宴…かな?それとも食事会かな?
「じゃあ準備も整ったし、食べますか」
お酒なんか有ればここで「カンパーイ!」とかになるんだろうけど、酒の準備無いし、何より僕は飲めないから、ちょっと締まりがないけど皆んなで「いただきます」だ。
宴と言うには静かな、ただ大勢で集まった食事会みたいな雰囲気の中、背後から声をかけられた。
「あら、お久しぶり。場所が決まったから来たわよ」
「お兄ちゃん久しぶり」
ラムネ入りの壺を持った……と言うと違う風に聞こえるかな?
ラムネは本体チューリップだから、チューリップの植えられた壺(植木鉢みたいなもの)を持ったカニスキが現れた。
「お久しぶりです。
丁度今から宴が始まるんですよ。
動物の肉とか食べれますか?」
「私は雑食だから何でも食べるけど、この子には新鮮な水か果物いただけるかしら」
スペースの有る場所へカニスキは脚を折って座る……こ、怖い…………蜘蛛が危険を感じたり死んじゃうと脚をくるっと丸めるじゃん、モロあんな感じなんだもん。しかも巨大……。
僕はなるべく直視しないよう、微妙に視線を外し食べ物をカニスキの前に置きながら話しかける。
「丁度良かったです。
明日にはスケエリア達街へ戻るんですよ」
自分の事を言ってるのに気づいたスケエリアと話をしていたサクラが近づいて来る。
「こんばんは、お久しぶりです。
折角再開したのですけど、私明日にはここを立つんですよ」
「そうなの?残念ね。
でもある意味ではタイミング良かったかも。
待ってる間に作ったからいくつか持って行ってね」
カニスキが持っていた荷物からカラフルな布を取り出す。
「これは……とても綺麗ですね。
貴女が作られたのですか?
……手触りも素晴らしい…」
サクラが興味津々だ。
「ええ、私が布を作ってこの子が色を付けるの」
「とても綺麗な色ですね。種類も豊富ですし素晴らしいですね」
「えへへへ、褒められちゃった」
両手で顔を隠しラムネが照れ笑いする。
その様子を見たカニスキが身悶えしている。うん、ブレない人だ。
「スケエリアさん、好きな色を選んでね」
「凄いですね。どの色も素敵ですけど………この真っ白なのを貰って良いですか?」
スケエリアが選んだのは光沢のある真っ白な布だ。
「白で良いの?」
「ええ、白が良いんです」
言いながらチラリチラリとシルジットを見ている。
ああ、成る程ね。純白のドレスを作るんですね。
でも二号さんでもウエディングドレス着るのかな?
うん、突っ込んじゃダメだよね。
「そうそう、カニスキさん、こちらサクラさんと言いまして、私達と一緒に街へ向かい服作りの修行をしてくるんですよ」
僕が紹介するまでもなく、スケエリアが紹介してくれた。
「服とは身に付ける布の事ですよね?修行が終わったらこの子の分も作ってもらえるのかしら?」
「勿論です。
頑張って作り方覚えて少しでも早く戻ってくるつもりですので、戻ったら是非私に作らせて下さい」
「この子に似合う物沢山作ってほしいわ」
「ええ、女性の服は色んな形が有る様なので沢山の種類の服を作れるようになって来ますね」
「あのね、お姉ちゃんのも作ってね、約束だよ」
ラムネも会話に加わる。
女三人寄れば……って言うけど、四人居るとさらに賑やかさアップだね。
口を挟む暇もないのでここは女性達で好きにしてもらうとして他所に行こう。
*****
「女性陣は賑やかだね」
ガーリックとオニギリ達が近づいてきて話しかける。
「女性は華があるね。男はどうしても黙々と食べるよな」
「こういう時アレだな、人族の酒が有れば陽気になるってわけなんだがな」
酒か、僕は未成年だから関係ないけど、やはり宴って言うと酒なのかな。
「ん?人族のって事は魔族には酒って無いの?」
「だね。だって魔族は畑とかやらないからさ、動物を狩り肉を食べる、気が向いたら木の実を食べるくらいだから、人族みたいに加工したりしないからね」
「まあ肉も生で食ったり塩して炙ったりくらいか。
ハーブとかスパイスとかは人族と付き合い無いと知らないままだからな」
「だから皆酒も知らないってわけよ」
「それならそのうち酒も手に入る様にした方が良いですか?」
三人は食いつき気味に頷いた。
そうだ、
「シルジットさん、ちょっと聞きますけど、お酒って作るの難しいんでしょうか?」
もしそんなに難しく無いならここでも作れないかな?
「いえ、詳しくは私も知らないのですが、酒になるに適した果物を発酵させれば出来ると聞いたこと有りますよ」
それなら街に行って作り方教えて貰ったら良いんじゃないかな。
んー、そう言うのはホッティが得意そうだけど、彼に街へ行けってのは酷だよね。
んー……
ちょっと考え込んでるとポンっと肩を叩かれた。
「よっ、久しぶり。随分広い場所見つけたんだな」
あ、スキヤキだ。
「土産を手配してたら遅くなったよ。
まだ飯終わってないから間に合ったか?」
言いながら背中に背負った背負子を下ろす。
そこには大きな樽…え?さっきまでの会話はもしかしてフラグ?
「人族の街まで行って酒貰ってきたぜ、オニギリ達も久々に飲みたいだろうし。
でもこんなに居るとは思わなかったから足りないなぁ」
今居るのは人族四人、特別種五人、純血種五人、オーガ三十八人、ワーウルフ四人、そして僕の五十六人……、結構大きめの樽だけど足りなさそうだよね。
「まぁ、味見程度に振る舞えばいいんじゃないの?」
「あ、ぼくは飲みませんから」
「ん?折角の土産なのに要らないと?」
そうなるよねー。
「僕の居た世界では子供がお酒を飲むと身体に悪いとか、成長に問題が有るとかで大人になるまで飲むなって言う教えでしたから、大人になったら是非一緒に飲みましょう」
「世界が違うと身体の作りも違うのか?なら仕方ないな。
害になる物無理に勧められないか」
納得してもらえた。
正直飲んでる未成年もいるだろうけど、警察官の息子としてやはり違法な事はしたくないからね。
例え世界が違っても。
お土産のお酒は少し薄めるとなんとか皆に行き渡った。
★★★お知らせ★★★
明日から7日間連続更新です。
9月8日から7日間連続更新……え?今日も更新してるから正確には9月7日から8日間?
はい、それが正解ですが、ここは敢えてゴロを優先と言うか気持ち的に、987という事にしておいてください。
明日から7日間お付き合いよろしくお願いします




