか父性本能と言うのか、母さん的に言うなら「ハートの真ん中をズキュンと撃ち抜かれました」だよ。
暫くモゾモゾしてたけど、収まりが良い場所を見つけたのか嬉しそうに笑って顔を埋めてくる。
赤ちゃんって身を守る為に可愛く生まれるって聞いたけど、本当可愛い。
僕が守ってあげないと!って気持ちになるよ。
「あー、良かった良かった、コーに懐いてくれた。
ソレの親が海獣に食われて死んじまってさ、このままじゃせっかく生まれたコイツも死んじゃうだろ。
だから連れてきたんだ、コーなら何とかしてくれるかなってさ」
「いやいや、ちょっと待って、計算的に生まれたてでしょ?
確か母親から栄養貰う時期なんじゃ無いの?」
僕は母乳とか出ないし、子育てどころか、一人っ子だから年下の子の世話もした事無いのに、無茶振りですよ。
「んー、何か大丈夫?
コイツちょーっと変わってて引っ付いてるだけで良いみたい」
ドユコト?
頭の中はてなマークだらけにしているとガーリックが聞いてきた。
「もしかしてくっつく事で養分吸収してるとか?」
「何だかそれっぽいな。
だって3日ほど何も口にしてないぜ、ソイツ」
んーっと、イメージ的に元の世界で吸血鬼が血と一緒にイド…生気を吸って生きてるみたいに、くっつく事でその相手の生気とかエネルギー吸収してるって事かな?
「ん?それってくっつかれてるコーヤバく無いの?」
人垣の中にいたスキヤキの言葉に他の皆の視線が一気に集まる。
「いや、大丈夫じゃない?
3日ほどくっつけてたけど何のダメージも無かったし、飯も普通に食えるし、平気平気」
の……ノーテンキだ………。
『アルジ、気分とか悪くないか?』
子供がへばりついたから肩に移動したアンズが心配気に聞いてくる。
「今のところ別に何ともないよ」
そんなやり取りの間も食べ続けていたチョココロネは、テーブルの上の食料が無くなったのを見て肩を落とし
「腹八分目だけどコーに子供も渡したし一旦帰るわ」
うわー、もう超マイペース!
「え?本当にこの子置いていくの?」
「まー、頑張ってな」
んじゃ!と大っきな体に不似合いな素早さで食堂の入り口に向かう。
「あ、お土産は馬の女の子に渡したからな。
また来るわ」
余りにも一方的で皆ポカーンですよ。
本当に帰っちゃったよ。川に飛び込む水音が聞こえてきたもん。
「…………どうしょうか……」
「とりあえずコーは戻ってきたばかりなんだし休めよ。
その間俺が抱っこしとくわ」
オニギリが申し出てくれたので、ありがたく一旦休ませてもらおうと子供を渡そうとしたんだけど……
「は…離れない……」
体長四十センチも無いのにどこにそんな力が有るのか、絶対離れないとばかりにしがみついてる。
「貸しなさいよ、アタシが抱っこしてあげるから」
カマメシがちょっと強引に……と言うか力任せに剥ぎ取ろとしたけど、全然離れない。
「アナタだと怖いのよ、あたしの方が適任よ」
ピータンが更に力を入れて引っ張ると…………服が破けた……。
破けた服ごと抱っこしょうとしたんだけど……
「……ふぅえ………ふゃ〜〜ん…ふゃ〜〜〜ん……ふゃ〜〜」
「あらやだ、泣き出しちゃった!
やぁだぁ、ほらほら泣かないの」
ピータンが一生懸命あやすけど泣き声は大きくなるばかり。
「ほら見てみなさい、アナタの方が怖いのよ。
アタシに寄越しなさい」
カマメシがひったくるけど、案の定……
「ふぎゃ〜〜!ふぎゃーーーー!」
より激しく泣き出した。
まぁ捕食者と被食者だしね。
その後誰が抱っこしても一向に泣き止まない。
「これは他の奴らじゃダメなんじゃ無いの」
ガーリックが取り上げて僕に戻すとピタリと泣き止んだ……気に入られてる?
「暫くコーが面倒見てやれよな」
えー、ハーレムも無く、彼女も出来ないうちから子持ちですかー?
まぁ可愛いけど、守ってあげないとと思うけど、一年で大人になるんだろうけど、十七歳で子持ちですかー?
僕新品なのに子持ちなんですかー?
モヤっと感が止まりません……。
白くてモチモチしててくっついて来る子供の名前はモチロンおもちちゃんです。
因みに小ちゃいのが付いてる男の子です。
しかし子持ち………………
DT17歳高校生子持ちになりました……え?そんな予定無かったよ?
しかも全くの他人の子を押し付けられてしまいました。
いやいや、受け入れてるけどそれで良いのか?
懐広いと言うよりある意味ちょっと変な主人公ですが、明日もよろしくお願いします




