華麗にカレーを作れるか彼
「勝手な話で申し訳無いんですけど、薬などを作れるなら是非一緒に来て欲しいです。
いくら魔族の皆さんが強くても、怪我や病気が無い訳じゃ無いでしょうし。
こんなに沢山の薬草を扱えるなんて凄いですし、来てもらえるとありがたいです」
「………薬だけじゃ無い…」
あ、やっと答えが返ってきた!
「やっぱこのいい匂いはハーブですか?
一緒に旅している人族の人もハーブ使ってますけど、こんなに沢山無いですし、調合とかで色んな組み合わせとかもできるんですか?」
「………ハーブやスパイス……組み合わせてなんぼ…」
「凄い!プロのセリフだ!
え?じゃあカレーとかも作れるの?」
ヤバイ、テンション上がる!
スパイスと言えばカレーでしょう!
「……カレー…?」
「僕の居た世界の調合したスパイスやハーブを使った料理です!」
「……材料がわかれば……」
「わかれば作って貰えるんですね!
もしや味噌や醤油も?」
「……材料がわかれば……」
おおおー、味噌、醤油、カレー!
それだけあれば最強だよね!
この世界に来て一番テンション上がってるよ!
「貴方は天才ですか?神ですか⁉︎
何でもしますから一緒に来て下さい!お願いします!」
変なテンションのままガバッと頭を下げるとようやくおずおずと出て来てくれた、棚と壁の間から…そんな所に居たんだ。
小柄で華奢な美形さん。
とてもワーウルフの純血種には見えない。
何はさておき絶滅一緒に来てもらう!
*****
お母さん、お母さんのコレクション…仕事の資料の小説色々読みました。
異世界モノも沢山読みました。
あれはやっぱり夢物語ですね……。
「…違う世界のスパイス…気になる…。
そのカレー……どんなの?
…何をブレンドしてる……?」
「おおお!作ってくれるの?
ありがとう!もう元の世界料理食べたくて食べたくてストレス溜まってたんだよ!
いやー、嬉しいなー」
言葉遣いが崩れてるとか気にしてる余裕ないよ。
「……知らない物作る…知らない事が一つなくなる…、知る事楽しい……知らない事…嫌…」
「知的好奇心が旺盛なんですね。
でもありがたい、是非色々作って、お願い!」
コクリと頷くのを見て思わずガッツポーズ。
「………で、何入ってる?…」
えっと、カレー、カレー…カレー?
「ガラムマサラ?」
何かそんなのルーの箱に書いてた様な?
「………それは…無い…」
出鼻を挫かれた感満載。
他には…。
「ターメリック?」
「……コレ…」
おお、有った!壺から乾燥した実を出してくる。
「後は…ガルダモン?」
「…………知らない…」
「えー…後は……リンゴとハチミツ?」
「…それは有る…」
「隠し味にコーヒーとかチョコレート?」
「……それもスパイス…?」
「いや、加工品…かな?コーヒー豆って物を炒って種を砕いて濾したらコーヒー?
チョコレートはカカオの実に砂糖を加える?」
一生懸命記憶の中を探すけどこれが精一杯…。
「……炒るとコス?…わからない……コーヒー豆…知らない……カカオ………見た事無い……」
俯き加減でボソボソ受け答えしてた純血種の人はガバッと頭を上げて詰め寄って来た。
「知らない事だらけ!
知らない事気持ち悪い!
知らない事知りたい!
知らない物を知らないままにしておけない!
ボク君について行く!」
違う世界の物だとしても、知らない事だらけなのがプライドを傷つけたみたいだ。
僕より10センチ程身長が低いんだけど、背伸びして下からグイグイ近づいて来る…このまま頷きでもしたらチューしちゃう距離だよ、逃げてもいいかな。
けれど実際には勢いに押されて動けない。
…でもなんだかいい匂い。吐く息までミントっぽくていい匂い。
これが女性なら……いやいや、今はそれどころでは無い。
「ありがとうございます、是非お願いします。
僕も頑張って思い出しますから色々作って下さい」
「材料わかれば皆に探して来てもらう。
材料揃えば調合する。
知らない事しらみつぶし」
おお、やる気になってくれてる、心の底からありがたい。
これで食生活潤うな。
でも現実はそんなに甘くない。
果たして一般男子高校生が一体どれだけ食材を知っている?
味噌の作り方なんて大豆をどうにかする、醤油は味噌と同じような材料でこうにかするくらいしかわかんないよ。
カレーも殆どの人はルーを使うけど、一体どれだけの人が箱の原材料なんてチェックしてる?
元の世界で読んだ小説なんかだと皆普通に異世界でも日本食作ってるんだよね。
普通に味噌とかパスタとかでも作るんだよね。
ディスる訳では無いけど、やはり物語は物語なんだよね…
…………はー……。
補足と言う名のギャグの説明
ガラムマサラはスパイスの名前ではありません。
スパイスをミックスした物の総称です。
ガルダモンはスパイスの名前ではありません。
モンスターです。
リンゴとハチミツはカレーに必要という訳ではありません。
カレーといえばリンゴとハチミツとろーり溶けてると言うのは周りの昭和の人に聞いてみてください。
隠し味と言えば隠し味?まろやかになります。
因みに自分もカレーのスパイスと言えばガラムマサラだと思ってました。




