一緒に行こう
来た道を戻りつつ思い出す……
僕の家は元々父さんと母さんと僕の三人暮らしだった。
おじいちゃんとおばあちゃんは田舎で農家をやっていた。
父さん達は年なんだから一緒に暮らそうと言ってたんだけど、おじいちゃん達は断っていたんだ。
お盆と正月には三人で田舎に遊びに行っていた。
僕はおじいちゃん達が大好きだったから『一緒に住まないの?』って聞いてもおじいちゃんは笑っているだけだった。
僕が小学三年の冬におばあちゃんから電話がかかって来たんだ。
『二週間程前から入院しているのだけど、ここ五日ばかりおじいちゃんと連絡が取れないの、悪いけど様子を見て来てくれないかしら』
父さんは仕事だから母さん一人で新幹線に乗って行ったんだけど、そこには変わり果てたおじいちゃんが……。
おばあちゃんは足の骨を折って入院していて、おじいちゃんは一人誰にも知られずに心臓発作で亡くなっていたそうだ。
『なんで入院した時点で連絡くれなかったんだ!』
葬式で父さんがおばあちゃんに詰め寄って泣いていた。
大人が…力強い父さんが泣いていた姿に僕はビックリした。
『若い人達に迷惑かけたくなかったのよ。
あなた達二人とも仕事しているんだから年寄りが迷惑かけるの申し訳ないだろ』
その後大人で話し合っておばあちゃんは同居する事になったんだ……。
*****
「一緒に行きましょう!
魔法使わなくて良いです、手伝いなんてしなくて良いです!」
食堂に駆け込みそこに居たエルフの五人に訴える。
「私達はこのまま滅び行くだけの種族なんだから、これからの未来を生きるあんた達と一緒にいない方がいいんだよ」
いつか見たおじいちゃんと同じ笑顔で答える。
「みんないつかは死ぬんです!
生きて居たらいずれ皆死んじゃうんです……
でもまだ生きてます、生きてる間は先を見てても、楽しく過ごしても良いでしょ?
引きこもって待つだけなんて僕は嫌だ!僕は納得できない!」
「………………」
「僕はまだ子供です、考えが甘いかも知れません。
最後まで楽しく……その先も笑ってられるように一緒に居ましょう。
森の中でひっそりと滅んでいくなんて寂しい事言わないでください!」
「………………………………」
「町ができたら迎えに来ます。
僕のわがままでも良いです、強引にでも連れて行きます!」
「……はは…何を言ってんだろうねえ、この子は」
さっきと違う笑顔で笑った?
「すみません、言ってる事メチャクチャかも知れません。
上手い言葉が出て来ません」
エルフの女性四人は顔を見合わせる。
「どうするね、こんな事言ってるけど」
「そうだね、皆最後は死ぬんだからね、楽しいままとか楽しいだろうね」
「死んだ後も笑ってられるのか知りたいね」
「いいんじゃないかい、迷惑かける分手伝えば」
「いや、魔法は使わなくて良いです。一緒に居てくれるだけで…知恵を借りる事は有るかも知れませんが、魔法は使わないでください」
寿命が短くなるってわかってて魔法使わせるわけないでしょ。
「そんな大した魔法は使わないよ。
作物促す位なら殆ど影響無いんだし」
「そうさね、寿命の残り二百年くらいだし、一日二日短くなるくらい問題ないだろ」
「二百……長!僕の方が先に死んじゃいますよ!」
素で突っ込んじゃうよ。今にも死にそうな雰囲気漂わせてたのに二百年って…。
「この世界の人族の寿命ってどれくらいなんですか?」
追いかけて来たシルジットに聞いてみる。
「そうですね…平均で六、七十ですかね。
長生きしても百歳迄生きたと言う話は聞いた事無いですね」
地球より少し短いくらい?
それを聞いたエルフが逆に驚いてる。
「短……人族はそんなに短命なのかい?そんな短いと何も成せないじゃ無いかい」
「そんなに生き急いでどうするんだい」
どうすると言われても…だよね。
昔の日本人なんで人生五十年とかだったんだし、そんなに短くても大きな事成し遂げた人は沢山居るんだし。
「そうかい、そんな短い生で何かを成し遂げようとしているのかい……。
なら余生だけでもこの子らの何倍も有る私達が力を貸してやんないと他の種族に笑われるね」
「そうさね、こんなとっとと死んじゃうような子達が頑張るって言うんだから、私達も出来ることは手伝ってやろうよ」
そうだそうだ、と頷きあうエルフの女性達。
その顔は先程までの諦めに満ちた顔でなく、まだこれから沢山の事に挑戦していこうと、まだまだ自分達にもやれる事は有るんだと、希望に満ちた笑顔だ。
そんな女性達を静かに見守る男性エルフも安堵の表情を浮かべている。
この先の生にも夢を持ってくれて本当に良かった。
……良かったんだけど、そんなに早く死ぬ死ぬ言わないで欲しいな…………
シリアスっぽく進んでいたはずが、最後まで持ちませんでした。
明日はリザードマンに会いに行く話です。
よろしくお願いします




