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呼び出されたついでにクレーム2回目

さて、次なる行き先はドラゴンがいると言う山。

…………でもなぁ……


*****


あれ?馬車で揺られていたのに気づけば見た事ある場所に居る。

「急にお呼びたてしてすみません」

ああ、やっぱりあなたでしたか、残念女神シンセサイザー……だっけ?

「シンシリアです!」

おっと、流石女神と名乗るだけあって考えが読まれた。

「名乗るだけって…私は正真正銘の女神です」

色々残念だけどね。

「始めの頃より冷たく無いですか?

酷いです…」

「いや、酷いのはどっちだよ、色々想定外なのはまだいいけど、あの世界でのエルフの扱いと過酷過ぎる出産事情って」

あのエルフの諦めていた時の空気が後を引いてる。

出産事情と共にトラウマ案件だよ。

「エルフに関しては彼女達の選択です。

望むまま魔法の研究をして魔力を必要以上に使った結果ですのでどうする事も出来ませんでした」

「研究って言っても本人達には言えなかったけどショッボい物ばかりでしょ?

あんなので寿命使うって僕なら納得出来ない」

ワープとか、タイムトラベルとか、凄そうな魔法は他にも有るだろうし、使える魔法ならアイテムボックスとか色々有るだろうに、有るものの作用を促すとかショボいでしょ。

「お話の中では魔法とは万能かもしれませんが、魔法は奇跡とは違いますので、元が有り作用する力なのです。

絵空事ではなく現実の現象なのです」

……言いたい事はわかるけど、理解はしても納得いかない。

「出産も増え過ぎない様、バランスを取れるだけの出生率にする為でも有るのです。

人族と魔族のバランスを崩さない様に。

魔族の純血種が増え過ぎると、魔族との腕試しで怪我をするどころではなくなります。

力と知能を兼ね備え、知的要求で学ぶ事で更に種として進化します。

そう言った純血種が増えると人族は滅んでしまいます」

……ん?話を聞いて疑問なんだけど、

「それなら何故純血種を作ったんですか?」

魔族と人族だけならある意味バランス取れてるのに、人族に近い知能と知識欲、魔族以上の力と体力、そんなの居たら人族滅びちゃうじゃん?

「それは…………私からは言えません」

私から言えないってあなた女神でしょ?

この世界の最高権力者でしょ?

……何だろう…何か引っかかる様な………

「それより!今日お呼びしたのは聞きたい事と言いますか、お願いが有りまして!」

急に大きな声を出されて思考が止まる。

明らかに誤魔化した?

「えっと、あの、この先ドラゴンに会いに行くのですよね?」

「はぁ、その予定ですが」

「辞めませんか?」

「へ?」

「ドラゴンに会いに行くの辞めていただきたいのですが…」

「いや、わかってますよ。

ドラゴンって言ってもどうせイケメンか、羽根の生えた小さいトカゲとかなんでしょ?

もうこの世界の残念具合は良ーくわかってますから」

僕が普通に想像する大きな如何にもな、強そうなドラゴンなんて居ないって事はわかってるよ。

僕がため息混じりに言うと「いえ、あの」と焦りながら顔の前で両手を振っている。

ほら、そんな感じなんだ。

「…………実は……」


*****


『あ!アルジ気がついた!』

『おい、シル!コーが起きたぞ!』

目を開けると胸の上に乗っているアンズと、顔を覗き込んでいるワーウルフの顔が視界に入ってきた。

あれ?話の途中だったのにいきなり戻された?

いつもなら話の区切りまではあの空間に居るのに?

「気がつかれましたか、急に倒れて気を失われたので驚きました」

ワーウルフの呼びかけでシルジットが馬車の中に入って来た。

ん?やっぱり魔族の言葉通じてる?

そしてびっくり、ホッティがシルジットの背中に張り付いてる。

二人共薬草やスパイスなど調合するから話が合ったのか?

……僕にしか懐かなかったホッティがと思うとちょっと複雑かも……。

「大丈夫、別に体調悪い訳ではないから。

ちょっと呼ばれただけで……」

「呼ばれた?」

「いや、こっちの話」

女神に呼び出されたとかなんだか話が長くなりそうだし、ややこしくなりそうだし、ここは惚けておこう。

ドラゴンに会いに行くなとか言われたけど会いに行っちゃいますよ。

だって例え小さな羽根つきトカゲだったりしても、ドラゴンはドラゴンだし、異世界でドラゴン居るのに会わないなんてないでしょ。

「ここからどれくらいかかるの?ドラゴンの住む山まで」

話を変えるに限るとばかり、強引に話題を変えた。

「そうですね、私が急いで走ると夜までには着きますけど、皆と一緒なら明日の昼あたりには着くと思われます」

サクラの返事に、やはり馬車を引くのは無理させてるのかな?と聞いてみたけど、彼女は笑って

「いえ、皆さんが乗っているくらいの荷車など、丁度良い負荷にしかなりませんよ。

普通の速度で走れますし」

丁度良いって……結構重いよ、空の荷車だけでも僕は引いて走るなんて出来ないよ。

流石魔族の筋肉。

「じゃあ無理のない速度で進もうか」

「はい」

「おう」

「わかりました」

『了解ー』

皆がそれぞれ返事して再度出発。


あ、因みにシルジットが魔族の言葉わかった理由は……簡単な事だ。

ガーリックが同時通訳していただけの事だった……。


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